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5 Vol.1 ラストの意味は? テーマとメッセージを考察 | VG (バゴプラ)
5 Vol.1 ラストの意味は? テーマとメッセージを考察 | VG (バゴプラ)

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ネタバレ解説&感想『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1 ラストの意味は? テーマとメッセージを考察

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  • ライター 齋藤 隼飛
  • 更新日 2025.12.27

ネタバレ解説&感想『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1 ラストの意味は? テーマとメッセージを考察

『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Part.1配信開始

2016年にシーズン1が配信され、Netflixを代表するドラマシリーズとなった『ストレンジャー・シングス』。冷戦時代の1980年代を舞台に、オタクカルチャーをふんだんに取り入れながら展開されるジュブナイルSFファンタジーが好評を呼び、9年にまたがり5シーズンが製作される人気作品となった。

ドラマ『ストレンジャー・シングス」はシーズン5がファイナルシーズンとなる。シーズン5は全8話のVol.1が日本時間の2025年11月26日(木)、Vol.2が12月26日(木)、そして最終話が2026年1月1日(木) に配信される。今回は、『ストレンジャー・シングス」シーズン5 Vol.1をネタバレ有りで解説し、感想を記していこう。以下の内容はシーズン5第4話までのネタバレを含むので、必ずNetflixで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意 以下の内容は、ドラマ『ストレンジャー・シングス』シーズン5第4話の結末までの内容に関するネタバレを含みます。
  • 『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1ネタバレ解説
    • これまでの『ストレンジャー・シングス』、ヴェクナとは?
    • ウィル、ホリー、そしてロビン
    • エル達、ヴェクナ、米軍の三つ巴
    • ウィルのクィアネス
    • オマージュと小ネタもたっぷり
    • 『5次元世界のぼうけん』とミスター・ワッツイット
    • カマゾッツからの脱走
    • マイクとロビンの言葉
    • 捕まっていたのは…?
    • ラストの意味は?
    • 開かれたシーズン5
    • シーズン5の今後を考察
    • 出演者たちの発言をめぐって
    『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1ネタバレ解説 これまでの『ストレンジャー・シングス』、ヴェクナとは?

    ドラマ『ストレンジャー・シングス』では、インディアナ州ホーキンスに現れた超能力を持つ少女イレブン(エル)と、ホーキンスと繋がった“裏側の世界”をめぐる物語が描かれてきた。シーズン1では裏側の世界から現れた怪物デモゴルゴンとの戦い、裏側の世界に拐われたウィルの奪還が描かれた。

    シーズン2では裏側の世界を支配するマインド・フレイヤーが登場。表の世界への侵食を目論みデモドッグを送り出すが、エルは裏側の世界のゲートを閉じることに成功した。シーズン3ではソ連の研究施設で新たなゲートが開かれる。エルはマインド・フレイヤーに操られたビリーを倒し、ホッパーとジョイスは新たなゲートを閉じることに成功している。

    そして、『ストレンジャー・シングス』シーズン4では、心に傷を抱える人々に取り憑き殺害するヴェクナが登場。エルは過去の記憶を取り戻していく中で、自身が被験者「011」として能力の開発が行われていた施設で出会ったワン(001)ことヘンリー・クリールがヴェクナの正体であったことを思い出した。

    ワンは元々強力なパワーを持っていた最初の被験者だったが、エルに抑制装置を外してもらうと施設の人々を殺害。エルはそのワンを裏側の世界に追放し、ワンは裏側の世界でマインド・フレイヤーを創り出した。すべての元凶はワン/ヴェクナ/ヘンリーだったのだ。

    エルはヴェクナを倒すことに成功したが、裏側の世界と繋がるウィルはヴェクナの存在を感じ取っていた。ヴェクナの脅威が去っていないことを予告した状態で、『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1は幕を開けるのだ。

    ウィル、ホリー、そしてロビン

    エル以外で『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1で中心的なキャラになるのは、ウィルとホリーだ。シーズン5第1話の冒頭は1983年11月12日、つまりシーズン1でウィルが失踪した時のことが描かれる。シーズン1でウィルを誘拐したのがヴェクナがだったことが改めて示されている。ヴェクナの最初の狙いはウィルだったのだ。

    そして、シーズン1で登場していたウィーラー家の末っ子でナンシーとマイクの妹に当たるホリーにもスポットライトが当てられる。ホリーは過去に裏側の世界に気づいているような描写もあり、シーズン3では花火に夢中の両親をよそに森の異変に気づく様子も描かれた。シーズン5のホリー役は、ネル・フィッシャーが新たに演じている。

    『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1のホーキンスは、シーズン4でのヴェクナとの戦いで起きた地震をきっかけに外部から隔離されている。マックZと呼ばれている震源地には巨大なゲートが開いており、軍がこれを管理している。すっかり様変わりしたホーキンスが舞台になるのだ。

    主要キャラたちの様子も一変している。ロビンはラジオDJになり、ヴィッキーともうまくいっているようだ。だが、ダスティンはエディ・マンソンの死から立ち直れておらず、エディが主宰だったヘルファイアクラブのTシャツを着て周囲とも対立している。

    コミックリリーフ(緊張を緩和するお笑い役)だったダスティンが困難にある中で、新たに中心的なコミックリリーフの役割を担うのがロビンだ。そしてロビン特有の“光属性”が『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1では大きなポイントになる。

    エル達、ヴェクナ、米軍の三つ巴

    シーズン4でヴェクナに目をつけられたマックスは昏睡状態エルは軍から身を隠しホッパーと訓練をしているという状況で、一同は裏側の世界を探っている。ヴェクナの脅威はまだ去っていないのだ。

    ラジオ電波に詳しいロビンがストーリーを牽引しているということもあり、シーズン5 Vol.1では、ラジオで暗号を伝えたり、表と裏の世界で周波数を合わせて無線連絡をしたりと、一同はアナログかつギーク(オタク)な方法で裏側の世界を探索する。シーズン4は離れ離れになった一同がネットで繋がるように裏側の世界で繋がっていたが、シーズン5ではより地に足のついた手段を使っていた印象だ。

    そして、裏側の世界にはすでに基地が建設されており(異世界にも駐留するなんて米軍らしい)、シーズン5の新キャラクターとしてケイ博士が登場する。演じるのはリンダ・ハミルトン。『ストレンジャー・シングス』といえばシーズン3では「ターミネーター」オマージュも見られたが、ついに「ターミネーター」シリーズでサラ・コナーを演じてきたリンダ・ハミルトンがキャストに加わった。

    そんな中、ヴェクナの操るデモゴルゴンがウィーラー家を襲い、ホリーは裏側の世界に連れ去られてしまう。シーズン1でウィルが連れ去られ、マイクたちがウィルを探す展開の反復だ。シーズン1でウィルが失踪したのは1983年11月。シーズン5 Vol.1では4年が経過した1987年11月、ホリーの失踪をきっかけにストーリーが展開していく。

    ウィルのクィアネス

    失踪したホリーの捜索に一役買ったのはウィルだ。ウィルは裏側の世界から帰ってきた後も、裏側の世界のハイブマインド(集合精神)に接続されていたが、ロビンはウィルがラジオ受信機のようになっていると推測。ヴェクナはマインド・フレイヤーの粒子を電波のように操っており、その電波に近づくとウィルがそれを受信してビジョンを見るという仕組みになっていたのだ。

    シーズン4の終盤ではウィルが「エルの言葉」としてマイクへの想いを打ち明けるシーンがあり、米Varietyではマイク役のフィン・ヴォルフハルトがウィルはゲイでありマイクを愛していると発言している。先輩としてロビンがリードするウィルのクィアネスは、シーズン5 Vol.1のストーリーの根幹に置かれているのだ。なお、ウィルを演じるノア・シュナップ自身もゲイであることをオープンにしている。

    ウィルは自分が見るビジョンがヴェクナの視点だということに気が付く。ハイブ・マインドをコントロールしているヴェクナは、標的を探すとき標的の心に入り込み、相手が見ているものを見るのだという。ウィルはその視点を共有することができるのだ。

    ホリーが「ミスター・ワッツイット」と呼んでいたヴェクナ/ヘンリーは、ホリーを拐って自分の記憶の中の世界へと連れ去っていた。だが、ヘンリーの狙いはそれだけでなく、他にも多数の子どもを集めることにあった。ウィルが見たヴィジョンによるとヘンリーは12人の子どもを集めようとしているものと見られ、一同は先回りして子ども達を守る作戦に乗り出すのだった。

    一方、裏側の世界への潜入でそのまま取り残されたホッパーと、ホリーを追って裏側の世界に行き、ホッパーと合流したエルはシーズン5の前半のほとんどを二人で過ごすことになる。これまでのシーズンでは離れ離れになることが多かった二人だが、最後に二人で戦うフィナーレが用意されている。

    特にシーズン5 Vol.1では、ホッパーがかつてベトナム戦争に出兵していた退役軍人という設定が活かされ、手榴弾やマシンガンを使ったバトルが展開される。相手はエルを狙う米軍だ。かつて娘のサラを失ったホッパーは、エルを失わないように命懸けで国家を敵に回して戦うのだ。

    オマージュと小ネタもたっぷり

    米軍はエルの動きを止める音響装置を開発。ホッパーはこれを「クリプトナイト」と呼ぶ。クリプトナイトとは、スーパーマンを弱体化させる石のことで、様々な場面で「弱点」の代名詞として使われている。

    特に第3話でデモゴルゴンに発信機を取り付ける際のターンボウ家でのトラップ作戦は、明確に「ホーム・アローン」のオマージュだろう。クリスマスの定番映画でもある「ホーム・アローン」だが、『ストレンジャー・シングス』シーズン5は年末にかけてのクリスマスシーズンに合わせた配信となっている。

    また、ナンシー達と合流する際のジャスティンのセリフには「ロビンがバットシグナル出したらしい」というものもある。バットシグナルはバットマンを呼ぶためのサーチライトのことで、ロビンはバットマンのサイドキック(相棒)のことだ。

    『5次元世界のぼうけん』とミスター・ワッツイット

    そして、シーズン5 Vol.1における最大の引用元は、ホリーが読んでいたマデレイン・レングル『5次元世界のぼうけん』(1962) だ。原題の『リンクル・イン・タイム』というタイトルでディズニーが2003年にテレビ映画化、2018年には劇場公開作品としてエイヴァ・デュヴァーネイ監督が映画化している。エイヴァ・デュヴァーネイといえばNetflix配信の『ボクらを見る目』(2019) の監督でもある。

    『5次元世界のぼうけん』/『リンクル・イン・タイム』には、子ども達を異次元の世界へと連れていくミセス・ワッツイットという人物が登場する。ホリーは、自分を安全な場所に連れていくと言うヴェクナ/ヘンリーを「ミスター・ワッツイット」と呼んでおり、ヴェクナが狙う子ども達はいずれもこのミスター・ワッツイットの姿を見ていた。

    特筆すべきは、ウィル失踪の反復を描く展開で中心に据えられたホリーが、かつてマイクやジャスティンが「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の用語を使って裏側の世界に説明をつけていたように、ホリーも『5次元世界のぼうけん』/『リンクル・イン・タイム』の言葉を使うという点だ。

    『5次元世界のぼうけん』/『リンクル・イン・タイム』という作品は活発な女の子を主人公にした冒険譚で、1960年代初頭にあっては前衛的な作品だった。それに影響を受けたであろうホリーはミスター・ワッツイットの家で森に向かわないようにと言われても、ボーイスカウトのアイテムを身に纏って森の中へと進んでいく。

    『ストレンジャー・シングス』は、世間から「ストレンジ(変人)」と言われるような「オタク」たちに寄り添った作品だったが、一方で男の子が好きそうなものばかり取り上げられるボーイズクラブ的な要素も強かった。けれど、「オタク」になるほど夢中になる対象は人それぞれだ。だから、最終シーズンではホリーによって、『5次元世界のぼうけん』/『リンクル・イン・タイム』の言葉で世界が再定義されるのである。

    『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1 ラストをネタバレ解説&考察 カマゾッツからの脱走

    『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1 第3話のラストでは、森を抜けたホリーがマックスと出会う。マックスはシーズン4でヴェクナの標的になり意識不明の状態となっていた。マックス曰く実際に一度死んだのだが、虹の部屋で目が覚め、その後1959年のホーキンスにいたという。

    1959年のホーキンスというのは、2023年にロンドンのウエストエンドで上演された前日譚の演劇『ストレンジャー・シングス:始まりの影』の舞台となっている時代でもある。

    マックスは今ホリーがいる世界を、ヘンリーの記憶でできた牢獄だと表現している。マックスとホリーはヘンリーの記憶に閉じ込められているのだ。ここでホリーはこの世界を、イットという巨大で邪悪な力に支配されたカマゾッツという闇の惑星だと、『5次元世界のぼうけん』/『リンクル・イン・タイム』の言葉を使って説明をつける。カマゾッツには主人公メグのパパが囚われており、ヘンリーがイットでマックスがパパだと置き換えて、未知の世界を理解するのだ。

    マックスは、ルーカスが表の世界の病室で流していたケイト・ブッシュ「Running Up That Hill」(1985) を耳にする。音楽を追っていくと、ひどい記憶の最後に表側の世界への出口があった。しかし、振り返るとそこにはヘンリーが立っており、マックスは逃げ延びた洞窟にヘンリーが怯えている姿を目にした。それからマックスはこの洞窟に住んでいるのだ。

    それでも、ホリーとの出会いを経て、共にこの“カマゾッツ”から逃げ出すことを決意。ヘンリーは何を恐れているのか。マックスとホリーの生還の鍵は、“ヘンリーの記憶”をめぐる謎を解くことにありそうだ。

    マイクとロビンの言葉

    『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1第4話のハイライトの一つは、マックZでの「大脱走」だ。ロビンが作戦を主導し、軍によってバスで集められる子ども達の中から、ミスター・ワッツイットが接触していた子ども達をマックZから逃すのだが、劇中でも触れられているように映画『大脱走』(1963) にインスピレーションを受けており、BGMでもテーマ曲の「大脱走マーチ」が流れている。

    囮として潜入したデレクはG.I.ジョーのランチボックスに通信機を入れて、トイレの地下から脱出を主導する大人達に子ども達を引き渡していく。あんなに嫌な奴だったのに、頼りになるし憎めなさがあるデレク。本当に怪物を見たという危機感もあるだろうが、ジョイスがリスペクトを持って接しているおかげもあるのかもしれない。

    この作戦に至るまでに、ロビンとウィル、そしてジョイスは対話を重ねていく。ウィルの手を引いて自由に羽ばたかせようとするロビンと、引き留め安全な場所にいさせようとする母ジョイスは、ウィルにとって対局の位置にいる。

    ジョイスはシーズン1でウィルの失踪を許し、8時間も気づけなかったことに罪悪感を抱いており、ウィルはそれを理解する。ジョイスはデモゴルゴンとの戦いでは斧を振り回して子ども達を守った。愛は檻にもなり得るが、盾にもなるのだ。

    一方でロビンはヴィッキーとの関係について、雪玉が雪崩になっていったと楽しそうに語る。ウィルはマイクへの想いを重ね合わせて聞いたのではないだろうか。そのマイクは、大脱走を前に、ウィルはヴェクナのようにハイブマインドを通してデモゴルゴンを操れるのではないかと予想する。

    「君の力は内なる力だからソーサラーに近い」と語るマイクは、ウィルが他者と違うことを特別なこととして評価する。シーズン4第8話では、ウィルはエルに頼まれて描いたと言って絵を見せながら、他の人と違うから自分を出来損ないだと感じる、でもマイクはエルが人と違うから特別なんだって尊敬してくれると、自分のマイクに対する想いをエルの気持ちということに伝えていた。シーズン5 Vol.1 第4話では、それに対するアンサーとして、マイクは力を持つウィルに敬意を持って接するのだ。

    その様子を見ていたロビンは、シーズン3にも登場した、ロビンが恋していたタミー・トンプソンのことをウィルに話す。ロビンはタミーに夢中だったが、タミーはスティーブに夢中だった。失恋したロビンだったが、小4の頃の自分の映像を見つけ、小さい頃の自分は自分の全てを愛していたと思い至ったのだという。

    問題はタミーとの恋ではなく、答えは自分の中にあると知ったロビンは、怖がるのをやめたという。それは、セクシュアルマイノリティとして自分を抑圧せずに生きるということだろう。本当の自分を恐れなければ、自由になって空だって飛べる気がした、というロビンの教えは、マイクからのウィルへの敬意と共に『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1ラストの展開へと繋がっていく。

    捕まっていたのは…?

    ナンシー、ダスティン、スティーブ、ジョナサンは、デモゴルゴンがデレクを襲った際に車ごと裏側の世界へ。ダスティンは電波干渉が起きた位置から、ホーキンス研究所が壁を作っていることを突き止める。この壁は、ホリーを拐ったデモゴルゴンの血痕を追って行ったエルとホッパーが突き当たったもので、ホリーはその先にいると考えられている。

    エルとホッパーは協力してケイ博士を倒すと、基地の最深部に部屋に到達。そこに捕まっていたのは、エイト(008)ことカリだった。エイト/カリはシーズン2に登場。家出したエルと姉妹として再会したが、エルは仲間危険を察知してホーキンスに帰っていた。その後カリは軍に捕えられていたようだ。

    シーズン4で描かれた通り、イレブンとエイト以外の子ども達はワンによって殺されており、ワン/ヴェクナ、イレブン/エル、エイト/カリの三人が生存している被験体ということになる。カリは音響装置で動けないようにされていることから、何らかの作戦に協力させられているものと考えられる。

    ラストの意味は?

    『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1第4話のラストでは、運び屋になったマレーが子ども達を逃がそうとするが、世界に亀裂が増えていき、デモゴルゴンとデモドッグが次々と現れる。そして、マックZのゲートで裏側の世界から歩いてきたのはヴェクナだった。

    兵士たちを一掃する圧倒的ラスボス感。惨殺事件の容疑者としてエルを追い続けてきたサリバン中佐も火だるまに。死んではないと思うので、これで軍がエルに協力する流れができるだろうか。なお、後頭部から顔を貫かれてヴェクナに殺されたのは、ケイ博士に「子ども達を囮に使うなんて」と抗議していたラミレス軍曹だ。かわいそうに。

    子ども達を乗せたマレーのトラックもデモゴルゴンに襲われ、地下を逃げていたルーカスの前にもデモゴルゴンが現れる。ちなみにヴェクナはジョイスを念力で投げ飛ばすが殺してはいない。プレデターのように非武装のものは狙わないのか、何らかの選別を行なっているのだろうか。

    ヴェクナはウィルを持ち上げると、なぜ子ども達を選んだのか分かるかと尋ねる。ヴェクナは世界を作り直すため、体も心も弱い子どもを選んだと明かし、子どもを「簡単に作り直せて支配しやすい完璧な器」と表現する。

    『ストレンジャー・シングス』の特徴は、父と母の属性を持つキャラが過保護である場合が多いという点にあるが、こんなにあからさまに子どもを狙うヴィランを前にすると、その過保護さも納得できてしまう。

    ミスター・ワッツイットと会った子ども達が裏側の世界へと連れ去られる中、ヴェクナはその最初の標的がウィルだったと明かす。ヴェクナは、ウィルを通して一部の人々の心はこの世界に属していないということを知ったという。

    つまり、ヴェクナは心を支配して自分の力にし、表の世界と繋がることができると考えたのだろう。だが、ウィルは成長して大人になっていく。新たに子どもを集めているのは、ウィルに代わるか弱い器が必要になったということなのだろうか。

    回想では、シーズン3第3話でかつての仲間との距離を感じて秘密基地のバイヤーズ城を破壊するウィルの姿、シーズン4第8話でマイクに間接的に想いを打ち明けた後に顔を背けて涙するウィルの姿が描かれている。それぞれ、オタクとして仲間に取り残された感覚と、セクシュアルマイノリティとしての居場所のなさを象徴する出来事であり、ウィルのギークネス(オタクらしさ)とクィアネス(男女二元論に当てはまらないあり方)が表現されている。

    そんなウィルを、ヴェクナは「私の世界に属している」と告げて裏側の世界に戻っていく。もはやヴェクナはウィルを自分側の人間と考えていて、殺すつもりがないのかもしれない。だがここで、デモゴルゴンがマイクを襲い、ウィルは「答えは自分の中にあった」というロビンの言葉を思い出す。

    マイクがウィルに話しかけた最初の記憶、絵を描いて母に見せ、ジョナサンとヴァイヤーズ城を建てて、ソーサラーの格好をするウィル。「怖がるのをやめるだけでよかった」というロビンの言葉と共にウィルは覚醒。マイク、ルーカス、ロビンを襲う各地のデモゴルゴンの動きを止めて見せたのだった。

    関節がひしゃげて死ぬ3頭のデモゴルゴンの姿は、ヴェクナがシーズン4で人間達にやったことをそっくりそのまま再現している。ウィルにヴェクナと同じ力が目覚めたことが示唆されると共に、ウィルがエルのように能力を使った後に鼻血を流す姿を映し出して『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1の全4話は幕を閉じている。

    『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1ネタバレ考察&感想 開かれたシーズン5

    『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1は期待を裏切らない見事な4話が用意されていた。『ストレンジャー・シングス』の魅力は膨大な過去作品からの引用やオマージュにあるが、同時に本作自体の着地点をどこにするのかということは課題でもあった。

    『ストレンジャー・シングス』は当初、“オタク”とされる少年たちが町を救う物語としてスタートしたが、異性愛の規範が強く、出てくる少女達がすぐに異性として見られる、ボーイズクラブ的な雰囲気が強かった。それが変化し始めたのはロビンが登場したシーズン3からで、スティーブはやはり新キャラのロビンに好意を寄せるが、この世界にいるのは異性愛者だけではないという至極当然の事実を提示した。

    シーズン5 Vol.1では、レズビアンであるロビンとゲイであるウィルをメインに置き、オタクだけでなく、性的少数者達もまた「ストレンジ」として見られる状況がテーマになった。まだ同性婚も法制化されていない1980年代、さらに伝統的に共和党の牙城で保守的なインディアナ州を舞台にした設定がより生きてくる。

    だが、決して「オタク」を捨てたわけではない。この動きは、「この世界が自分の居場所だと感じられない者」の範囲をさらに広げる“包摂(インクルーシブ)”の動きだ。そのテーマは、悪意に満ちた世界で自分が自分らしくあれるか、という課題に帰結する。

    そして、『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1では、「オタク」の定義自体も開いていく努力が見えた。新たにヴェクナに狙われたホリーが、『5次元世界のぼうけん』/『リンクル・イン・タイム』の言葉を使って世界を定義していくのだ。

    すでに解説したように、『5次元世界のぼうけん』/『リンクル・イン・タイム』は活発な少女の冒険譚として知られており、必ずしも男の子達が嗜むカルチャーの中にいなくても良いという優しいメッセージが感じ取れた。このように、様々な人々に“ゲート”を開いたのがシーズン5 Vol.1の魅力だと言え、「オタクは排他的な存在であってはいけない」と訴えかけているようにも感じた。

    シーズン5の今後を考察

    『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1のラストで提示されたのは、①エイト/ケイが基地に捕えられていたこと、②壁を作っているのはホーキンス研究所らしいということ、③ヴェクナは世界を作り直すために12人の子ども達を捕えようとしているということ、主にこの三つだ。

    最後にヴェクナはウィルを殺さなかったが、自分の側につくという確信があるのだろうか。集められている12人については、裏側の世界に気づいている仕草を見せていたホリーも含めて、超能力が目覚める素質があると判断されたということなのかもしれない。事実、その最初の一人だったウィルは今回スーパーパワーを目覚めさせている。

    単純に考えると、ヴェクナはかつてエルたちがいた施設を復活させようとしているとも考えられる。ただし、自分が支配者になる施設を。子どもを捕らえる柱は12人分用意されているようだが、シーズン4ではオリジナルの施設はエイティーンの存在まで確認できている。

    ワン+12人という構成は、聖書で描かれたイエス・キリストと12人の弟子(12使徒)を想起させる。あるいは、シーズン4で振り子時計がヴェクナの殺しのモチーフになったように、時計に関連する数字なのかもしれない。アメリカなら12個で1ダースという意味もあり……。

    捕まっていたエイト/カリと裏側の世界の壁については、もしかすると一つの要素なのかもしれない。シーズン2で描かれた通り、カリは幻覚を見せる能力を持っている。あの肉の壁の大部分は実は幻覚で、軍がエルやヴェクナにホーキンス研究所に行かさないようにしている、という可能性もあるだろうか。

    あるいは、カリの力で軍はヴェクナ/ヘンリーに幻覚を見せており、ヘンリーが自分の家だと思って子ども達を連れてこようとしている館は、実際にはホーキンズ研究所なのかもしれない。軍は表側の世界での失敗を受けて、今度は裏側の世界で能力者の子ども達を育てようとしており、ヘンリーはなおも子ども集めに利用されているとしたら……。考察は尽きない。

    気になるのは、やはり誰かが死にそうということである。ジョナサンはナンシーにプロポーズしようとしているし、エルはホッパーに「ありがとう。教えてくれて、信じてくれて」と伝えており、死亡フラグが立ちすぎている。願わくば誰も死なずにフィナーレを迎えて欲しいところだ。

    出演者たちの発言をめぐって

    シーズン5で大活躍を見せるウィル役のノア・シュナップは、2023年11月、イスラエルがパレスチナへの侵攻を続ける中で「シオニズムはセクシーだ」と書かれたステッカーを笑顔で掲げる姿を捉えた動画が拡散された。

    この批判を受け、2024年1月にノア・シュナップは自身のTikTokアカウントで、人質の帰還と同様にパレスチナの罪のない人々の命が奪われることが終わることを願っているとし、イスラエルとパレスチナ双方の平和を求めると釈明。しかし同月、マレー役のブレット・ゲルマンが米TMZに「ノアは謝る必要はなかった」と擁護して火に油を注いだ。

    なお、『ストレンジャー・シングス』はシーズン5がファイナルシーズンとなっており、Vol.2は2025年12月26日(金)、最終話となるフィナーレが2026年1月1日(木) に、それぞれ午前10時から配信される。また、2026年にはシーズン2とシーズン3の間のストーリーを描くアニメーション『ストレンジャー・シングス:1985年の冒険』の配信も予定している。

    『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1 はNetflixで2025年11月27日(木) より独占配信中。

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    社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。

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