【片対数・両対数グラフ】うさぎでもわかる実験の基礎 第3羽 片対数・両対数グラフを用いた最小2乗法
新型コロナウイルス感染症について,片対数グラフを見かけたり私自身描いているのですが「対数グラフとはなんぞや」ということを伝えたくて漫画を描きました。
「対数グラフで伝染病を見る」(1/3)
サイトにpdfファイルでアップしたのでまとめて読みたい人はこちらにどうぞhttps://t.co/mwrRCkZ6AD pic.twitter.com/0USW9Eil0a
— かずき@グラフ哲学舎 (@kazukigraph) April 10, 2020
(1) 片対数グラフにプロットしてみよう 経過日数 [日]累計感染者 [人]1921532544357461107157821292871036911456 なぜ対数グラフで直線 = 指数関数的な変化なのか例えば、\( \log_ x = 1 \) となる \( x \) を満たすためには \( x = 10^1 = 10 \) となればOKですね。
同じように \( \log_ x = 2 \) であれば \( x = 10^2 = 100 \) で満たしますね。
- \( \log_ x = 3 \) の場合 \( x = 10^3 = 1000 \)
- \( \log_ x = 4 \) の場合 \( x = 10^4 = 10000 \)
- \( \log_ x = 5 \) の場合 \( x = 10^5 = 100000 \)
となるように、対数の値が 1, 2, 3, … と等間隔(直線)に増えていく場合、元の数は 1, 10, 100, 1000, … と指数関数(今回は \( 10^x \) 的に)増えていきますね。
(2) 片対数グラフと最小2乗法 (a) 式の導出法片対数グラフで直線になるということは、縦軸である \( y \) 側のデータを対数で変換すれば直線になると言い換えられますね。
これを数式的に表すと、\( Y = \log_ y \), \( X = x \) とおきかえることで直線 \( Y = aX + b \) が成立すると言い換えられますね。
ここで、直線 \( Y = aX + b \) に対し、\[X = x, \ \ \ Y = \log_ y\]を代入し、もとの \( x \), \( y \) の式に戻してあげると\[\log_ y = ax + b\]となります。
ここで、\[y = 10^ \cdot 10^\]の \( 10^ \) が煩わしいと思った人は \( b' = 10^ \) とでもおいて、\[y = b' 10^\]としてもOKです。
(b) 実際のデータに適用 経過日数 [日]累計感染者 [人]1921532544357461107157821292871036911456ここからは、「日数」を \( x \) 軸、「感染者数」を \( y \) 軸として説明していきます。
まず、\[X = x, \ \ \ Y = \log_ y\]に変換した後の各データを表に書いてみましょう。
X (日数)Y (感染者数の対数)10.95421.17631.39841.63351.86962.04172.19682.32692.458102.567112.659このデータに対し、最小2乗法を適用すると、\[\beginY & = 0.1725X + 0.8992\\ & = aX + b\end\]となります。
この \( a = 0.1725 \), \( b = 0.8992 \) を変換後の式\[y = 10^ \cdot 10^\]に代入してあげましょう。
片対数グラフにおける回帰直線の求め方指数関数的な増減をしそうなデータ の回帰直線を求める場合、\[X = x, \ \ \ Y = \log_ y\]と置いてから最小2乗法を適用し、\[Y = aX + b\]の \( a \), \( b \) の値を求めると回帰直線\[y = 10^ \cdot 10^\]と変形することができる。
4.両対数グラフについて
(1) 両対数グラフにプロットしてみよう 星の名軌道半径 [地球]公転周期 [地球]水星0.3870.240金星0.7230.615地球1.001.00火星1.521.88木星5.2011.9土星9.5529.5天王星19.284.0海王星30.1165 (2) 両対数グラフと最小2乗法 (a) 式の導出法両対数グラフを書いて直線になるということは、2つの変数 \( x \), \( y\) に対して\[X = \log_ x, \ \ \ Y = \log_ y\]とおいたときに直線 \( Y = aX + b \) となるといいかえられます。
まず、直線 \( Y = aX + b \) の式に、\( X = \log_ x \), \( Y = \log_ y \) を代入します。すると、\[\log_ y = a \log_ x + b\]となりますね。
(\( b = \log_ b' \) なので \( b' = 10^b \) となる。)
つまり、データが \( x^2 \), \( x^3 \), … , \( x^a \) のようなべき関数*4な変換をするものに対して、両対数がグラフが有効なものといえます。
(もちろん \( x^ \) のように \( a \) が負でもOK)
(b) 実際のデータに適用してみよう 星の名軌道半径 [地球]公転周期 [地球]水星0.3870.240金星0.7230.615地球1.001.00火星1.521.88木星5.2011.9土星9.5529.5天王星19.284.0海王星30.1165今回は、軌道半径を \( x \)、公転周期を \( y \) としましょう。
ここで、\[X = \log_ x, \ \ \ Y = \log_ y\]とおきます。すると、それぞれの星の \( X \), \( Y \) は下のようになります。
星の名XY水星-0.412-0.620金星-0.141-0.211地球0.0000.000火星0.1820.274木星0.7161.076土星0.9801.470天王星1.2831.924海王星1.4792.217このデータに対し、最小2乗法を適用すると、\[\beginY & = 1.500X + 5.966 \times 10^\\ & = aX + b\end\]となります。
この \( a = 1.500 \), \( b = 5.966 \times 10^ \) を変換後の式\[y = b' x^a \ \ \ ( b' = 10^b )\]に代入してあげましょう。
少し言い換えると、公転周期 \( T \) の2乗は軌道半径 \( a \) の3乗に比例することを示せましたね。
両対数グラフにおける回帰直線の求め方べき関数的な増減をしそうなデータ の回帰直線を求める場合、\[X = \log_ x, \ \ \ Y = \log_ y\]と置いてから最小2乗法を適用し、\[Y = aX + b\]の \( a \), \( b \) の値を求めると回帰直線\[b = \log_ b' \ \to \ b' = 10^b \]より、\[\beginy & = b' \cdot x^a \\ 10^b \cdot x^a\end\]と変形することができる。
5.Excel上で片・両対数版の最小2乗法を計算させる
(1) 片対数グラフの回帰曲線を求める場合片対数グラフの回帰曲線 \( y = 10^b \cdot 10^ \) の \( a \), \( b' \) の値を求める場合、近似曲線のオプションで「指数近似」を選びましょう。
グラフに数式を表示する、にチェックを入れたら無事\[y = 92.00 e^\]と表示されましたね。(数字の表示桁数は各自で調整しましょう。)
※出た値に \( \frac \) 倍すれば \( 10^ \) の形に直せます。
(2) 両対数グラフの回帰曲線を求める場合両対数グラフの回帰曲線 \( y = b' \cdot x^a \) の \( a \), \( b' \) の値を求める場合、近似曲線のオプションで「累乗近似」を選びましょう。
グラフに数式を表示する、にチェックを入れたら無事\[y = 0.0004630 x^\]と表示されましたね。
6.さいごに
- 片対数・両対数グラフの書き方
- 片対数グラフが有効な例(感染者の増加)
- 両対数グラフが有効な例(ケプラーの第3法則)
- Excelで片対数グラフ、両対数グラフを書く方法
*3 : 80,90,100, 200, 300のように100を超えるとさらに値が10倍されるのも \( \log_ 100 = 2 \) が足されているからです。
*4 : 多項式関数でもいいが、多項式関数だと \( x^ \) のような負の次数をもつべき関数が表現できない。
公開日: 2019年9月30日 更新日: 2022年5月25日 この記事を書いた人 コメント一覧 コメントはありません。 関連記事 【なぜ当選確実がすぐ出るの?】うさぎでもわかる開票速報の仕組み うさぎでもわかる信号処理 番外編 ブロック図(ブロック線図)の読み方・書き方 うさぎでもわかるC言語における関数の作り方 離散数学 述語論理の補足+演習問題 うさぎでもわかる計算機システム Part03 固定小数点・浮動小数点 うさぎでもわかる信号処理 第01羽 z変換のいろは 3時間で復習! グラフ理論(離散数学後期)後編 うさぎでもわかる信号処理 第04羽 ディジタルシステムの極・零点と安定性 【最小2乗法】うさぎでもわかる実験の基礎 第2羽 最小2乗法 うさぎでもわかる複素解析 Part3 複素べき級数の収束半径・複素べき級数の総和カテゴリー
各種便利ツール・問い合わせ- 【完全無料】離散数学演習ツール・計算機まとめ
- 【ハッセ図】上界/下界・最大元/最小元・極大元/極小元・上限(最小上界)/下限(最大下界) 判定ツール
- 【ハッセ図】述語論理(∀・∃)真偽判定ツール
- 【離散数学】べき集合 2^A・P(A) 自動計算&全列挙ツール
- 【離散数学】真理値表 自動作成ツール(途中式あり)
- 【離散数学】集合の「∈・⊆」真偽チェッカー(答え合わせ用)
- 【離散数学テスト対策】真理値表の穴埋めガチ演習ツール
- 【離散数学テスト対策】集合の「∈・⊆」ガチ演習! 弱点分析つき○×ドリル
目次
- 1.片対数・両対数グラフとは
- (1) 片対数グラフとは
- (2) 両対数グラフとは
- (1) 対数グラフの1目盛りあたりの単位
- (2) 不思議な目盛り間隔の理由
- (1) 片対数グラフにプロットしてみよう
- なぜ対数グラフで直線 = 指数関数的な変化なのか
- (a) 式の導出法
- (b) 実際のデータに適用
- (1) 両対数グラフにプロットしてみよう
- (2) 両対数グラフと最小2乗法
- (a) 式の導出法
- (b) 実際のデータに適用してみよう
- (1) 片対数グラフの回帰曲線を求める場合
- (2) 両対数グラフの回帰曲線を求める場合
工業大学生ももやまのうさぎ塾 (Momousagi Academy)
コンピュータグラフィックス コンピュータビジョン- 1.片対数・両対数グラフとは
- (1) 片対数グラフとは
- (2) 両対数グラフとは
- (1) 対数グラフの1目盛りあたりの単位
- (2) 不思議な目盛り間隔の理由
- (1) 片対数グラフにプロットしてみよう
- なぜ対数グラフで直線 = 指数関数的な変化なのか
- (a) 式の導出法
- (b) 実際のデータに適用
- (1) 両対数グラフにプロットしてみよう
- (2) 両対数グラフと最小2乗法
- (a) 式の導出法
- (b) 実際のデータに適用してみよう
- (1) 片対数グラフの回帰曲線を求める場合
- (2) 両対数グラフの回帰曲線を求める場合