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Без кейворда

「おはよう、真也。ご飯出来たよ」 「……ん……」 返事よりも、真也が寝返りを打ったことでシーツが擦れ合った音の方が大きく寝室に響く。 私、岡林理美(30歳)と岡林真也(31歳)は1年前に結婚した。 小さな部屋がふたつとリビングダイニングの2LDKは、その時に購入したマンション。 広くはないけれど私たちの城だ。 最寄り駅から徒歩五分。 都心のオフィスへも電車一本。 車を持たない生活は、維持費や駐車場代を考えれば極めて合理的な選択だった。 「真也、起きてぇ。お布団取るよ?」 胎児のように横を向いて丸まっていた彼が仰向けになったので、頬をツンツン……指でつつくと グイッ…… 「わっ……っ……」 手首を引かれ、私は掛け布団を挟んで彼の上に乗った。 「……はよ…… 理美 ( さとみ ) 」 「うん、おはよう。朝だよ」 「ねむ……っ……」 目を閉じたまま私の髪を撫でる真也は、その髪を一束……自分の鼻に近づけると 「理美……シたい」 目を開けて、私の後頭部を引き寄せるとキスをする。 そしてキスをしたまま、二人でもぞもぞと間にある掛け布団をベッドの下へ落とすと、彼の手は私のTシャツの中へと滑り込み、体温を確かめるように肌を撫でた。 ここでこうしてイチャイチャと戯れるのも毎朝なので、その時間を見越して真也を起こすのは私も……彼に触れたいし触れられたいという気持ちもある。 それでも私たちは大人で、責任ある仕事を任される社会人なのだ。 「…また……夜ね」 チュッ……とリップ音を立ててからシーツに手をつき上体を起こした私の胸をTシャツの中でまさぐった彼は 「ぅう……ぅ―んっ……起きるか……」 と大きく伸びをした。

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