. 22歳で描いた「葉桜」(SOMPO美術館) | Business Insider Japan
22歳で描いた「葉桜」(SOMPO美術館) | Business Insider Japan
22歳で描いた「葉桜」(SOMPO美術館) | Business Insider Japan

一生に一度は見たい、天才日本画家・山口華楊が22歳で描いた「葉桜」(SOMPO美術館)

1916年、16歳の時に作品《日午》が文展(文部省美術展覧会)で初入選した。この時、80円で買い手がついた。学生が暮らすのに10円あれば一カ月生活できたというから、80円は大金だった。画家となった彼は1926年、26歳の時に母校の実技教授になる。大きな展覧会で入選し、また、26歳で美術学校の教授になったのだから斯界では実力は知られていた。いわば早熟の天才画家だ。そして、戦後は巨匠としての地位を確立し、文化勲章を受章している。

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「《葉桜》は「四曲一隻(よんきょくいっせき)」の屏風です。四曲とは、4枚の面が連なってできている屏風のこと。また、一隻とは1枚の屏風ということです。隻とは隻眼といったように単数を表す言葉です。

本来、屏風には空間を仕切る道具としての役割がありました。自立させるためには曲げることが必要だったのです。つまり、曲げた状態で鑑賞されることを見越して描かれているはずです。ただ、《葉桜》に関して言えば、以前に公開した時は屏風を伸ばして平面で展示しました。その方が画面全体を覆い尽くす葉桜の迫力、空間の奥行きがより伝わりやすいと考えたからです。

そして、この絵の魅力ですけれど、葉桜を画面いっぱいに描くという構図が非常に大胆です。この作品は帝展(帝国美術院展覧会)への出品作ということもあり、相当な気合いが感じられます。また、画面中央の下の部分に注目してください」

桜と蛇という組み合わせに特別な意味合いはないと思います。これは華楊が実際に目にした光景です。華楊は桜の木の下に蛇がいるのを見つけ、それを絵に収めました。なんといっても着眼点が面白いですね。華楊は写生を重んじる画家でした。見たままの光景を自身の情感を込めてどう描くかと考えた時、桜の木の下に蛇を描き込むことがアクセントになると思ったのでしょう」

写生を重んじる山口華楊の着目点

「それについてはエピソードがあります。華楊本人が回想しているのですが、蛇を見つけたのは京都の知恩院の近くだったそうです。京都画壇の人ですから、華楊はもちろん京都で暮らしていました。蛇を見つけた時、絵の道具を持っていなかった。そこで、道具を取りに帰っている間に蛇がいなくなってしまうのが心配で、持っていた手ぬぐいで蛇を捕まえて家に持って帰った。そうして、家の柱に蛇を縛り付けて写生したそうです」

後年、華楊が弟子を取った時のことだ。弟子たちは朝早く華楊の家を訪れた。「朝早い時間であれば、まだ写生に出かけていないだろう」と考えたのである。しかし、どれほど朝早く訪ねても、華楊は写生に出かけていることの方が多かった。弟子たちは「今日もまた華楊先生に負けた」と言って帰っていったという。

葉桜の季節に

展覧会:開館50周年記念 山口華楊展SOMPO美術館が収蔵する山口華楊の代表作3点を中心に、初期から晩年までの画業を通覧する。今回紹介した《葉桜》も展示予定。館名: SOMPO美術館会期:2026年7月11日(土)〜8月30日(日)所在地:東京都新宿区西新宿1-26-1開館時間:10:00 〜 18:00(金曜日は~20:00)※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日(ただし、7月20日は開館)、7月21日サイトURL:https://www.sompo-museum.org/

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