チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』
第1楽章は静かに始まりますが、弱音もしっかり捉えていて録音の質の高さを感じます。テンポは少し速めで結構メリハリがあります。弦の響きも透明感が高く、アンサンブルのクオリティの高さを感じます。ffは物凄いスケールの大きな響きです。その後はベルリンフィルに圧倒されっぱなしです。第2楽章はスケールが大きく、テンポを遅めにしてスローモーションのような感じです。第3楽章は速めのテンポで安定しています。盛り上がりがあれば、ベルリンフィルの圧倒的な響きを聴けます。後半はフィナーレ並みに盛り上がりますが、続く第4楽章がさらに凄いのでバランスは取れていますね。
第4楽章は感情を出した演奏です。小澤盤ほど派手ではなく、レガートを効かせてロマンティックに表現しています。 同時にクールな重厚で壮麗さがあり凄い迫力です。 凄いスケールで人間以上のものを感じます。最後の弱音器をつけながらもダイナミックな響きを出してくる所など、ムラヴィンスキーを思い出します。 カラヤンは第4楽章に何を込めたのでしょうね? 感情的なものはもちろんですが、やはり人間を超越した神の存在を感じてしまいます。
ペトレンコ=ベルリン・フィル ロシアの冷たい大地を想起させる名演!指揮 キリル・ペトレンコ 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ペトレンコはロシアの指揮者なので、チャイコフスキーは得意です。新しい録音のため、解像度がよく細かい所まで良く聴こえます。
第1楽章は平静に始まります。 急にフォルテになる個所は凄い迫力 です。ベルリンフィルですから、金管楽器も爆裂しています。曲への共感も深いですね。それでもどこかクールなのがペトレンコです。ベルリンフィルはラトルの時代は先進的で面白い演奏も沢山ありましたが、ペトレンコはそこに感情的なものを強く植え付けていると思います。第2楽章はあまり派手にならずに、ロシア的といえるような寒さも感じるような演奏です。この楽章は聴いているとバレエのような派手な世界を思い出してしまうのですが、ペトレンコは抑制的に演奏しています。
第4楽章は感傷的ですが、ベルリンフィルの弦セクションの美音が素晴らしいです。 弱音を上手く使い、なめらかなベルリン・フィルの弦楽器を活かして、天国的な演奏をしています。 ムラヴィンスキーから続くレニングラード・フィルの響きに似ている気もします。
ペトレンコは録音に関してあまり積極的ではないと言われています。もちろん、ベルリンフィルの会員になれば映像付きでいくらでも見られますけれど、確かにCDは少ないですね。でもこのレヴェルで録音できているので、今後は積極的に録音してほしですね。
ムラヴィンスキー=レニングラード・フィル (1960年) インテンポで無駄が無い、第4楽章は神の音楽!指揮 エフゲニー・ムラヴィンスキー 演奏 レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルの録音です。チャイコフスキーの三大交響曲を聴くにあたって1960年録音です。古いので録音は悪いですが、凄いリアリティのある名盤です。
第1楽章は静かに始まりますが、レニングラードフィルは普通に演奏しても何か緊張感があります。 ff以降は圧倒的な爆演 で、このダイナミクスの落差は今のオケでもなかなか聴けないものです。その後もどんどん爆発的に盛り上がります。第2楽章の ワルツは色彩的で上手い ですね。ムラヴィンスキーは厳しい音楽作りが目立ちますが、バレエ指揮者ほどではないけれど、意外に色彩的でリズミカルな部分も得意です。『くるみ割り人形』も得意曲でしたし。第3楽章の行進曲はショスタコーヴィチを得意とするムラヴィンスキーにとっては、とても得意な楽章です。スネヤは無いですが速めのテンポでショスタコーヴィチばりの軽快で鋭いリズムを打ち込んでいて、聴いているほうも気分爽快です。
第4楽章は一転して弦楽器の美しい響きから始まります。弦はクールでロシア的な重厚さがあります。1960年録音なので、おそらく実際はもっとずっと綺麗に響いていたことでしょうね。 天国的な演奏 です。ムラヴィンスキーは(聴衆でなく) 常に神に対して演奏している と言っていましたが納得できます。 天が落ちてきて神と対話しているかのような ダイナミックさです。そしてコラールに入り、静かに消えていきます。
ゲルギエフ=ウィーン・フィル指揮 ワレリー・ゲルギエフ 演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
全体で見ると、リズム感の良さが目立ちます。しかし割とスタンダードで良い演奏です。普通の演奏の範疇(はんちゅう)から出ないようにしているように聴こえます。『悲愴』というと、力みがちな演奏が多いだけに逆に貴重だと思います。
第1楽章は前半からゲルギエフの持ち味のリズム感で自然に演奏させています。急にフォルテになると速めのテンポで熱気を持って盛り上がります。速めのテンポとセンス良いリズム感がポイントですね。 ウィーンフィルの弦の音色がなぜかロシア的に聴こえ、味わいがあります 。第2楽章はバレエのリズムのようにしっかりしたリズムの上で演奏しています。第3楽章は適度なテンポで非常にリズミカルです。ここで盛り上がり過ぎないのがポイントでしょうか。第4楽章は 力強い演奏 で、他の多くの演奏とは違いが感じられます。 ロマンティックというより強い情熱が感じられる演奏 です。最後の響きもさすがゲルギエフ、ウィーンフィルで濃い音色を聴かせてくれます。
ヴァント=北ドイツ放送交響楽団 (1991年) 実はヴァントの得意曲、緻密で重厚な名演指揮 ギュンター・ヴァント 演奏 北ドイツ放送交響楽団
全体的にヴァントらしく緻密で重厚な演奏ですが、やはりチャイコフスキーなので結構感情も入っています。テンポは速めで、メリハリが強いです。急にffになる個所も激しい演奏です。第2楽章はワルツとしては硬い感じがします。第3楽章は迫力があります。とはいえ、あまり華やかさはありませんけれど。最後はかなり盛り上がります。
聴き物はやはり第4楽章ですね。 重厚で透明感のある響きで、最初の一音で大聖堂にトリップさせられてしまいます 。アンサンブルは緻密でスケールが大きく、 後半の盛り上がりは壮絶 です。
ヴァントがチャイコフスキーを得意としていた、とは少し意外ですが、確かに完成度が高い名演です。普段聴きには重厚で厳しすぎるかも知れません。でも、この位、緻密にやってくれると第4楽章の面白みも聴こえてきます。『悲愴』を良く聴いている人には是非ともお薦めしたいCDです。
小澤征爾=サイトウキネン・オーケストラ 熱い感情の爆発、ストレートな名演指揮 小澤征爾 演奏 サイトウキネン・オーケストラ
小澤征爾の得意曲です。何か他の演奏と比較すると大分違っていて、人間的な感情表現が上手いです。日本人的なウェットな所も少し感じます。少なくとも神の音楽と感じる部分はありません。
第1楽章は高音質で弦や管の音色を聴くことが出来ます。テンポは速めで軽快です。ff以降はテンポは速くし過ぎず、ダイナミックでクオリティの高い演奏を展開していきます。 人間的な情緒を良く表現 しています。第2楽章はバレエの色彩感があります。音質が良いので色彩感が良く伝わってきます。繊細なアゴーギクも素晴らしいです。第3楽章は速いテンポで飛ばしています。走る直前のギリギリのテンポでスリリングです。後半はかなりダイナミックに盛り上がります。
第4楽章はとても情緒的な演奏 です。このページではそういうCDは無かったので、ある意味新鮮ですけど。 冒頭から感情の洪水のように噴出 してきます。小澤征爾は昔からこのスタイルで数えきれないほど演奏している訳で、完成度はとても高いです。 感情的に燃え上がり 、コラールは名残惜しむようにして消えていきます。
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小澤征爾=ベルリン・フィル(2008年) 数ある小澤の悲愴の中でも圧倒的な名演!指揮 小澤征爾 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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“チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』” への1件のフィードバック
ちゃん より: すみません。 ロシアはキリスト教というよりも、ロシア正教ですね。コメントを残す コメントをキャンセル
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