チャイコフスキー 交響曲第5番 Op.64
第1楽章は前半の比較的静かな所から既にしなやかで、弦は熱気を帯びています。 ウィーン・フィルの紡ぎだす心地よい響きを堪能 できます。ゲルギエフも盛り上がる個所では遠慮なくテンポアップし、ウィーン・フィルのボルテージを上げていきます。 ラストは突き刺すような頭拍が印象的 です。第2楽章は ウィーン・フィルのコクのある響きが良く 、ホルンも素朴さのある音色で過剰な華麗さが無いのが良いです。自然に楽しめます。 盛り上がると白熱した引き締まった響きで本当に圧倒的 です。ゲルギエフとウィーン・フィルの共演の中でも特別な録音と思います。
第3楽章はワルツですが、ウィーン・フィルのリズム感の良さを感じさせます。ゲルギエフは速めのテンポで進めますが、 ウィーン・フィルのパッチワークのような正確なアンサンブル に圧倒されます。第4楽章は速めのテンポで進みますが、 しっかり地に足のついた演奏で、熱気のあるウィーン・フィルを上手くコントロール しています。後半は、凄い盛り上がりで、ゲルギエフも一気にテンポアップしますが、ウィーン・フィルもしっかりついていっています。テンポを落とす個所もゲルギエフはテンポを落としすぎず、ロシア的なリズムを引き出しています。 ラストはスリリングで圧倒的 です。
新しい録音でロシア的な演奏といえばこの演奏が最右翼だと思います。ロシア的でゲルギエフの良さの出た熱気のある名盤です。
バーンスタイン=ニューヨーク・フィル (1960年) 情熱的でダイナミックな名演指揮 レナード・バーンスタイン 演奏 ニューヨーク・フィルハーモニック
バーンスタインとニューヨーク・フィルの1回目の録音です。ロマンティックな演奏ですが粘りが少なく、 盛り上がると白熱して凄い迫力 です。全集の中でも第5番、第6番は素晴らしいです。録音は1960年でエッジの効いた音質です。
第1楽章の 序奏からバーンスタインらしい濃厚な表現で引き込まれます 。ニューヨーク・フィルもコクのある響きを醸し出しています。主部は速めのテンポでリズミカルです。ニューヨーク・フィルとは思えない程のリズム感の小気味良さがあり、クレッシェンドしてくると白熱して凄い盛り上がりです。ロマンティックな部分はルバートを思い切りかけていますが、すっきりしていて爽快感が勝っています。 何より盛り上がった時の白熱ぶりは他の演奏では聴けない燃え上がり です。
第2楽章はさらに濃厚で、コクのある弦とルバート掛まくりのホルン・ソロは凄く良いです。バーンスタインらしい粘りのあるテンポ取りと暖かみのある響きで味わい深いです。 有名な主題は熱気をはらんで盛り上がり、白熱して行きます 。ここまで躊躇なく盛り上がるのはこの時期のバーンスタインの良さですね。
第3楽章は速めのテンポで軽妙なワルツですが、弦の音色に熱気があります。弦はうねって盛り上がります。第4楽章は 暖かみと味わいのある弦の響き で始まります。主部に入ると 凄い速さと熱気で沸騰せんばかりに白熱 していきます。金管は全開でとてもダイナミックです。バーンスタインはメリハリのある自由なテンポ取りで非常に楽しく聴かせてくれます。ラストはスケールが大きく、アッチェランドがスリリングです。
この時期のバーンスタインとしても好調で、この盛り上がりは凄い ですね。厳しさはありませんが、表現力と盛り上がりはムラヴィンスキーに匹敵する物があります。初めて聴く人にもお薦めのディスクです。
モントゥー=ボストン交響楽団 モントゥーによる自然体で本質を突いた名演!指揮 ピエール・モントゥー 演奏 ボストン交響楽団
モントゥーとボストン交響楽団の録音です。1958年録音ですが、音質は安定しており不満はありません。 モントゥーらしい素朴ながらも本質を突いたチャイ5の名演 です。
第1楽章は冒頭のクラリネットのソロが上手く、 モントゥーは滋味に溢れる演奏 を繰り広げています。主部に入ると中庸のテンポで、しっかりした演奏です。モントゥーはストレートな感情表現はあまりせず、もっと深い所にある曲の良さをしっかり引き出して、充実した演奏を聴かせてくれます。 ボストン響は爽やかな音色で、盛り上がる所ではダイナミック です。
第2楽章はこの演奏の白眉 です。最初から最後まで誇張した表現はなく自然体の演奏で、それで十分内容豊富でじっくり楽しめる演奏です。情熱的に盛り上がる個所も、ボストン響の上手さを活かして白熱したダイナミックな演奏を繰り広げます。それで居ながら自然体で、感情表現は弱すぎず強すぎずで、 少し観客受けを狙ったようなチャイ5の緩徐楽章を純粋な深みのある名曲 として聴かせてくれます。第3楽章も自然体のワルツで、さすがバレエリュッスの指揮者だっただけあります。感情表現というよりは、ワルツとしてもしっかりした演奏です。
第4楽章の冒頭は少し速めのテンポで粘ることなく、弦楽セクションが味わい深い響きで聴かせてくれます。そのまま盛り上がりボストン響はパワフルです。主部は 少し速めのテンポで、とても切れ味が鋭く白熱 しています。ラストはテンポを粘らせることなく、ダイナミックでスリリングに曲を締めます。
モントゥーの長所が良く出た名演で、チャイ5としても、モントゥー自身の演奏の中でも屈指の名盤だと思います。
ショルティ=シカゴ交響楽団 (1987年) ダイナミックでクオリティの高いアンサンブル、高音質も魅力指揮 ゲオルク・ショルティ 演奏 シカゴ交響楽団
ショルティとシカゴ交響楽団の録音です。ロマンティックな方向に流されることなく、 速めのテンポでマッシブな指揮ぶり を見せています。シカゴ交響楽団もショルティの指揮で演奏するときは、常に緊張感をもって演奏しています。
金管楽器が非常に好調で、ソロもとても上手いですし、トゥッティの号砲は凄いですね。シノーポリ盤もいいですが、それでもロマンティックすぎる、と思ったらショルティ盤がお薦めです。
ちなみにショルティ=シカゴ響には旧盤があって、こちらの方が評価が高いようです。
スヴェトラーノフ=NHK交響楽団 N響から奥深い響きを引き出すスヴェトラーノフ指揮 エフゲニー・スヴェトラーノフ 演奏 NHK交響楽団
スヴェトラーノフとNHK交響楽団との出会いは非常に幸運なものでした。しかも、ちょうど スヴェトラーノフが老成して円熟してきたころに共演した のです。それまではロシア国立交響楽団との爆演が多かったスヴェトラーノフですが、円熟して深みを増し、NHK交響楽団の控えめでマッシブ(筋肉質)なサウンドにちょうど合う演奏スタイルになっていきました。
チャイコフスキーは多くの共演の中でも特に素晴らしい ものです。NHK交響楽団の過去のライヴの中でも最高クラスの演奏であり、海外でも通用しそうなディスクです。
スヴェトラーノフ=ロシア国立交響楽団 スヴェトラーノフ円熟の境地、ロシアの大地を感じさせる名演指揮 エフゲニー・スヴェトラーノフ 演奏 ロシア国立交響楽団
1990年代のスヴェトラーノフと手兵のロシア国立交響楽団による演奏です。このころになると、爆演が特徴だったスヴェトラーノフは徐々に落ち着いてきて、円熟した演奏を聴かせるようになります。特にチャイコフスキーは素晴らしい演奏になりました。チャイコフスキーの5番はロマンティックすぎる曲だと思いますが、 老成したスヴェトラーノフが振るとそんなことは一切感じさせない深みのある音楽 に変貌(へんぼう)します。じっくり楽しみたい名盤です。
第1楽章はコクのある序奏で始まり、主部に入るとロシア的でスケールの大きな演奏になります。金管も思い切りならいしていてダイナミックです。 同時に円熟した深みのある表現で、曲に浸れる名演 です。第2楽章は彫りの深い表現で、 特に木管は神々しさを感じるほど です。第4楽章はとてもロシア的であると共に、 スケールが大きく重厚 です。テンポが速くなるとかなりの速さですが、 地に足がついているダイナミックさ があります。ラストはダイナミックかつスケール大きく締めくくります。
聴いた後の充実感も凄いです。チャイコフスキーの交響曲全集で買うほうがお薦めです。第2番『小ロシア』などもいい演奏です。
シノーポリ=フィルハーモニア管 ストレートで激しい感情表現の名盤指揮 ジュゼッペ・シノーポリ 演奏 フィルハーモニア管弦楽団
シノポリとフィルハーモニア管弦楽団の録音です。理知的なシノポリの音楽と、白熱した感情表現が上手くバランスしています。録音も良く、シノポリの知的な部分とフィルハーモニア管のアンサンブル能力が上手く録音されています。
第1楽章は クラのソロに熱気を帯びた弦セクション が心地よいサウンドです。主部は速めのテンポで切れ味の良さが素晴らしいです。圧倒的な迫力はカラヤンやゲルギエフに並ぶレヴェルが、 白熱しているだけではなく、クオリティの高さ があります。第2楽章はしなやかさがあり、 ホルンがとても上手いのが印象的 です。テンポ設定に誇張が少なく、ルバートもやりすぎていないので、肩の力を抜いて自然に楽しむことが出来ます。
第3楽章はワルツの流れるようなリズムと、速めのテンポで細かいアンサンブルのクオリティの高さを楽しめます。
わざとらしいレガートもないですし、必要以上にテンポが遅くなったりすることはありません。それでいて盛り上がる個所では、かなり感情を入れています。 理知的な思考と激しい感情表現の両方を持ってるシノーポリならではの名盤 です。管理人のお気に入りのディスクですが、入手困難なのでアマゾンミュージックがお薦めです。
スヴェトラーノフ=ソヴィエト国立交響楽団 壮年期のスヴェトラーノフの本領発揮、ダイナミックな名盤指揮 エフゲニー・スヴェトラーノフ 演奏 ソヴィエト国立交響楽団
スヴェトラーノフとソヴィエト国立交響楽団の演奏です。リマスタリングされていて、音質は安定しています。ソヴィエト時代のスヴェトラーノフの録音なので、とてもダイナミックで、いわゆる爆演系です。ただ、もともとスヴェトラーノフはチャイ5に関しては、あまり速いテンポは取っておらず、味わい深い演奏になっています。探してみましたが、新しくロシア国立交響楽団との演奏もあるし、NHK交響楽団との録音も枯れた名演なので、壮年期の録音はアマゾンミュージックにしかありませんでした。
第1楽章は序奏を経て主部に入るとスケールの大きな音楽を繰り広げていますが、 とても民族的で土の香りがする響き です。金管はロシアンブラスで迫力があります。第2楽章も 冒頭からロシア的な郷愁に満ちています 。ホルンは余裕があり、とても上手いです。過剰なロマンティシズムが無いので、自然にすっきり聴けます。もちろん、 ダイナミックな所は特に金管は容赦ない爆演 です。第4楽章は スケールが大きくダイナミック です。壮年期のスヴェトラーノフとしてはテンポは特別速くはありませんが、金管はあくまでダイナミックです。思い切り盛り上がって締めくくります。
壮年期の演奏で、ソヴィエト時代の録音ですが、演奏内容は充実していて、この時期ならではの迫力があります。 それと共に深みがあり、既に晩年の円熟を予感させるもの になっています。
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カラヤン=ウィーン・フィル 円熟したカラヤンとウィーン・フィルの名演指揮 ヘルベルト・フォン・カラヤン 演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カラヤン=ベルリン・フィル ベルリン・フィルからオーラを感じる指揮 ヘルベルト・フォン・カラヤン 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
映像で見ると、いわゆるカラヤンビデオで指揮も振付があるし、カメラワークもわざとらしいですが、 凄まじい迫力 は伝わってきます。この 派手なレガートやフィナーレでの爆発的なトッティ はやはりベルリンフィルの凄い実力を感じますね。
スヴェトラーノフ=ロシア国立交響楽団(来日公演)指揮 エフゲニー・スヴェトラーノフ 演奏 ロシア国立交響楽団
スヴェトラーノフと手兵ロシア国立交響楽団の来日公演の映像です。スヴェトラーノフは円熟の境地でスケールの大きな演奏を繰り広げています。ロシア国立交響楽団もロシア的なスケールの大きな響きで魅了されます。ロシア的な演奏が好きな方にはお薦めのディスクです。
楽譜
ミニチュア・スコア(全音楽譜出版社) ミニチュア・スコア (日本楽譜出版社) 大型スコア (Dover社) 電子スコア (Kindle)楽譜をさらに探す
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