. 2025-31023 | 知財ポータル「IP Force」
2025-31023 | 知財ポータル「IP Force」
2025-31023 | 知財ポータル「IP Force」

IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

【課題】活性成分の経皮投与を効率良く行うこと。 【解決手段】支持体と、支持体の主面に設けられた粘着剤層と、少なくとも一部が粘着剤層内に位置するマイクロニードルアレイとを備えるマイクロニードル貼付剤からの活性成分の経皮投与効率を向上させる方法が提供される。粘着剤層は、活性成分、水溶性高分子、グリセリン、および水を含む。水の含有量は、粘着剤層の全質量に対して45~70質量%である。マイクロニードルアレイは、基板と、該基板の主面から立ち上がった少なくとも一つのマイクロニードルとを備える。粘着剤層は、マイクロニードルアレイ上に位置する主部を含む。方法は、主部の厚さがマイクロニードルの長さに対して0.9~1.3倍になるように、マイクロニードルアレイを粘着剤層上に配置する工程を含む。 【選択図】図1

支持体と、前記支持体の主面に設けられた粘着剤層と、少なくとも一部が前記粘着剤層内に位置するマイクロニードルアレイとを備えるマイクロニードル貼付剤からの活性成分の経皮投与効率を向上させる方法であって、 前記粘着剤層が、前記活性成分、水溶性高分子、グリセリン、および水を含み、 前記水の含有量が、前記粘着剤層の全質量に対して45~70質量%であり、 前記マイクロニードルアレイが、基板と、該基板の主面から立ち上がった少なくとも一つのマイクロニードルとを備え、 前記粘着剤層が、前記マイクロニードルアレイ上に位置する主部を含み、 前記方法が、前記主部の厚さが前記マイクロニードルの長さに対して0.9~1.3倍になるように前記マイクロニードルアレイを前記粘着剤層上に配置する工程を含む、 方法。

前記マイクロニードルの長さが300~900μmである、 請求項1に記載の方法。 前記周辺部の厚さが前記マイクロニードルアレイの厚さより小さい、 請求項3に記載の方法。

支持体と、前記支持体の主面に設けられた粘着剤層と、少なくとも一部が前記粘着剤層内に位置するマイクロニードルアレイとを備えるマイクロニードル貼付剤の製造方法であって、 水溶性高分子、グリセリン、および水を含み、該水の含有量が前記粘着剤層の全質量に対して45~70質量%である前記粘着剤層を形成する工程と、 基板と、該基板の主面から立ち上がった少なくとも一つのマイクロニードルとを備える前記マイクロニードルアレイを、該マイクロニードルアレイ上に位置する前記粘着剤層の主部の厚さが該マイクロニードルの長さに対して0.9~1.3倍になるように、前記形成された粘着剤層上に配置する工程と、 を含む製造方法。

前記マイクロニードルの長さが300~900μmである、 請求項7に記載の製造方法。 本開示の一側面は、マイクロニードル貼付剤からの活性成分の経皮投与効率を向上させる方法、およびマイクロニードル貼付剤の製造方法に関する。 特許文献1には、微細針付き貼付剤が記載されている。この貼付剤は、粘着層の内部にこの粘着層から貼着面側へ突き出し可能な一本以上の微細針部材を備える。 【特許文献1】特開2007-1938号公報 【特許文献2】特開2015-151380号公報 【発明が解決しようとする課題】 活性成分の経皮投与を効率良く行うための方法が望まれている。 【課題を解決するための手段】 本開示の一側面によれば、活性成分の経皮投与を効率良く行うことができる。 【図1】マイクロニードル貼付剤の一例を示す斜視図である。 【図2】マイクロニードルアレイの一例を示す拡大斜視図である。 【図3】側方から見たマイクロニードル貼付剤を模式的に示す図である。 【図4】皮膚への適用前後でのマイクロニードル貼付剤の変化を模式的に示す図である。 【図5】マイクロニードル貼付剤の皮膚への適用を模式的に示す図である。 【発明を実施するための形態】 以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

マイクロニードル貼付剤10の面積は、ユーザの症状、年齢、体重、性別などに応じて設定されてもよい。例えば、マイクロニードル貼付剤10の面積は1~500cm 2 でもよいし、10~400cm 2 でもよい。その面積を1cm 2 以上にすることによって、活性成分の十分な皮膚透過性を維持することが容易になる。その面積を500cm 2 以下にすることによって、マイクロニードル貼付剤10の取り扱いが容易になる。

支持体12が編布または不織布である場合、水を含有する粘着剤組成物を支持体12に展延すると、支持体12の網目を通して粘着剤組成物が支持体の裏側に染み出してくるおそれがある。この点を考慮して、編布または不織布の目付は50~150g/m 2 でもよく、75~125g/m 2 でもよい。目付をこのような範囲にすることで、粘着剤組成物が支持体12の隙間を通して支持体12の裏側に染み出すことなく該粘着剤組成物を展延できる傾向がある。加えて、支持体12と粘着剤層14の間の投錨性を維持できる。

支持体12の伸縮性については、縦方向および横方向の少なくとも一方において50%モジュラス(50%伸長時荷重)が0.5~10N/50mmであってもよい。ここで、「縦方向」とは、編布を製造する工程における流れ方向のことをいい、「横方向」とは、縦方向と直交する方向、すなわち幅方向のことをいう。モジュラスの測定方法はJIS L 1018:1999に基づく。

水溶性高分子は、ポリアクリル酸中和物(「水溶性アクリルポリマー」と呼ぶ場合がある。)であってもよい。粘着剤層14がポリアクリル酸中和物を含むことにより、優れた付着性を有する粘着剤層14を提供できる。 粘着剤層14は、さらにその他の成分として溶解補助剤、架橋剤、保湿剤、清涼化剤、安定化剤、充填剤、防腐剤、キレート剤、無機粉体、着色料、着香料、またはpH調整剤などを含んでもよい。 粘着剤層14が多価アルコールを含有することにより、粘着剤層14がより軟らかくなり、マイクロニードル貼付剤10の付着性がより向上する傾向がある。 防腐剤の例としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、およびパラオキシ安息香酸ブチルなどが挙げられる。 無機粉体、着色料、および着香料としては、マイクロニードル貼付剤10のために一般に用いられている組成物を用いることができる。 抗菌物質の例としては、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、塩化ベンゼトニウム、フェノール、およびこれらの混合物が挙げられる。

粘着剤層14の質量は、例えば、100g/m 2 以上でもよいし、250g/m 2 以上でもよい。粘着剤層14の質量は、例えば、2000g/m 2 以下でもよいし、1500g/m 2 以下でもよい。粘着剤層14の質量は250~1500g/m 2 でもよく、この場合には、フィット感を高めると共に、より長期間にわたって付着性を維持させることができる。粘着剤層14の質量を上記のように設定することで、マイクロニードル貼付剤10全体の厚さを小さくでき、その結果、マイクロニードル貼付剤10は皮膚に追従しやすく且つ剥離しにくくなる。

剥離シート16は、マイクロニードル貼付剤10の使用前において粘着剤層14を保護するシート状の部材である。 図2はマイクロニードルアレイ20の一例を示す拡大斜視図である。一例では、マイクロニードルアレイ20は、基板21と、その基板21上に設けられた少なくとも一つのマイクロニードル22とを備える。

基板21は、マイクロニードル22を支持するための土台である。本開示では、マイクロニードル22が立ち上がっている方の面を基板21の主面といい、該主面の反対側を基板21の裏面という。図1の例では、基板21の裏面は支持体12の主面に接する。基板21の寸法は粘着剤層14の寸法を考慮して決定されてよい。図1の例では基板21の面積は粘着剤層14の面積よりも小さい。別の例では、基板21と粘着剤層14とで面積が同じでもよい。あるいは、基板21の方が粘着剤層14より面積が大きくてもよく、この場合には、基板21の一部が露出することになる。基板21の面積は0.5cm 2 ~300cm 2 でもよいし、1cm 2 ~100cm 2 でもよいし、1cm 2 ~50cm 2 でもよい。あるいは、基板21の面積は0.5cm 2 ~10cm 2 、0.5cm 2 ~5cm 2 、1cm 2 ~5cm 2 、0.5cm 2 ~3cm 2 、または1cm 2 ~3cm 2 であってよい。この基板21を数個つなげることで所望の大きさの基板を形成してもよい。基板21の厚さの下限は5μmでも20μmでもよく、その厚さの上限は1000μmでも300μmでもよい。基板21の厚さは、後述するマイクロニードル22の長さに対して0.5~2.5倍であってもよい。

マイクロニードル22の密度の下限は例えば0.05本/cm 2 、1本/cm 2 、50本/cm 2 、75本/cm 2 、100本/cm 2 、150本/cm 2 、200本/cm 2 、300本/cm 2 、340本/cm 2 、または400本/cm 2 でもよい。一方、その密度の上限は例えば10000本/cm 2 、5000本/cm 2 、2000本/cm 2 、1200本/cm 2 、700本/cm 2 、640本/cm 2 、または340本/cm 2 でもよい。密度の下限は、1mgの活性成分を投与し得るマイクロニードルの本数と必要な面積とから換算した値である。密度の上限は、マイクロニードルの形状を考慮した上での限界値である。一例では、マイクロニードル22の密度の下限および上限は、マイクロニードル22によって皮膚を引き伸ばして、皮膚に接する粘着剤層14の面積を増加させることを考慮して設定される。

図2の例では、マイクロニードル22は立体形状である。例えば、マイクロニードル22は円錐でもよいし、四角錐などの任意の角錐でもよい。マイクロニードル22は錐体でなくてもよく、例えば先端部が平坦であったり丸みを帯びたりしてもよい。平坦なまたは丸みを帯びた先端部は、意図的に加工することで得られる場合もあれば、そのような加工をしなくても結果的に得られる場合もある。先端部が平坦である場合には、その平坦部の面積は20~600μm 2 であってもよいし、50~250μm 2 であってもよい。先端部が丸みを帯びている場合には、先端部の曲率半径が2~100μmであってもよいし、5~30μmであってもよい。

マイクロニードル22に活性成分が含まれてもよいし、活性成分を含むコーティングがマイクロニードル22の表面上に形成されてもよい。 一例では、周辺部14bの厚さDbは、マイクロニードルアレイ20の厚さDmより小さくてもよい。マイクロニードルアレイ20の厚さとは、基板21の裏面からマイクロニードル22の先端までの距離をいう。 以上、本開示の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記の例に限定されるものではない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。

[付記] 上記の様々な例から把握されるとおり、本開示は以下に示す態様を含む。 (付記1) 支持体と、前記支持体の主面に設けられた粘着剤層と、少なくとも一部が前記粘着剤層内に位置するマイクロニードルアレイとを備えるマイクロニードル貼付剤からの活性成分の経皮投与効率を向上させる方法であって、 前記粘着剤層が、前記活性成分、水溶性高分子、グリセリン、および水を含み、 前記水の含有量が、前記粘着剤層の全質量に対して45~70質量%であり、 前記マイクロニードルアレイが、基板と、該基板の主面から立ち上がった少なくとも一つのマイクロニードルとを備え、 前記粘着剤層が、前記マイクロニードルアレイ上に位置する主部を含み、 前記方法が、前記主部の厚さが前記マイクロニードルの長さに対して0.9~1.3倍になるように前記マイクロニードルアレイを前記粘着剤層上に配置する工程を含む、 方法。 (付記2) 前記マイクロニードルの長さが300~900μmである、 付記1に記載の方法。 (付記3) 前記マイクロニードルアレイを配置する前記工程では、前記マイクロニードルアレイの外側に位置する周辺部が前記粘着剤層に形成されるように、前記マイクロニードルアレイを前記粘着剤層上に配置する、 付記1または2に記載の方法。 (付記4) 前記周辺部の厚さが前記マイクロニードルアレイの厚さより小さい、 付記3に記載の方法。 (付記5) 前記粘着剤層から突出する前記マイクロニードルの部分の長さである突出長さが、前記マイクロニードル貼付剤が皮膚に適用される前よりも、前記マイクロニードル貼付剤が該皮膚に適用されてから所定時間経過後の方が大きい、 付記1~4のいずれか一つに記載の方法。 (付記6) 前記マイクロニードル貼付剤が前記皮膚に適用されてから8時間経過後の前記突出長さが、前記マイクロニードル貼付剤が前記皮膚に適用される前における前記突出長さよりも10μm以上大きい、 付記5に記載の方法。 (付記7) 支持体と、前記支持体の主面に設けられた粘着剤層と、少なくとも一部が前記粘着剤層内に位置するマイクロニードルアレイとを備えるマイクロニードル貼付剤の製造方法であって、 水溶性高分子、グリセリン、および水を含み、該水の含有量が前記粘着剤層の全質量に対して45~70質量%である前記粘着剤層を形成する工程と、 基板と、該基板の主面から立ち上がった少なくとも一つのマイクロニードルとを備える前記マイクロニードルアレイを、該マイクロニードルアレイ上に位置する前記粘着剤層の主部の厚さが該マイクロニードルの長さに対して0.9~1.3倍になるように、前記形成された粘着剤層上に配置する工程と、 を含む製造方法。 (付記8) 前記マイクロニードルの長さが300~900μmである、 付記7に記載の製造方法。 (付記9) 前記マイクロニードルアレイを配置する前記工程では、前記マイクロニードルアレイの外側に位置する周辺部が前記粘着剤層に形成されるように、前記マイクロニードルアレイを前記形成された粘着剤層上に配置する、 付記7または8に記載の製造方法。 (付記10) 前記マイクロニードルアレイを配置する前記工程では、前記周辺部の厚さが前記マイクロニードルアレイの厚さより小さくなるように、前記マイクロニードルアレイを前記形成された粘着剤層上に配置する、 付記9に記載の製造方法。 (付記11) 前記マイクロニードルアレイを配置する前記工程では、前記粘着剤層から突出する前記マイクロニードルの部分の長さである突出長さが、前記マイクロニードル貼付剤が皮膚に適用される前よりも、前記マイクロニードル貼付剤が該皮膚に適用されてから所定時間経過後の方が大きくなるように、前記マイクロニードルアレイを前記形成された粘着剤層上に配置する、 付記7~10のいずれか一つに記載の製造方法。 (付記12) 前記マイクロニードルアレイを配置する前記工程では、前記マイクロニードル貼付剤が前記皮膚に適用されてから8時間経過後の前記突出長さが、前記マイクロニードル貼付剤が前記皮膚に適用される前における前記突出長さよりも10μm以上大きくなるように、前記マイクロニードルアレイを前記形成された粘着剤層上に配置する、 付記11に記載の製造方法。

以下、実施例を具体的に説明するが、本開示はそれらに限定されるものではない。

[粘着剤層の厚さ(1)] 表1に示す組成(単位:質量%)に従って、実施例1に係るマイクロニードル貼付剤の粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いて、上記に例示した製造方法によって1個のマイクロニードル貼付剤を作製した。マイクロニードルアレイについては、厚さが700μmであり面積が1cm 2 である略円形の基板上に、長さが475μmであるマイクロニードルを156本/cm 2 の密度で設けた。

その後、以下に示すように、0時間、2時間、4時間、6時間、および8時間のそれぞれの時点についてマイクロニードルの突出長さを算出した。 (1)第1工程では、パナソニックデバイスSUNX株式会社製のレーザカッタであるCO 2 レーザマーカ LP-420を用いて、作製したマイクロニードル貼付剤を、マイクロニードルアレイの厚さ方向に沿ってマイクロニードルアレイの断面が形成されるように切断した。 (2)第2工程では、株式会社キーエンス製のマイクロスコープであるVHX-2000を用いて、その切断面の断面画像を100倍の倍率で取得した。そして、その断面画像に基づいて粘着剤層の主部の9ヵ所で厚さを測定し、その測定厚さの平均値を、0時間時点での主部の厚さとして求めた。この厚さは、マイクロニードル貼付剤を皮膚に適用する前における厚さといえる。 (3)第3工程では、環境温度24±3℃および相対湿度50±10%RHである空間で、その切断面を有するマイクロニードル貼付剤を、静止した状態で2時間置いた。 (4)第4工程では、レーザカッタを用いて、そのマイクロニードル貼付剤を、マイクロニードルアレイが存在する部分において、第1工程での切断面と並行に切断した。 (5)第5工程では、第2工程と同様に、新たな切断面の断面画像に基づいて、2時間時点での粘着剤層の主部の厚さを算出した。この厚さは、マイクロニードル貼付剤を皮膚に適用した後における厚さといえる。 (6)第6工程では、マイクロニードルの長さから、第5工程で得られた厚さを引いて、2時間時点での突出長さを求めた。加えて、マイクロニードルの長さに対する粘着剤層の主部の厚さの比を算出した。 (7)第7工程では、4時間、6時間、および8時間のそれぞれについて第3~第6工程を実施して、それぞれの時点における突出長さおよび比を求めた。

表2は、以上の処理によって得られた結果を示す。「粘着剤層の厚さ」は、粘着剤層の主部の厚さである。「厚さ/長さ比」は、マイクロニードルの長さに対する粘着剤層の主部の厚さの比である。0時間時点では粘着剤層の厚さがマイクロニードルの長さより大きいので、突出長さは0μmであり、厚さ/長さ比は1より大きい。マイクロニードル貼付剤の適用開始から2時間経過後においては、マイクロニードルが粘着剤層から突出し、厚さ/長さ比は1未満になった。また、粘着剤層の厚さが線形に減少する傾向であることが分かった。線形回帰における決定係数R 2 は0.9521であった。

[粘着剤層の厚さ(2)] 表3に示す組成(単位:質量%)に従って、実施例2~12および比較例1~3のそれぞれに係るマイクロニードル貼付剤の粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いて、上記に例示した製造方法により、各実施例および各比較例において3個のマイクロニードル貼付剤を作製した。マイクロニードルアレイについては、厚さが700μmであり面積が1cm 2 である略円形の基板上に、選択された長さのマイクロニードルを設けた。マイクロニードルの密度は、実施例5では1180本/cm 2 であり、実施例7,8では316本/cm 2 であり、他の実施例および比較例では156本/cm 2 であった。

更に、表4に示す組成(単位:質量%)に従って、実施例12A,12B、12C、および12Dのそれぞれに係るマイクロニードル貼付剤の粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いて、上記に例示した製造方法により、これら四つの実施例のそれぞれにおいて3個のマイクロニードル貼付剤を作製した。マイクロニードルアレイについては、厚さが700μmであり面積が1cm 2 である略円形の基板上に、長さが475μmであるマイクロニードルを設けた。これら四つの実施例では、マイクロニードルの密度は156本/cm 2 であった。

その後、表3および表4に示す各実施例および各比較例について、以下に示すように0時間および8時間のそれぞれの時点について突出長さを算出した。 (1)第1工程では、上記のレーザカッタを用いて、3個のマイクロニードル貼付剤のそれぞれを、マイクロニードルアレイの厚さ方向に沿ってマイクロニードルアレイの断面が形成されるように切断した。 (2)第2工程では、上記のマイクロスコープを用いて、3個のマイクロニードル貼付剤のそれぞれについて、切断面の断面画像を100倍の倍率で取得した。続いて、各マイクロニードル貼付剤について、その断面画像に基づいて粘着剤層の主部の9ヵ所で厚さを測定した。そして、3個のマイクロニードル貼付剤の測定厚さの平均値を、0時間時点での主部の厚さ、すなわち適用前の厚さとして求めた。また、その厚さを用いて厚さ/長さ比を算出した。更に、各マイクロニードル貼付剤について、その断面画像に基づいて粘着剤層の周辺部の9ヵ所で厚さを測定した。そして、3個のマイクロニードル貼付剤の測定厚さの平均値を、0時間時点での周辺部の厚さとして求めた。 (3)第3工程では、環境温度24±3℃および相対湿度50±10%RHである空間で、その切断面を有するマイクロニードル貼付剤を、静止した状態で8時間置いた。 (4)第4工程では、レーザカッタを用いて、3個のマイクロニードル貼付剤のそれぞれを、マイクロニードルアレイが存在する部分において、第1工程での切断面と並行に切断した。 (5)第5工程では、第2工程と同様に、新たな切断面の断面画像に基づいて、8時間時点での粘着剤層の主部の厚さを算出した。この厚さは、マイクロニードル貼付剤を皮膚に適用した後における厚さといえる。 (6)第6工程では、3個のマイクロニードル貼付剤のそれぞれについて、マイクロニードルの長さから粘着剤層の厚さを引いて、8時間時点での突出長さを算出した。この計算で用いた粘着剤層の厚さは、第5工程において第2工程と同様に求めた平均値ではなく、突出長さを計算しようとする一つのマイクロニードル貼付剤における9個の測定厚さの平均値であった。そして、得られた3個の突出長さの平均値を、8時間時点での突出長さとして求めた。また、第2工程および第5工程のそれぞれについて、該工程において求めた粘着剤層の主部の厚さと、マイクロニードルの長さとから、厚さ/長さ比を算出した。

[プローブタック試験] 表8に示す組成(単位:質量%)に従って、実施例13,14および比較例4,5のそれぞれに係るマイクロニードル貼付剤の粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いて、上記に例示した製造方法により、各実施例および各比較例において3個のマイクロニードル貼付剤を作製した。マイクロニードルアレイについては、厚さが700μmであり面積が1cm 2 である略円形の基板上に、長さが475μmであるマイクロニードルを156本/cm 2 の密度で設けた。実施例14および比較例4,5に関しては、製造物を室温で放置して粘着剤層の水を揮発させることで粘着剤層を薄くし、これにより、実施例14および比較例4,5のそれぞれに係るマイクロニードル貼付剤を得た。プローブタック試験時の粘着剤層の組成が実施例13,14および比較例4,5の間で同じになるように、製造時の粘着剤層の組成を調整した。

表8における「粘着剤層の厚さ」および「厚さ/長さ比」の意味は表2と同じである。

更に、表9に示す組成(単位:質量%)に従って、実施例13Aに係るマイクロニードル貼付剤の粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いて、上記に例示した製造方法により、実施例13Aにおいても3個のマイクロニードル貼付剤を作製した。マイクロニードルアレイについては、厚さが700μmであり面積が1cm 2 である略円形の基板上に、長さが475μmであるマイクロニードルを156本/cm 2 の密度で設けた。

表9における「粘着剤層の厚さ」および「厚さ/長さ比」の意味は表2と同じである。

Stable Micro System社製のテクスチャアナライザであるTA.XT plusを用いて、実施例13,13A,14および比較例4,5のそれぞれについて次のとおり粘着力を測定した。 (1)第1工程では、ダーマトームを用いて約500μmの厚さで摘出して直径10mmの円形に切断したヒト皮膚を、表皮側が表面になるように直径10mmの円形プローブの先端に固定した。この作業を3個の試料のそれぞれについて実施した。 (2)第2工程では、粘着剤層が上になるようにテクスチャアナライザのステージにマイクロニードル貼付剤を固定した。プローブに固定されたヒト摘出皮膚が粘着剤層の主部と接するように、ステージ上でのマイクロニードル貼付剤の位置を調整した。この作業を3個の試料のそれぞれについて実施した。 (3)第3工程では、プローブを0.2mm/秒の速度で下降させてヒト皮膚をマイクロニードル貼付剤と接触させ、5gの荷重を1秒間掛けた。続いて、プローブを10mm/秒の速度で引き上げ、引き上げ開始から、プローブが粘着剤層から離れるまでの荷重を積分して粘着力(単位:g・秒)を測定した。この測定値は粘着剤層の主部の粘着力であるといえる。この測定を3個の試料のそれぞれについて実施し、粘着力の平均値を求めた。

粘着力の平均値は以下のとおりであり、実施例13,13A,14の方が比較例4,5よりも付着性に優れていた。 ・比較例4: 0.250g・秒 ・比較例5: 0.492g・秒 ・実施例13: 0.987g・秒 ・実施例13A:1.214g・秒 ・実施例14: 0.975g・秒

[マイクロニードルの密度] 上記の実施例3,5~12と同じ組成で、実施例15~17のそれぞれに係るマイクロニードル貼付剤の粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いて、上記に例示した製造方法により、各実施例において1個のマイクロニードル貼付剤を作製した。マイクロニードルアレイについては、厚さが700μmであり面積が1cm 2 である略円形の基板上に、長さが475μmであるマイクロニードルを、選択された密度で設けた。

その後、各実施例について、実施例3,5~12と同様に、0時間および8時間のそれぞれの時点について突出長さを算出した。 [マイクロニードルによる皮膚の引き伸ばし] 表11に示す組成(単位:質量%)に従って、実施例18に係るマイクロニードル貼付剤の粘着剤組成物を調製した。

その後、以下に示すように、実施例18に係るマイクロニードル貼付剤を作製し、0時間および8時間のそれぞれの時点について、粘着剤層に接する皮膚表面の長さを算出した。 (1)第1工程では、X線CTによる撮像のために、株式会社エイコー製のイオンコータであるIB-3を用いて、マイクロニードルアレイの表面を金コーティングした。マイクロニードルアレイについては、厚さが700μmであり面積が1cm 2 である略円形の基板上に、長さが475μmであるマイクロニードルを156本/cm 2 の密度で設けた。 (2)第2工程では、X線CTによる撮像のために、造影剤としての酸化ジルコニウムを加えた上記の粘着剤組成物を用いて1個のマイクロニードル貼付剤を作製した。適用前の粘着剤層の主部の厚さは439μmであり、したがって、厚さ/長さ比は0.92であった。 (3)第3工程では、発泡スチロールおよびヒト摘出皮膚のそれぞれを20mm×20mmの寸法で準備した。 (4)第4工程では、ヒト摘出皮膚の表皮側にマイクロニードル貼付剤を貼って、試料を準備した。 (5)第5工程では、ヒト摘出皮膚の表皮の反対側が下に位置するように試料を発泡スチロールに載せ、テープを用いて試料を発泡スチロール固定させた上で、ヤマト科学株式会社製のX線CT装置であるTDM1000H-II(2K)で試料を測定した。この測定結果を0時間時点での結果として取得した。 (6)第6工程では、環境温度24±3℃および相対湿度50±10%RHである空間で、第4工程で得られた別の試料を、静止した状態で8時間置いた。この資料についても第5工程と同様に測定を行い、この測定結果を8時間時点での結果として取得した。 (7)0時間時点および8時間時点のそれぞれについて、測定結果から、直線距離で7mmの区間における皮膚表面の長さを解析した。それぞれの試料において、異なる4区間のそれぞれにおいて皮膚表面の長さを測定し、その測定値の平均値を最終的な長さとして得た。

表12は、実施例18,18A,18B,18Cの結果を示す。この結果は、マイクロニードル貼付剤が皮膚に適用されたことで、その皮膚が引き伸ばされて、皮膚に接する粘着剤層の面積が増加したことを示す。
  • ▶ 求人情報の掲載について
  • ▶ 求人情報掲載までの流れ
  • ▶ 月間60万アクセスのIP Forceに求人情報を掲載しませんか?
📎📎📎📎📎📎📎📎📎📎