加山雄三『君といつまでも』 しとねって何?
「しとね」とはふとん(布団)のことである。この言葉を私はこの曲で初めて聞いて知った。ちょっと気になったのは、“この僕のしとねにしておくれ”の「して」という言葉づかい。「させておくれ」ではないか? と思った。「しとね(ふとん)」にせんとする何か(つまり「髪」)の処遇を決める主体は「僕」ではない。そよかぜに髪を梳かせる「君」である。君の所有する髪を、僕のしとねにしたいのだから、「させておくれ」ではないか?
だがしかし(生まれて初めて使った)いいのである、「しておくれ」で。簡単なことだ。ここの文の主体は、「君」なのだ。「させて」などと僕が懇願することはない。堂々として「君」に申す。「僕」の気持ちはこの歌のとおりだ。それを受けて、君は「すれば」いい(僕が「させてもらう」ことなんてない)。僕と君の対等で尊厳ある間柄において、君は自分の意志でその髪を(あるいは君の存在そのものを)僕のしとねにするのだ。
もちろんこれは比喩であって、ほんとうに若大将の体の下に君が自分の髪の毛を敷く必要はない。そんなふうに、抱擁、受容、承認しあう愛をただ伝えている歌詞なのではないか。
作詞:岩谷時子作詞は岩谷時子。私の心にある曲でいうと『友だちはいいもんだ』の作詞者(このブログで記事にした)。劇団四季の『ユタとふしぎな仲間たち』のために書かれた。これは学校教育でも使われる児童や生徒向けの歌本に掲載されたり、合唱曲として認知されたりもしている。『君といつまでも』『友だちはいいもんだ』をみるに、高い理想を見据えた貴い純心をあらわす言葉が彼女の作風の特長かもしれない。
作曲:弾 厚作
作曲名義の弾厚作とは加山雄三の別名。尊敬する團伊玖磨と山田耕筰の名からとったという。『君といつまでも』はその尊敬の念にかなった美しいメロディをしていると思う。寄せては返す波のように、ささやかにときに大胆に揺れ、満ち引きする潮のように高揚しては沈静する。加山雄三がまとう雄大な海のイメージに沿う。『君といつまでも』がつくったイメージかもしれないし、もともとの彼のパーソナリティが曲をこのように醸成したのかもしれない。
原曲リスニングメモ
- Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)
- クリックして友達にメールでリンクを送信 (新しいウィンドウで開きます)
- クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)