転置行列の意味・重要な7つの性質と証明
とする(それぞれ2×1サイズの行列とみなせる)と, x ⊤ y = ( x 1 x 2 ) ( y 1 y 2 ) x^y=\beginx_1&x_2\end\beginy_1\\y_2\end x ⊤ y = ( x 1 x 2 ) ( y 1 y 2 ) は内積 x 1 y 1 + x 2 y 2 x_1y_1+x_2y_2 x 1 y 1 + x 2 y 2 と一致する。
任意の行列 A A A に対して,
- ( A ⊤ ) ⊤ = A (A^)^=A ( A ⊤ ) ⊤ = A
任意の正方行列 A A A に対して,
積 A B AB A B が定義できるサイズのとき
- ( A B ) ⊤ = B ⊤ A ⊤ (AB)^=B^A^ ( A B ) ⊤ = B ⊤ A ⊤
- ( A ⊤ ) − 1 = ( A − 1 ) ⊤ (A^)^=(A^)^ ( A ⊤ ) − 1 = ( A − 1 ) ⊤
- ( A ⊤ ) ⊤ = A (A^)^=A ( A ⊤ ) ⊤ = A 「転置の転置はもとに戻る」という性質です。
- det A ⊤ = det A \det A^=\det A det A ⊤ = det A 「行列式は転置しても変わらない」という性質です。一般的に書こうとするとかなりごちゃごちゃしたので n = 4 n=4 n = 4 の場合で説明します。一般の場合も全く同様に証明できます。
det A \det A det A を展開したときの項は 4 ! = 24 4!=24 4 ! = 24 個あるが,例えば4次の置換 σ = ( 1 2 3 4 3 2 4 1 ) \sigma= \begin1&2&3&4\\3&2&4&1\end σ = ( 1 3 2 2 3 4 4 1 )
に対応する項として, s g n ( σ ) a 13 a 22 a 34 a 41 \mathrm (\sigma) a_a_a_a_ sgn ( σ ) a 13 a 22 a 34 a 41 が出てくる。
一方, det A ⊤ \det A^ det A ⊤ を展開したときも同様に24項出てくるが, σ \sigma σ の逆置換: σ − 1 = ( 1 2 3 4 4 2 1 3 ) \sigma^= \begin1&2&3&4\\4&2&1&3\end σ − 1 = ( 1 4 2 2 3 1 4 3 )
に対応する項として, s g n ( σ − 1 ) a 41 a 22 a 13 a 34 \mathrm (\sigma^)a_a_a_a_ sgn ( σ − 1 ) a 41 a 22 a 13 a 34 が出てくる。
ここで,ある置換とその逆置換の符号は等しいので, s g n ( σ − 1 ) = s g n ( σ ) \mathrm (\sigma^)=\mathrm (\sigma) sgn ( σ − 1 ) = sgn ( σ ) である。よって,上記の項は等しい。
他の項についても同様の議論が成り立つ。つまり, det A \det A det A を展開したときの各項と det A ⊤ \det A^ det A ⊤ を展開したときの各項の間には1対1対応があり,対応する項の値は等しい ことが分かる。
- A A A の固有値と A ⊤ A^ A ⊤ の固有値は等しい
A ⊤ A^ A ⊤ の固有値 λ \lambda λ は固有方程式 det ( A ⊤ − λ I ) = 0 \det(A^-\lambda I)=0 det ( A ⊤ − λ I ) = 0 の解である。
det ( A − λ I ) = 0 \det(A-\lambda I)=0 det ( A − λ I ) = 0
これは, A A A の固有方程式なので, A ⊤ A^ A ⊤ と A A A の固有値は同じ。
- A A A のランクと A ⊤ A^ A ⊤ のランクは等しい
A A A のランク =「 A A A において1次独立な行ベクトルの最大本数」 =「 A ⊤ A^ A ⊤ において1次独立な列ベクトルの最大本数」 = A ⊤ A^ A ⊤ のランク
- ( A B ) ⊤ = B ⊤ A ⊤ (AB)^=B^A^ ( A B ) ⊤ = B ⊤ A ⊤ 「積の転置は順番を交換して転置の積」という性質です。
A A A の列数(= B B B の行数)を n n n とおきます。
( A B ) ⊤ (AB)^ ( A B ) ⊤ の i j ij ij 成分は A B AB A B の j i ji ji 成分。つまり, ∑ k = 1 n a j k b k i \displaystyle\sum_^na_b_ k = 1 ∑ n a jk b ki
一方, B ⊤ A ⊤ B^A^ B ⊤ A ⊤ の i j ij ij 成分は ∑ k = 1 n b k i a j k \displaystyle\sum_^nb_a_ k = 1 ∑ n b ki a jk となり上式と一致する。
ちなみに,性質6を繰り返し使うと, ( A B C D ) ⊤ = D ⊤ C ⊤ B ⊤ A ⊤ (ABCD)^=D^C^B^A^ ( A BC D ) ⊤ = D ⊤ C ⊤ B ⊤ A ⊤ のように数が増えても「積の転置は順番を交換して転置の積」が成立することがわかります。
- ( A ⊤ ) − 1 = ( A − 1 ) ⊤ (A^)^=(A^)^ ( A ⊤ ) − 1 = ( A − 1 ) ⊤ 「転置の逆行列は逆行列の転置」という性質です。
6において B = A − 1 B=A^ B = A − 1 とおくと,
I = ( A − 1 ) ⊤ A ⊤ I=(A^)^A^ I = ( A − 1 ) ⊤ A ⊤
これは, ( A − 1 ) ⊤ (A^)^ ( A − 1 ) ⊤ が A ⊤ A^ A ⊤ の逆行列であることを表している。
A ⊤ A A^A A ⊤ A が正則である任意の行列 A A A に対して P = A ( A ⊤ A ) − 1 A ⊤ P=A(A^A)^A^ P = A ( A ⊤ A ) − 1 A ⊤ とおくと, P ⊤ = P P^=P P ⊤ = P になることを確認せよ。
P ⊤ = ( A ( A ⊤ A ) − 1 A ⊤ ) ⊤ P^=(A(A^A)^A^)^ P ⊤ = ( A ( A ⊤ A ) − 1 A ⊤ ) ⊤
( A ⊤ ) ⊤ ( ( A ⊤ A ) − 1 ) ⊤ A ⊤ (A^)^ ((A^A)^)^A^ ( A ⊤ ) ⊤ (( A ⊤ A ) − 1 ) ⊤ A ⊤
A ( ( A ⊤ A ) ⊤ ) − 1 A ⊤ A((A^A)^)^A^ A (( A ⊤ A ) ⊤ ) − 1 A ⊤
A ( A ⊤ A ) − 1 A ⊤ A(A^A)^A^ A ( A ⊤ A ) − 1 A ⊤
となり P ⊤ = P P^=P P ⊤ = P がわかった。
- 対称行列 →対称行列の定義と性質~固有値と固有ベクトルの性質
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東京大学大学院情報理工学系研究科修了/2014年にWebサイト『高校数学の美しい物語』を立ち上げ/著書累計 50,000部突破/「わかりやすいこと」と「ごまかさないこと」の両立を意識している。 →著者情報・書籍一覧を見る