レオカーナとは ASO/CLI治療の新たな可能性
In a 2009 systematic review, data were pooled from 18 nonrandomized studies comprising 640 patients who had below-the-knee (BTK) stent implantation at experienced centers; 232 had balloon-expandable BMSs, 116 self-expanding BMSs, 272 balloon-expandable drug-eluting stents (DESs), and 20 bioresorbable stents.(中略)BMSs are effective in treating residual stenosis, elastic recoil, and dissection after PTA, but they do not result in improved long-term patency due to significant restenosis.The State of Stenting in Below-the-Knee Applicationshttps://evtoday.com/articles/2021-may/the-state-of-stenting-in-below-the-knee-applications
Available data from randomized controlled trials and their meta-analysis demonstrated that the use of infrapopliteal drug-eluting stents (DES), in short- to medium- length lesions, obtains significantly better results compared to plain balloon angioplasty and bare metal stenting with regards to vascular restenosis, target lesion revascularization, wound healing and amputations.(中略)Moreover, there is still little evidence on whether this technology can be as effective for longer BTK lesions, where a considerable number of DES is required[20,21]. The development and investigation of new, longer balloon-expanding or perhaps self-expanding DES could be the answer to this problem.Revisiting endovascular treatment in below-the-knee disease. Are drug-eluting stents the best option?https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6259030/
近年、近位膝窩動脈に適応のある「Superaステント」が登場し、「ローターブレーターの膝下領域への治験」が各地で行われるなど様々な発展を遂げているため、「膝下領域にはPOBAしか適用がない」という通説もいずれ変わってくるかもしれません。
またBK-POBAの効果を最大限に高めようと、血管造影(QVA)ではなくIVUSガイド下で適切なバルーン径を選択するIVUS-Guide POBAといった手法も、近年は取り入れられつつあるようです。
主観ですが、筆者の透析施設でも膝下領域に関するPOBAで紹介した人の予後はかなり悪いです。そもそも患者選択が結構シビアで「径やABIはあり適用がない」「膝下なので対応できない」など送り返されることが結構あり、保存的治療に頼ってるのが実情な気がします。
レオカーナの適用を有する潰瘍とは- 骨もしくは腱の露出を伴わない潰瘍 (慎重に適用)
- 明らかな感染兆候 を認めないこと
レオカーナの保険点数
- 吸着式血液浄化用浄化器(閉塞性動脈硬化症用)として償還価格 91600円
- K616-8 吸着式潰瘍治療法(1日につき)1680点
レオカーナの治療原理
レオカーナの治療原理は デキストラン硫酸 と トリプトファン をリガンド とし、 血液中より LDL-C と フィブリノゲン を選択的に吸着除去 することです。
これにより 血液の粘性を低下させ、末梢血液循環の改善を導き、下肢抹消の難治性潰瘍を改善することを原理とします。
レオカーナの禁忌要件
陰性荷電の強い膜とACE阻害薬との組み合わせが禁忌の訳前述の通り、レオカーナのリガンドには 陰性荷電の強いデキストラン硫酸 が使用されています。
その結果 この治療中には血中ブラジキニン濃度が上昇 します。
この ブラジキニンを分解するアンジオテンシン変換酵素(ACE:キニナーゼⅡ)はACE阻害薬により抑制される ため、血中ブラジキニン濃度が上昇する結果、 アナフィラキシー様ショックを呈する危険性が高い ためです。
【追記 2024.02】PMDA 医療安全情報より2024年2月PMDAよりレオカーナの禁忌事項に関わる3件の事例報告がありましたので、当サイトでも周知を図りたいと思います。
【報告された事例の主な背景】・ACE阻害薬服用患者にレオカーナを使用するとショックを起こすことがあるため禁忌であると知らず、休薬を指示していなかった。・当該医療機関で初めて行う治療であったが、循環器内科と腎臓内科の間で治療開始日を共有しておらず、ACE阻害薬の休薬について検討していなかった。
併用注意
- ACE阻害薬以外の降圧薬服用中の患者でも、本治療中に血圧が低下することがあるので、慎重に観察すること。
- 多少作用機序は違いますが、ACEと似たようなARBも避けることが望ましいと考えます
レオカーナの治療について
治療のスケジュール 治療の手技DHPであるため、(透析コンソールさえあれば)特別な装置を必要とせず、一般的な透析クリニックでも十分に施行が可能です(ホルダーとか諸物品は当然必要です)。
治療にあたっての注意点他の体外循環療法と同様血圧変動のリスクがあります。 特に治療開始後30分間の血圧低下には注意が必要です。
そのため 初回開始時のQBは50mL/min以下が推奨 されています。添付文章には体調に応じて最大QB200mL/minと書かれていますが現実的には厳しいようです。
そのためリクセルのように透析回路と直列に繋いで透析もDHPもやる…なんてことは容態にもよりますが難しそうですね。そもそも現状だと保険適用の関係上、 単独使用が前提 のようです。 つまり透析患者さんには週5回来てもらうか、DHPの後HDを回す形となりそうです。
うちではメーカー立ち合いのもとQB20mL/minで開始するよう指導がありました。DHPといえどもリスクはリポソーバーと変わらないようです。
またDHPなので当然ですが、 回路がかなり固まり易いため圧の上昇には十分注意が必要 です。目安としては 入口圧と出口圧の差が150mmHg以内 で使用し、超えた場合は治療を中止し即座に回収します。
治療の終了(補足)リポソーバーとレオカーナの違いについて
因みにここで砕けた話題を一つ。少しマニアックな話となりますが、リガンドが「デキストラン硫酸」と聞いて「リポソーバー」を想起された勘の鋭い方もいるのではないでしょうか(君のような勘のいいAA略)
リポソーバーはレオカーナと同じく血中LDL-Cを選択的に吸着除去する吸着型の膜ですが、分類は「吸着型血漿浄化器」であり、レオカーナの「吸着型血液浄化器」とは異なります。つまりは血液から分離された血漿か、血液そのもの(全血)かの違いですね。そのため前者は血漿分離方式によるLDLアフェレーシス、後者はDHPに分類されます。
保険適用の違いリポソーバーの対象患者(適応症)は難治性高コレステロール血症 であって、LDL-C吸着はこの目的のために行われます。保険適応は併発するFontaine分類 II 度以上のASO患者です。
これに対し レオカーナの対象患者(適応症)は血行再建術が不適応なASOにおける潰瘍の改善 を目的に使用するものです。血流に影響を及ぼすと考えられる 血中LDL-C とフィブリノゲン の双方を吸着し、 高コレステロール血症を併発しない患者にも使用できます。 保険適応は併発するFontaine分類 Ⅳ 度以上のASO患者です。
(おまけ)リポソーバーの必要物品血漿浄化器ということは当然、血漿分離器(サルフラックスやプラズマフロー)が必要です。さらに特殊な回路構成のためMA-03という専用の機器が必要です。
リポソーバーを用いたLDL吸着療法では、吸着飽和に達した吸着器を5%高張食塩液(賦活液;RF)で脱着・再生し、その間はもう一本の吸着器を用いて交互に吸着を行なっています。さらにその賦活液を置換するための乳酸リンゲル液などのCa含有等張電解質液も必要です。
それが DHPだから全血の、カラム一本の簡便な回路構成で済むんですから、保険適応の範囲が違うとはいえレオカーナはほんと画期的な治療法 だと思います。
カネカ 北海道に医療機器工場を新設
今回生産を予定している医療機器は米国での適応拡大や昨年発売した新製品の投入が奏功し、着実に販売が伸びています。血中の悪玉コレステロールを選択的に除去する「リポソーバー ® 」は、欧米を中心に今後も堅調な需要の伸長を見通しています。また新規の「レオカーナ ® 」は、重症化した閉塞性動脈硬化症(ASO) *1 に対する新たな治療法として市場から高い評価を受けております。今後、 潜在患者数が多い米国、中国などで需要の急拡大が見込まれ、今回の工場新設による供給基盤の確保により飛躍的な事業拡大を図ります 。
https://www.kaneka.co.jp/topics/news/2022/nr2201241.htmlレオカーナについて まとめ
- レオカーナは令和3年から保険適応が始まった新しい治療法です。
- 「血行再建術不適応な潰瘍を有する閉塞性動脈硬化症患者(フォンテイン分類Ⅳ度)」に対してのみ保険が適用されます。
- 償還価格は91600円 吸着式潰瘍治療法(1日につき)1680点が保険適用されます。
- レオカーナの治療原理はデキストラン硫酸とトリプトファンをリガンドとし、血液中よりLDL-Cとフィブリノゲンを選択的に吸着除去することで、血液の粘性を低下させ、末梢血液循環の改善を導き、下肢抹消の難治性潰瘍を改善することを原理とします。
- 禁忌事項として、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)服用中の患者、抗凝固剤使用が禁忌である患者が挙げられます。
- 一回の治療は約2時間。週2回計24回が1クールです。
- DHPであるため回路は非常に簡便です。
- 特に治療開始後30分間の血圧低下には注意が必要です。
- 初回開始時のQBは50mL/min以下が推奨されています。
- 創部の治癒(浸出液がなく皮膚欠損がない状態)が確認出来た時点で治療を終了します。
- 似たようなリポソーバーはLDLアフェレーシス治療であり難治性高コレステロール血症に使用します。間違えないようにしましょう。
編集後記
またこちらの記事で書ききれていない、必要物品や治療の手順、レオカーナに関する個人的な使用感といった内容は別の記事をご参照ください。
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CEじゃーなるを陰ながら支える管理人です。 相方のMoegiと二人で当サイトおよびCE LIFEを運営中。 【保有資格】臨床工学技士・透析技術認定士 ブログ運営やら自己啓発・投資やら色々行なっています。