大和型戦艦を生んだ「A-140」の変遷3“A-140” project, the original Yamato type Third
「A-140G1-A」 の弱体化を一部改善する形として、8月に 「A-140G0-A」 が登場しました。 全長は268mと再び延長され、排水量は65,450t、出力は145,000馬力と大型化していますが、航続距離は16ノット換算のままで幾分経済力は劣ったままでした。 全長が伸びたことで3番砲塔周辺のスペースは拡大され、射角はより広くなっていますが、艦橋はついに中央よりも後ろに下がってしまいます。
A-140G2-A(1935.8.30) 公試排水量 63,450t 水線長 262.00m 全 幅 38.9m 最大速度 28ノット 馬 力 143,000馬力 航続距離 16ノット:7,200海里 主 砲 45口径46cm三連装砲 3基9門 副砲・備砲 60口径15.5cm三連装砲 4基12門 12.7cm連装高角砲 6基12門 機 銃 25mm連装機銃 12基24挺 缶・主機 ディーゼル+タービン機関 その他 水上機 ?機(射出機 2基)「A-140G0-A」 を手直ししたのが 「A-140G2-A」 で、これが 「A-140A」 をより熟成させた設計案となります。 ここでは更に甲板が平甲板になっていることが2番砲塔基部を見ればわかります。 3番砲塔は 「G1-A」 同様再び2番砲塔の下に収まりますが、艦橋と煙突の形は 「140G0-A」 と同じもので、 「G1-A」 と 「G2-A」 をうまく組み合わせた設計と言えます。 航空甲板は過去のプランの中でも最も広くとられていますが、これがなぜここまでのスペースをとるようになったのかはわかりませんでした。 「大和型」 の特徴を最も多く取り入れた前部集中型設計だと思います。
A-140I(1935.7.30) 公試排水量 65,050t 水線長 268.00m 全 幅 38.9m 最大速度 28ノット 馬 力 143,000馬力 航続距離 16ノット:7,200海里 主 砲 45口径46cm三連装砲 2基6門 45口径46cm連装砲 2基4門 副砲・備砲 60口径15.5cm四連装砲 2基8門 12.7cm連装高角砲 8基16門 機 銃 25mm連装機銃 12基24挺 缶・主機 ディーゼル+タービン機関 その他 水上機 ?機(射出機 2基)日本の戦艦は代々火力を可能な限り均等に配分できるように努めてきました。 なので主砲は偶数が多く、奇数となったのはいずれも「八八艦隊」で消滅した幻の戦艦たちだけでした。 その奇数も5基であり、また3:2という配分ですから、いずれかの方向で著しく攻撃力が落ちるということはありません。 基数が多いというのはバイタルパートが多いという弱点もある反面、砲塔が使用不可となった場合でも攻撃力の低下が抑えられるメリットもあります。
しかし 「A-140」 は藤本の戦略と説得もあって、大半の設計案が前部集中型で、また海軍もこの設計に好印象を持っていました。 保守的な平賀としてはこの極端な火力配分が納得できず、ここまでちょいちょい後部にも砲塔を配置する設計を織り交ぜてきましたが、ついに本人が最も求める艦影が現れました。 それが 「A-140I」 なのですが、火力は過去最大の46cm砲10門となっております。 前後それぞれ連装砲と三連装砲の5門となっており、前後共に十分な火力を発揮することができます。
主砲4基搭載にしては排水量は65,000t程度、装甲は27kmでの46cm砲対応となっているようですが、果たしてこれだけの装備でこの重さ、強度が保てたのかは疑問です。 副砲は、小型タイプならいざ知らずこのサイズでも海軍からの要請を無視して2基としており、かついずれも三連装砲の裏側に背負い式で配置する構造になっています。 これは 「大和型」 の副砲配置に繋がっています。
主砲2基と副砲2基がいずれも過去の設計案よりも高い位置にあるために重心が上がっております。 図では副砲は三連装砲となっていますが各資料では 「I」 のみ四連装砲となっています。 なので復原性を増すために全幅は38.9mにまで拡大しました。 甲板は全通ではなく2番砲塔後ろから最上甲板となっています。
旧来の戦艦のような構造になった 「I」 ですが、何よりもまず46cm砲を2種類製造するというのが大きなデメリットでした。 技術的な問題ではなく、コストや手間の問題です。 1門の火力は馬鹿にできませんが、1門の火力の為に2種類の主砲を製造するのかと考えるとそう軽くうなずけることではありませんでした。 結局 「I」 はお蔵入りとなりましたが、続く 「F」 は 「G」 に引っ張られずに 「I」 を元にした設計案であったことから、平賀の目論見は一定の成果を得たわけです。
A-140F(1935.8.14) 公試排水量 60,350t 水線長 247.00m 全 幅 38.9m 最大速度 28ノット 馬 力 130,000馬力 航続距離 16ノット:7,200海里 主 砲 45口径46cm三連装砲 2基6門 45口径46cm連装砲 1基2門 副砲・備砲 60口径15.5cm三連装砲 4基12門 12.7cm連装高角砲 6基12門 機 銃 25mm連装機銃 12基24挺 缶・主機 ディーゼル+タービン機関 その他 水上機 ?機(射出機 2基)「A-140I」 が却下となった一方で、海軍は前部集中型から後部にも主砲を配置する設計になびき始めました。 前部集中型だと、艦橋に襲い掛かる爆風の威力や視界不良、重量配分が難しいデメリットが確かにあります。 一方で、主砲を後方にも配置すると、艦全体で爆風の影響があるエリアが拡大してしまいます。 これは結果論ですが、前後に砲塔があるために 「大和型」 は増強した対空兵装を十分に使いこなすことができませんでした。
藤本の判断としては、爆風の威力は大きくても艦橋への対策だけで済む上、防御箇所もより集中できる、(藤本は後部の副砲のかたまりについて、弾薬庫のある一帯を装甲で覆うのではなく、弾薬庫そのものを分厚い鉄箱にして防御重量を抑えようとしていました)、そして元来は30ノット要求でしたから、高速で動き回ることを考えると前部集中型のほうがいろいろ都合がよいと考えたのでしょう。 しかし平賀は艦橋への影響のほかに、当然攻撃力の低下、そして直接分厚い装甲で防御するバイタルパートの範囲を狭くする必要性を訴えて後部砲塔の配置を押し通しました( 「I」 のように前後2基ずつだとバイタルパート広がるんですがね)。
そのダメ押しとなったのが、 「A-140」 の最終系統となる 「A-140F」 です。 ただし 「F」 でも1番砲塔は連装砲であることに注意してください。
この段階ではまだディーゼルとタービンは併用の計画です。 副砲は 「I」 で削減された2基が復活していますが、過去の設計同様後方に配置されています。 この段階ではまだ排水量は60,350tと少し軽めです。
A-140F3(1935.10.5) 公試排水量 61,000t 水線長 246.00m 全 幅 38.9m 最大速度 27ノット 馬 力 135,000馬力 航続距離 16ノット:4,900海里 主 砲 45口径46cm三連装砲 3基9門 副砲・備砲 60口径15.5cm三連装砲 4基12門 12.7cm連装高角砲 6基12門 機 銃 25mm連装機銃 12基24挺 13mm四連装機銃 4基16挺 缶・主機 ディーゼル+タービン機関 その他 水上機 ?機(射出機 2基)「A-140F」 から修正が加えられた案です。 「A-140G」 以降はディーゼルとタービンは比率が1対1だったのですが、ディーゼルの信頼性がまだ完全ではないことや、併用するほうが相互メリットが大きいため、タービン75,000馬力、ディーゼル60,000馬力と比重が少しタービンに傾いています(厳密にはこれまでもちょっとした差でタービンのほうが多いということもありますが、それは単純に2で割って機関を構成できないからです)。 また1番砲塔が三連装砲に戻ったことで艦首側の幅も広めにとる必要があり、全長は短くなったため凌波性も低下。 この結果最大速度は27ノットに低下し、航続距離もガクンと落ちて4,900海里となっています。 ただし注目点として、艦首形状がこれまでとは明らかに異なっています。 この段階でバルバス・バウの設置が考えられていたのだとしたら、さすがに4,900海里は落ちすぎだと思います。
A-140F4(1935.10.5) 公試排水量 62,545t 水線長 248.00m 全 幅 38.9m 最大速度 27ノット 馬 力 135,000馬力 航続距離 16ノット:7,200海里 主 砲 45口径46cm三連装砲 3基9門 副砲・備砲 60口径15.5cm三連装砲 4基12門 12.7cm連装高角砲 6基12門 機 銃 25mm連装機銃 12基24挺 13mm四連装機銃 4基16挺 缶・主機 ディーゼル+タービン機関 その他 水上機 ?機(射出機 2基)あまりにも航続距離が短すぎるため、排水量増は止むを得ないとして全長が2m伸びたタイプである 「A-140F4」 も同時に提案されています。 この結果航続距離は7,200海里まで回復しましたが、公試排水量は62,545tに増加。 また副砲の位置が 「F3」 よりも前に出てきています。
「F4」 の設計案を提出した昭和10年/1935年10月19日の高等技術会議では、これまでとは一変して会議が驚くほどスムーズに進んだと言います。 というのも、「友鶴事件」、藤本の急逝、そしてその藤本が手がけた多くの艦が損傷した「第四艦隊事件」と悲劇が立て続けに起こっており、その根幹に軍令部からの過剰な要求があったという批判が蠢いていたからです(「第四艦隊事件」は同年9月26日発生)。 これもまたタイミングが悪いことで、いつもの軍令部ならここで27ノットという速度に文句が出ていたと思われます。 それがこのだんまりだったため、結局 「大和型」 は 「F4」 に最終的な手直しをすることでほぼ設計が確定してしまいました。 この会議で基本設計が固まったのですが、計画主任だった福田は設計開始時と比べると明らかに老いており、白髪も目立っていたと言います。 [1-P96]
A-140F5(1936.7.20) 基準排水量 62,315t 公試排水量 65,200t 満載排水量 67,515t 水線長 253.00m 全 幅 38.9m 深 さ 18.667m 喫 水 10.4m 最大速度 27ノット 馬 力 135,000馬力 ディーゼル:60,000馬力 タービン:75,000馬力 航続距離 16ノット:7,200海里 主 砲 45口径46cm三連装砲 3基9門 副砲・備砲 60口径15.5cm三連装砲 4基12門 12.7cm連装高角砲 6基12門 機 銃 25mm連装機銃 12基24挺 13mm四連装機銃 4基16挺 缶・主機 ディーゼル+タービン機関 その他 水上機 6機(射出機 2基)「A-140F4」 案は提出から審議に入り、昭和11年/1936年7月に遂に新型戦艦の設計図が完成しました。それが 「A-140F5」 です。 「F4」 から全長がさらに5m伸びて253mとなり、予備浮力を増しています。 また艦橋の外観が大きく変化していて、 【比叡】 の改装の成果がふんだんに織り込まれています。
A-140F6(1937.3) 公試排水量 68,200t 水線長 256.00m 全 幅 38.9m 最大速度 27ノット 馬 力 150,000馬力 航続距離 16ノット:7,200海里 主 砲 45口径46cm三連装砲 3基9門 副砲・備砲 60口径15.5cm三連装砲 4基12門 12.7cm連装高角砲 6基12門 機 銃 25mm三連装機銃 8基24挺 13mm連装機銃 4基8挺 缶・主機 タービン機関 その他 水上機 6機(射出機 2基)晴れて 「大和型戦艦」 の仕様が確定し、ここから帝国海軍の歴史に新しい1ページが刻まれる!という直前に大きな問題が 「A-140F5」 に降りかかってきました。 ここまで全ての設計で外れることがなかったディーゼル機関に大きな不安がのしかかってきたのです。 【大鯨】 に搭載していた艦本式11号10型ディーゼルエンジンが故障に次ぐ故障で、とても気軽に搭載できる性能ではないことが発覚しました。 機関故障は大変なことだらけなのですが、戦艦は他の船と違ってガッチガチに装甲で固められています。 なので機関の整備のためには他の艦種よりも圧倒的に時間と手間がかかります。 世界一大きな戦艦がドックを出たり入ったりというのはかつての 「扶桑型」 と同じ有様で、万が一の戦争中に、戦闘による損傷ではなく整備のために何ヶ月も戦線離脱するなんて何のための世界最強かわかりません。
結局あらゆる面で有効だったディーゼル機関は、その唯一と言っていい問題、日本の技術力がディーゼルに追いついていないという問題を解消できなかったために 「大和型」 への搭載の中止を平賀が提言します。 どうやらこれが一足飛びに、誰も通さずに軍令部総長である伏見宮博恭王に直接断念を迫ったらしく、それが本当なら無茶苦茶な手段に出ています。 一方ディーゼルは13号10型ディーゼルの試験を急ぎ、その結果はかなりの高評価ではあったのですが、結局平賀に押し切られる形で急遽タービン機関だけの 「A-140F6」 が設計されました。 この結果全長はさらに伸びて263mとなり、馬力も150,000馬力に増強、排水量は64,000tにまで膨らんでしまいました。 それにしても建造が始まる前で本当に良かった、全長が伸びるのなら建造開始後では間に合いませんでした。
日の目を見なかった大和型の先の姿
ここからは、完成しなかった 「大和型」 である 【信濃、111号艦】 と、俗にいう 「改大和型・超大和型」 について軽く紹介いたします。
【信濃、第111号艦(一説では紀伊)】 は、 「大和型」 の三番艦、四番艦です。 【信濃】 は途中で空母へ改装、 【第111号艦】 は建造中止となったのはご存じのとおりですが、この2隻は 【大和、武蔵】 での問題点を複数改善して誕生する予定でした。
【大和、武蔵】 の設計で大きなウィークポイントとなっていたのは、15.5cm三連装副砲全体の脆さでした。 副砲は 「最上型」 の時は全面25mmという薄さで、砲撃一発で完全に壊れてしまいます。どころか空襲による爆撃などだと副砲を貫いて弾火薬庫に直撃し、大爆発を起こしてしまう危険性がありました。 そのため副砲は対弾防御が強化されたようですが、具体的にどこをどう強化しているのかはわかりませんでした。
続いて装甲の最適化でした。 「大和型」 の装甲は46cm砲に対して2~30,000mでの砲撃に耐え切る厚みとして設計されていました。 しかしこの威力は最初のほうに登場した47口径48cm砲をもとに計算したもので、データそのものの修正をしてみると古い砲だったということもあって貫通力計算が適切ではないことがわかりました。 そのため今施されている装甲は厚すぎるということになり、次の2隻では見直されることになりました。
一方で水雷防御が 【大和】【武蔵】 が二重底に対して 【信濃】【第111号艦】 は復水器の下部など一部を除いて三重底になり、逆に魚雷や機雷には強くなっています(艦底は50~80mm)。 これは磁気機雷や、今では主流となっている艦底起爆魚雷対策でした。 これまでは魚雷は船に穴をあけて浸水を誘うものでしたが、これらは船の背骨であるキールを破壊するという恐ろしい兵器(というか使い方)です。 キールを折ってしまうと船は真っ二つですから、浸水とか火災とか浮力とか、そんなもの一切関係ありません。 横の穴は塞げても、下の穴はそう簡単には塞げないし、動けば動くほど船は傷みますから、とてつもないダメージを与えることになります。
その他直前の計画変更で設備面に不満が残った艦橋の再整理、スクリューの直径を5mから5.1mへ拡大、これまた過剰だった航続距離に合わせた燃料減などが行われています。 舵の面積が小さいという問題はこの時は改善されていないようです。 また対空兵装として12.7cm連装高角砲を 「秋月型」 の主力である65口径10cm連装高角砲に換装する予定でもありましたが、少なくとも計画時には製造が間に合わないためこの段階では搭載の予定はなかったと言われています。
この2隻に続くのが、「マル4計画」で建造が決まった5隻目の 「大和型」 、通称 「改大和型」 です。 アメリカは昭和15年/1940年に成立した両洋艦隊法に基づき莫大な海軍増強予算を計上しました。 この結果、日本が当初「さすがにそこまではできないだろう」と考えていた、太平洋と大西洋に同規模の戦力を配置するということが一気に現実味を増してきました。
両洋に艦隊を配置するということは、パナマ運河を通過できるサイズという制限が意味をなさなくなります。 1隻の戦艦を太平洋と大西洋に行ったり来たりさせるためのサイズ制限ですから、両側に1隻ずつ置くのであれば関係ないわけです。 よしんばパナマ運河制限のある戦艦であったとしても、1隻辺りのt数が下がるということはその分戦艦の数が増えてきます。計算上、この計画通りにアメリカ海軍が増強された場合、日本の戦力はアメリカの半分にまで落ち込んでしまいます。 これに伴い、日本は昭和17年/1942年の「マル5計画」において更に 「大和型」 の五~七番艦の建造を決定し、取り急ぎ五番艦にあたる 【第797号艦】 は 「改大和型」 として、 【第798号艦、第799号艦】 は 「超大和型」 として建造することにしました。
「改大和型」 は 【信濃】 と 【第111号艦】 で搭載できなかった長10cm砲を採用し、また全然使う機会がない副砲も舷側の2基を撤去(全廃とも言われています。確かにあの位置に高角砲は欲しい)。 長10cm砲は12基24門搭載の予定だと思われます。 またその周辺には大量の25mm三連装機銃が設置され、イメージとしては 「坊ノ岬沖海戦」 時の 【大和】 に近いかもしれません。
「大和型」 は極端な集中防御方式を採用していたので、防御の弱い部分の対策は注水による傾斜回復で補っていました。 しかしあまりに浸水スペースが広いということで、 「改大和型」 では艦首艦尾にも水雷防御隔壁を設置し、被雷による浸水をできるだけ抑えようという対策が取られました。 ただ相変わらず注水による傾斜回復のため、たとえ 【武蔵】 にこの対策が施されていたとしても結果は変わらなさそうです。 水雷防御は艦底の三重底が全体に施されています。
計画では 「改大和型」 は昭和18年/1943年に起工し、昭和22年/1947年竣工予定でした。
続いて 「超大和型」 ですが、計画名は 「A-150」 でした。 文字通り 「大和型」 を超える戦艦です、と言いたいのですが、ぶっちゃけやりすぎでしょう。
戦艦に関わらず、全ての物事に於いて技術は日進月歩、そして相手より先んじていることが勝利への近道です。 つまり46cm砲を搭載しただけで安心しているわけにはいかない、ということです。 実際アメリカでも47口径18インチ(45.7cm)砲の実験は完了していて、 「アイオワ級」 と 「モンタナ級」 の建造計画でも多少搭載の見当が行われています。過去の計画ではすでに51cm砲を搭載する未来を見据えている形跡もありますし、また実験も行われており、そして 「超大和型」 建造にあたり、「試製甲砲」という名称で45口径51cm砲の開発が昭和15年/1940年からすでに始まっていました(ちなみに超甲巡用として「試製乙砲」も一緒に開発)。
「超大和型」 の性能として、51cm三連装砲3基ないし連装砲4基、速度30ノットという現実を見ないにもほどがある要望もあったわけですが、あまりにもでかすぎるし重すぎるし、吃水も深くなるから入れない港やドックが続出するということで却下。 三連装砲は艦幅が肥大化しすぎ、連装砲4基だと全長はぐんと伸びます。 ただでさえ30ノットを出すにはとんでもない全長になる上に、排水量にも対応するため機関もべらぼうな出力が必要ですから、ドック云々の前に戦時中の建造にしてはあまりに無謀でした。
結局連装砲だとサイズ的には46cm三連装砲と同じ程度で済むということで、連装砲3基の装備で固まりました。 それでも基準排水量は80,000t~85,000tと 「大和型」 より20,000t前後重くなりますから、とんでもない代物です。
46cm砲と51cm砲のどちらが強いかと言われると当然51cm砲ですが、46cm三連装砲と51cm連装砲のどちらが有用かと言われると俄然難しくなります。 まず門数は3門減りますから投射量は落ちます。 対 「モンタナ級」 で仮定すれば、投射量は半分になってしまいます。 一方で46cm三連装砲は命中率が悪かったという評価もありますから、もしかしたら51cm連装砲のほうが命中率は良くなったかもしれません。
防御に関しては、そもそも相手が51cm砲に対抗できる装甲の戦艦を建造するのかどうかという点に尽きます。 46cm砲に耐えきれない戦艦に51cm砲はオーバーキルですし、とんでもない分厚さ、でかさ、そして金食い虫になりますから、近年中に51cm砲搭載戦艦が存在価値が高いものとして認識されるのかどうかという問題もありました。 そもそも 「超大和型」 も51cm砲用の装甲はとても施せないので、過剰な武装だと言われても仕方ないでしょう。
1発の砲弾の重さは46cm砲が1,460kgに対して51cm砲は1,950kgと500kgも重くなります。 長さも風帽込みで2mほどになるため、あらゆるものを機械で運搬せざるを得なくなりました。 砲のサイズがほとんど変わらないのに排水量が馬鹿みたいに増えるのは、このような理由があります。 他にも速度低下をどうするか、装甲を51cm砲対応に強化するか、などで膨れ上がっていると思われます。 砲塔のサイズがほとんど同じなので 「大和型」 も51cm連装砲に換装する計画があったとも言われますが、サイズがだいたい一緒でも上記の通り内部の機構は全く異なりますし、それが真実であったとしても1年前後の工事になったと思います。
副砲と対空兵装については 「改大和型」 と同様で、空いているスペースにどかどか25mm三連装機銃を搭載しています。 サイズは 「大和型」 と変更はなかったでしょうが、さすがに排水量や航続距離には影響があったと思います。
最後に、「Warship Projects 1900-1950」はお遊びで51cm連装砲4基版の 「超大和型」 、また全く制限を受けずに排水量100,000tの51cm三連装砲搭載の戦艦を作った場合の戦艦も描いてくれていますので、そちらも紹介します。
created by Rinker フジミ模型(FUJIMI) created by Rinker created by Rinker created by RinkerWikipedia [1]艦船ノート 著:牧野茂 出版共同社
※2 各項に表記している参考文献は当方が把握しているものに限ります。 参考文献、引用文献などの情報を取りまとめる前にHPが肥大化したため、各項ごとにそれらを明記することができなくなってしまいました。 勝手ながら本HPの参考文献、引用文献はすべて【参考書籍・サイト】にてまとめております。 ご理解くださいますようお願いいたします。
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