小学4年理科「もののあたたまり方」~見えない粒子をイメージしながらずっと役に立つ概念を育てる~(大日本図書)
本単元といえば、一昔前は お風呂の水は上の方が熱くなる のはなぜかという疑問からスタートしていた。 ストーブをつけると透明なもやもやしたものが上がる とか、 部屋の上の方だけ温まる ことも身近だった。最近の家では給湯システムや暖房システムが変わり、水や空気のあたたまりかたにムラが出ることは少ない。そのため 「水(空気)が移動しながら温まる」という発想が出にくくなっている と思われる。児童の生活経験に合った事象や例を工夫する必要がある。
本単元で身に付けたい資質・能力
金属、水及び空気の性質 について、 熱の伝わり方 に着目し 温度の変化 と関係付けて調べる。それらの活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
- 金属は熱せられた部分から順に温まる が、 水や空気は熱せられた部分が移動して全体が温まる ことを理解する。また観察、実験などに関する技能を身に付ける。
- 金属、水及び空気の性質について追究する中で、 既習の内容や生活経験を基に、金属、水及び空気の温度を変化させたときの熱の伝わり方 について、根拠のある予想や仮説を発想し、表現すること。
単元の評価基準
知識・技能- 金属は熱せられた部分から順に温まる が、 水や空気は熱せられた部分が移動して全体が温まる ことを理解している。
- 観察、実験などに関する技能を身に付けている。
- 金属、水及び空気の性質について追究する中で、 既習の内容や生活経験を基に、金属、水及び空気の温度を変化させたときの熱の伝わり方 について、根拠のある予想や仮説を発想し、表現している。
- 空気、水及び金属の性質についての事物・現象に進んで関わり、他者と関わりながら問題解決しようとしている 。また 学んだことを学習や生活に生かそうとしている 。
本単元の難しさ
見えない空気と水の様子をイメージすること4年生になり、どの教科でも抽象的な内容が増えてきている。理科でも、 水や空気、電気のふるまいなど見えないものをイメージする必要がある 。教師はもちろん児童同士のイメージがばらばらだと、同じ言葉で「水は上から温まる」といっても「温められた水が上に移動する」のか、「上にある水が温まり、下にある水に熱がつたわっていくのか」ははっきりとしない。 児童の発達段階もふまえて、水や空気を簡単にかけるキャラクターにおきかえてイメージ化し、思考の手立てとするとよい 。
近年のお風呂や暖房事情単元終了時 に、 これらの電化製品を使っていて温度にむらがでないのはなぜか考えさせる とよい。暖房と冷房では風の吹き出し口の向きが違うことや、風呂の給水口が下にあることなどに気付くだろう。 温まり方の特性を考慮して商品が作られていることを理解する ことができる。
単元開始までの準備
暖房器具のチェック大日本図書の教科書では、 本単元は1~2月に設定 されている。寒さが厳しいころなので、学校の暖房器具はいつも稼働している。学校にはどのような暖房器具があるか、探しておくとよい。 オイルヒーターや、石油ストーブなど、風が吹き出さないが部屋全体を温める用途の暖房器具があるとよい 。しばらく使ってなさそうであれば、 試運転をして安全確認 をしておく。
実験器具の準備高価だが毎年使うものなので、学校にあることが多い。 全ての班が実験する場合に必要な量をそろえておく 。なければ購入する。(なくても温度計で代用できる)
水の温まり方を調べる実験では、 ビーカーの大きさによって水の動きが変わってくる 。予備実験をして、 水の動き方が一番よくわかるものを選んでおく 。(ビーカーが小さすぎると、すぐに温まってしまい動きがよくわからない)
実験用ガスこんろ や アルコールランプ が便利である。実験用ガスこんろは、ガスボンベをセットして火がつくか確認する。 アルコールランプはアルコールや芯を調整 し(指導書に詳細な使い方が載っている)、 燃えさし入れやぬれ雑巾なども同じ数だけそろえておく 。
単元の展開【全7時】
第1次 金ぞくのあたたまり方 1時 中華なべの火が当たっていない部分も熱くなるのはなぜだろうか。- 動画で調理中の中華鍋の温度が上がっている様子を視聴する。
※ 動画を見せる前に、中華鍋のどこが熱くなっているか簡単に予想 をする。 火の近くが熱くなっていそうなのに、全体が均一に熱くなっているという 疑問をもたせることができる。
※動画では、中華鍋全体の温度をサーモカメラで撮影された様子が二度表示される。二度目は最初よりも全体的に温度が上がっている。こんろの火よりも鍋が大きいことから、 「火から離れたところも熱くなっているのはなぜか」 と問い、次時の問題を設定する。
※問題を作る過程では、既習の「ものの温度と体積」の学習で得た知識が活用されると考えられる。 第2次の水や空気の温度の上がり方はどうかという視点もこの段階で話題にしておくとよい 。日常生活にも話を広げ、「あたためる」ことを広く考えておきたい。
- 火に近いところが熱いかと思っていたが、鍋全体が熱くなっている 。
- 食材は鍋ほど温度が高くなっていない。
- 中華鍋は金属でできている 。
- 金属は「ものの温度と体積」で熱したけど、体積が変わるまで熱くなるには時間がかかった。
- 鍋といえば、 スープを作るときに水を温める よ。 金属と温まり方は違うのかな 。
- 最近寒いから、 エアコンで空気を温める よ。鍋みたいにすぐ温かくなればいいのに、空気はなかなか温まらないよ。 空気をすぐ温める方法はないかな 。
- 学校はエアコンだけど、特別教室には火を使うストーブもあるよ。温まり方が違うのかな。
- 金属の温まり方を予想する。
※中華鍋の中心を熱したときの温度の上がり方を、 図にかきこみながら予想 する。
- 予想をたしかめるための方法を考える。
※サーモテープを紹介し、 予想ごとにどのような結果になるか考えさせることで見通しをもった実験にする 。
- 実験の準備をして、アルコールランプの使い方を練習する。
※ アルコールランプは狭い範囲を加熱する ことができ、金属の温まり方を調べるのにちょうどよい。アルコールランプの使い方を指導する時間を確保するため、予想を前時にしておくとよい。
※ 実験の様子を動画で記録 する係を班で一人ずつ決めておく。結果をまとめるときに、サーモテープの色が変わる様子を繰り返し観察することができる。
※ 実験台の上には実験の道具以外置かない、椅子は机の下に入れて立って実験を行う、長い髪の毛はまとめる など、 安全管理を徹底 する。 落ち着いた雰囲気で実験 ができるようにする。
※実験の様子を撮影した動画をもとに、 サーモテープの色がどのように変化したか観察し、金属の温まり方についてまとめる 。
第2次 水と空気のあたたまり方 第4・5時 水はどのように温まるのだろうか。- 前時に金属を温めた経験をもとに、水の温まり方を予想 する。
- 予想を確かめるための方法を考える。
※ 予想が同じ児童同士で班を編制し、違う実験をする のもおすすめである。
※ サーモインクは水の動きを観察しにくい 。 絵の具や味噌、お茶の出がらし、おがくずなどを使うと全体が対流している様子がよく分かる 。空気の温まり方に関連し、中学校では大気の対流のイメージにつながるため、 水が対流する様子はここで見せておきたい ところである。
- 準備をして実験を行う。
- 結果から考察をする。
- 金属と水を温めた経験をもとに、空気の温まり方を予想 する。
- 予想を確かめるための方法を考える。
- 準備をして実験を行う。
- 結果から考察をする。
- 教科書の問題に取り組んだり、学んだことを自由にノートにまとめたりする 時間をとる。
- 国立教育政策研究所,”「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する指導資料【小学校 理科】”,東洋館出版社,令和2年
- 新編楽しい理科4 東京書籍,令和6年
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