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自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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札幌・リトアニア文化交流コンサート(2023/08) レポート

札幌・リトアニア文化交流コンサート2023年08月28日(月)19:00~ 札幌コンサートホールKitara 小ホール

【演奏】ヴィクトリア・ミシュクナイテ(ソプラノ)新堀 聡子(ピアノ)

飯村 真理(1stヴァイオリン) ※札幌交響楽団副首席ヴァイオリン奏者赤間 さゆら(2ndヴァイオリン) ※札幌交響楽団ヴァイオリン奏者鈴木 勇人(ヴィオラ) ※札幌交響楽団ヴィオラ奏者武田 芽衣(チェロ) ※札幌交響楽団チェロ奏者

チュルリョーニス ピアノ曲集より 前奏曲 変ロ短調 DJ39(VL169) 夜想曲 嬰へ短調 DK41(VL178) 前奏曲 ロ短調 DK55-Ⅱ(VL182a) 前奏曲 嬰ヘ長調 「アンジェルス・ドミニ」DV57(VL184)

最初の演目は、札幌交響楽団メンバーによる室内楽です。奏者の皆様の装いは、男性は黒シャツ、女性はカラードレス。舞台向かって左から1stVn.→2ndVn.→Vc.→Va.の順に着席されました。チュルリョーニス「弦楽四重奏曲 ハ短調」。なお終楽章は現存していないそうで、今回は現存する1~3楽章までの演奏でした。第1楽章 冒頭のダダダーン♪という重く暗い低音のユニゾンがインパクト大で、この運命の動機のようなテーマがこの後も繰り返し登場しました。1stヴァイオリンとチェロが対話したり、4つの楽器で美しいメロディをリレーしたり、4つの楽器がそれぞれの役割を担って美しくアンサンブルしたりと、オーソドックスな形式の音楽はとても聴きやすかったです。ひとときの幸せな感じが感極まった後、再び重く暗い音楽になり、ずっと暗さがベースにあったのが印象的でした。第2楽章 穏やかで清らかな、まるで歌曲のような響きに心癒やされました。小鳥のさえずりのような1stヴァイオリンの可憐さ、それに優しくこたえるチェロの甘さ!また終盤にチェロが歌ったメロディは民謡風のどこか懐かしい感じで、そのチェロを支えた3つの弦の華やかさも素敵!民謡が1stヴァイオリンとチェロの二重奏になってからは、2ndヴァイオリンとヴィオラが繊細に音を紡いで奥行きを作り、ヴィオラが長く余韻を残したのも印象に残っています。第3楽章 舞曲の耳なじみの良いメロディとリズムを楽しめました。ステップを踏むようなリズムでの哀愁あるところと滑らかで穏やかなところ、どちらも生き生きとしていて素敵!演奏はここまででしたが、できれば続きも聴きたいと率直に思いました。初めて聴いたリトアニアの室内楽は、独墺のクラシック音楽になじんでいる私にもすんなり聴けて、その土地らしい民謡や舞曲の味わいも楽しめる音楽でした。信頼の札響メンバーによる演奏で聴けて幸せです!

ヴィクトリア・ミシュクナイテさんの衣装は、薄い水色のベースに百花繚乱な模様の布(着物生地でしょうか?)の、大きく裾が広がったマーメイドラインのドレスでした。超ゴージャスな衣装とミシュクナイテさんご自身のオーラに、会場は思わず感嘆の吐息。リトアニアの歌は、4曲続けての演奏です。なおプログラムに同封された歌詞カードには、リトアニア語の原詞に、英語(訳はミシュクナイテさん)、日本語(訳はミシュクナイテさんの娘さん=日本語を勉強中とのこと。掲載されていた風景写真も同じく娘さんによるものだそうです!)の対訳が書かれていました。ドヴァリョーナス「星」 ドヴァリョーナス(1904~1972)はリトアニア共和国の国歌も作曲したそうです。夜の澄んだ空気のような透明感と、声量たっぷりに高音をのばすお声がインパクトあり、ひときわ輝く星がそこにあるようでした。クプレヴィチウス「リンゴの樹」 クプレヴィチウス(1944~)とミシュクナイテさんは親交があるとのこと。ピアノの和音に乗って、枯れ葉が舞うようなもの悲しい歌唱はシャンソンのようで、中盤に感情の高ぶりを思わせる盛り上がりがあったのが印象的でした。ヤクベナス「湖」 ヤクベナス(1904~1976)は「リトアニアのヒンデミット」とも呼ばれるそう。水面を思わせるキラキラしたピアノに、水の精のようなピュアなお声がミステリアスな雰囲気でした。ヴィルコンチウス「それが私」 ヴィルコンチウス(1950~)ともミシュクナイテさんは親交があるそうで、今回は合唱曲のソロパートをミシュクナイテさんのために独唱曲にアレンジしてくださったとのことです。ピアノの和音は気持ちを鼓舞するように前向きで力強く、意思を感じる明るくはっきりしたお声がまるでミュージカルのようでもありドラマチック!盛り上がりの頂点で私は思わず涙が。帰宅後に対訳を確認したところ、「クルシューの地」「バルト海の泡」といった風土や歴史を思わせる語句がたくさんあり、ご先祖様から受け継がれた物をすべて織り込んだ「それが私」という、生まれた土地を愛しそこで生きる覚悟を感じる、とても胸打たれる内容でした。ミシュクナイテさんの圧倒的なお声と表現、そしてリトアニアの歌と精神に出会えて感激です!大変良いものを聴かせて頂きました、ありがとうございます!

チュルリョーニス ピアノ曲集より。4曲続けての演奏です。「前奏曲 変ロ短調 DJ39(VL169)」 左手による重低音が存在感抜群で、言葉少なく語るような右手のメロディが美しい!「夜想曲 嬰へ短調 DK41(VL178)」 切なく美しいノクターンで、メロディに使われた4つの音が音程を変えてずっとベースにあったのが興味深かったです。「前奏曲 ロ短調 DK55-Ⅱ(VL182a)」 重低音の和音のリズムに乗った哀しげなメロディが素敵で、ラストは名残惜しいように何度も同じ音を繰り返したのが印象的でした。そして今回の4つのピアノ曲では唯一の長調である、「前奏曲 嬰ヘ長調 『アンジェルス・ドミニ』DV57(VL184)」 右手のタタタン タタタン♪の繰り返し=鐘の音(と解説がありました)に、低音によるメロディの祈りのような優しい響きがとっても素敵!ドイツロマン派のピアノ小品のようでありながら、作曲者チュルリョーニスの個性が光る珠玉の作品たち。それを新堀さんのピアノで聴けてうれしかったです。

後半のミシュクナイテさんの衣装は、全体が赤いスパンコールで埋め尽くされ、裾がアンシンメトリーに幾重にも重なったマーメイドラインのドレス。こちらも超ゴージャスでした!日本の歌は日本語での歌唱で、2曲続けての演奏です。山田耕筰「赤とんぼ」 ゆったり情感たっぷりに歌い上げ、消え入るような語尾の柔らかさがとても印象的でした。久石譲「Stand Alone」 どこか哀しくしかし前向きな歌は、希望が満ちあふれているよう。個人的には、前半の「それが私」よりも柔らかく優しさに満ちた演奏だったと思います。言葉の一つ一つを丁寧に紡いでくださった演奏は、じんわり心に染み入りました。

プログラム最後はプッチーニの歌劇から4曲。オペラ歌手であるミシュクナイテさんの真骨頂です。「ラ・ボエーム」第2幕 より “私が街を歩けば” 跳ねるようなピアノに、大声量で明るく歌うのがとても華やかで、ラスト直前の高音を力強くのばすところの気迫がすごい!「ラ・ボエーム」第1幕 より “私の名はミミ” いたずらっぽく少し肩をすくめたりしながら、時に語りかけるような演奏。まっすぐなお声に、少女の思いが伝わってきました。「トスカ」第2幕 より “歌に生き、恋に生き” は、先ほどの少女とは異なり、様々な思いを内に秘めていそうな女性。発する言葉一つ一つに念が込められているようでした。ラストは無伴奏になり、お声のみで強い意志が感じられる演奏。素晴らしいです!「蝶々夫人」第2幕 より “ある晴れた日に” まっすぐに歌い上げる美しさ!ささやくようなところもピュアな感じで、私はそのひたむきさに胸打たれ、悲劇的な結末を思い浮かべ涙があふれました。力強くのばしたラストのお声の強さ!ピアノの後奏がとてもドラマチックでした。そのお声と表現で瞬時に世界を変え、様々な女性をリアルな存在として体現する、ミシュクナイテさんの演奏に大拍手です!

拍手喝采の中、ミシュクナイテさんに花束が贈呈されました。アンコールは、おなじみプッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」第1幕より “私のお父さん”。ここまで全身全霊の演奏を聴かせてくださってきたにもかかわらず、まるでこれが最初であるかのような、声量たっぷりの歌唱!しかし柔らかな響きで、娘のピュアな思いが感じられる演奏でした。この日の出会いに感謝です!ミシュクナイテさんはじめ素晴らしい演奏を聴かせてくださった演奏家の皆様と、今回の企画と開催の実現にご尽力くださったすべての皆様に改めてお礼申し上げます。ありがとうございました!

ウィステリアホール5周年記念事業 ジングシュピール『ファウスト』」(2023/05/28)。ミニマムなキャストと仕掛けによる、歌とお芝居で作るオリジナル舞台。魅力的な登場人物と音楽に心揺さぶられ、壮大な世界にどっぷり浸れた得がたい体験でした。再演&映像作品化をぜひ!

あかまかるてっと 札幌公演」(2023/07/24)。空間全体がまるで絵画のようなギャラリーにて異空間に旅した1時間半。メンデルスゾーンの充実ぶりや、ウェーベルンの美しさと深み等、独墺の弦楽四重奏曲の数々を優美かつ重厚に聴かせてくださいました。

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