Aimer、Uru、milet……女性ボーカルのトレンドはインパクトと聴き心地の良さにあり? 近年の傾向を探る
『レコチョク上半期ランキング2019』で、新人アーティスト賞を受賞した女性シンガーソングライター・milet。彼女は3月のデビュー以降、ドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)やアニメ『ヴィンランド・サガ』(NHK総合)など、数々のエンタメ作品とタイアップし、めまぐるしい活躍を見せている。彼女の魅力は何といっても、その印象的な“声”。一度耳にしたら忘れられない重厚な、それでいて繊細な歌声で聴く人の心を掴む。特にドラマ『偽装不倫』(日本テレビ系)の主題歌に起用された「us」では、物語の一番盛り上がった場面で流れる〈好きだと言ってしまえば 何かが変わるかな〉というキャッチーなリリックと共に彼女の歌声が強く記憶に残ったのではないだろうか。
milet『Drown / You & I』milet、Aimer、Uruに共通する魅力といえば、歌う時の息遣い。彼女たちの歌声は聴いた人たちに「癒される」「耳が幸せ」としばしば呟かれるが、それは地声で歌い上げるのではなく、息を多く含み柔らかく言葉を発声しているからだ。また、彼女たちは高音もさることながら、低音も美しく響かせることができる。3人に共通しているのは、息の成分量が多く、低音も安定して出せるという点といえるだろう。しかし、その歌声を用いて演出する世界観は個々に異なっている。miletは空気を一点に集めたダークな歌声が印象的。J-POPではあるが、他のアーティストたちとは一線を画した、洋楽的な要素も感じられる。Aimerは15歳の頃に声帯を痛めたことで、今の歌い方に辿り着いたという。そのハスキーな歌声は壮大で、ファンだけではなく、RADWIMPSの野田洋次郎やONE OK ROCKのTakaをはじめ、アーティストたちをも虜にしてきた。Uruは歌の途中でスタッカート気味に何度も息継ぎをしている。まるで耳元で囁かれているような彼女の歌声に、聴く人は感情を揺さぶられるのだろう。
ちなみに、miletもデビュー曲「inside you」が数々の音楽配信サイトで1位を記録。Aimerは2011年にiTunesで配信限定のカバーアルバム『Your favorite things』をリリース。同アルバムが話題となり、その後メジャーデビューを果たしている。さらに、Uruは2013年からYouTubeでカバーソングを配信し、ファンを獲得。配信スタートから3年後の2016年に1stシングル『星の中の君』でデビューした。今や莫大な数の情報が集うインターネットの世界。以前よりも強い個性が求められる中で、彼女たちは独自のイメージを確立し、細やかな表現力で注目を浴びてきた。3人とも本名などの詳細プロフィールを明かしていないが、その謎めいた雰囲気も好奇心を掻き立てる要因の1つではないだろうか。