. By パン作り研究家 ナオキパン
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【9割が誤解】中種法のメリット・デメリットをプロが解説!【おすすめレシピも紹介】

また、中種の段階で発酵をかなり進めているため、本捏ね後の一次発酵はストレート法と比べてかなり短時間です。一次発酵がゼロまたは少ない生地は、捏ね上げ直後の柔軟性が残っているためしなやかで丈夫です。そのおかげもあって 傷みにくく扱いやすい生地 です。機械製造ではこの柔軟性が助けになり、機会を通した後の生地傷みも最小限に抑えられますし、手作りの場合も「丸めすぎて生地が破れる」といったスキル不足によるリスクも少なくなります。簡単に言えば 「パン作りの工程のシビアさが減る」 といったところでしょうか。

ですが中種法なら、 先にある程度グルテン結合を進められる ためココアパウダーを使っても伸びの良い生地ができますし、中種発酵で 先にpHが低下する のでストレート法で最初から緩衝作用を受けることに比べたら幾分マシです。このことがいわゆる「材料の影響を受けにくい」というところでしょう。

これは事前に発酵させる中種のpHが発酵に最適な弱酸性に傾くことや、2回目のミキシングで 再び酸素が生地内に供給されることで酵母菌の呼吸が促される ことなどが関係しています。「パンチによって生地に新たな酸素が入り、発酵(呼吸)促進される」というのはご存じの方も多いかもしれませんが、中種法における本捏ねにはとても強いパンチ効果があるとも言えますね。

デメリット
  • 粉の風味が薄れる
  • 手間が増える
  • 中種を置いておくスペースが必要

中種法で生地を作ると グルテンの酸化が進みやすく 、それは生地の強さやボリュームアップに貢献する一方、 粉が本来持っている風味が薄れる 原因にもなります。実際、ストレート法と中種法でパンを作り比べると、焼き上がりのパンの香りは前者の方が確実に際立っています。

「中種法はストレート法よりパンがしっとりする」は本当か?

なぜかというと、そもそも パンの保水性の大小に影響を与えるのは「水和」 だからです。水和はミキシングによってもある程度は進みますが、そのため、 より長時間寝かせた生地の方が水和が進み保水性の高いパンになる のです。

様々な種類の中種法、その違いについて

50%中種法、70%中種法、100%中種法…

このように中種に使う粉の割合を変えることで、中種法の恩恵をどれだけ強く得られるのかが変わってきます。逆に言うと、 中種法のデメリットを抑えたい場合に使う粉の割合を少なくする ことが多いです。

宵種法(オーバーナイト中種法)

しかし常温で長時間発酵させるため 酸味が出たり発酵が進みすぎる恐れ もあるため、脱脂粉乳や食塩を入れたり季節によってイースト量を調整するなどして、発酵具合を上手くコントロールする必要があります。

加糖中種法

通常の中種には砂糖は入れないところ、この製法では砂糖を少量(使う砂糖の2割程度)入れて中種を作ります。本捏ねでいきなり全量の砂糖を入れる場合に比べて生地内の浸透圧上昇が緩やかになることによって、 浸透圧による発酵力の低下を抑える ことができます。

“黄金比”の加糖中種法で作る!基本のあんぱんのレシピ

中種法にピッタリなパンは何?

小麦の香りが際立つパンは確かに美味しいですが、それは全てのパンで重要というわけではありません。具材の主張が強い惣菜パンや中身で勝負の菓子パンなど、これらのパンにおいては使う粉の違いによる風味の差を感じ取れる人はかなり少ないでしょう。ここでは中種法のデメリットがデメリットにならず、かつメリットの恩恵をよりありがたく感じられるような、 中種法にうってつけなパンの種類 について解説していきます。

高配合でリッチなパン

また、リッチなパンの多くはよりふんわり柔らかく仕上げた方が美味しいです。そして、 小麦の風味よりも卵・バターの風味や中身の具材の味で勝負するパンがほとんどです 。なので例え中種法で粉の風味が薄れたとしてもそれで物足りなさを感じることはほぼ無い上、中種法のメリットであるボリュームアップの恩恵はしっかり効果を果たすため一石二鳥です。

パン作りで卵を使う理由は?その効果と役割をプロが解説 naokibread.com https://naokibread.com/oilfat_effect/ パウダー系の副材料を使うパン

そこで中種法を採用することで生地の繋がりは改善され伸展性の良い生地が得られ、包あん成型もしやすくなるでしょう。また、このタイプのパンなら 粉の風味が薄れることがむしろメリットになります 。小麦粉の風味が薄れる代わりにこれらのパウダーの風味が際立つからです。

大物具材を練り込むパン

そこで中種法を採用することでより強い生地を用意することができ、 具材による膨らみの劣化を補う ことができます。

ただしこの類のパンだと 必ずしも具材勝負というわけではないので注意 が必要です。例えば「くるみのハードトースト」ならくるみの風味と小麦の風味、その相乗効果を楽しむパンです。粉の風味が薄れてしまうのはもったいないですね。

中種法には向かないパン
  • 粉の風味を際立たせたいパン
  • あまり捏ね過ぎたくないパン

初めての中種法にはコレ!基本のマスターレシピ

ストレート法のレシピを中種法に変換する方法

  • 粉の何%を中種に使うか
  • 仕込み水の総量を少し減らす
  • 一次発酵を短時間にする
粉の何%を中種に使うか
  • 粉の風味を残したいのか、残さなくて良いのか
  • 中種法のメリットをどれだけ得たいのか
仕込み水の総量を少し減らす

ストレート法から中種法にする場合、同じ水分量だと生地のベタつきが強くなるため少し減らす必要があります。使う粉やその他の配合によって変わってきますが、一般的な目安として 3~5%は減らすことになる と考えておきましょう。

一次発酵を短時間にする
  • 中種に使う粉の割合が多い
  • 中種に使うイーストが多い
  • 中種に副材料(脱脂粉乳など)を入れない
ストレート法から中種法への変換例 材料BP(%)強力粉100生イースト2.5砂糖5食塩2脱脂粉乳2水70バター5 捏ね上げ温度27℃一次発酵90P30 (27℃)ベンチタイム25分最終発酵約60分 (38℃) 材料BP(%)中種 強力粉 70 生イースト2.5 水 40 本捏ね強力粉30 砂糖5 食塩2 脱脂粉乳2 水 25 バター5 中種捏ね上げ24℃中種発酵180分 (27℃) 一次発酵 20分 (27℃)ベンチタイム25分最終発酵約50分 (38℃)

まとめ

中種法で作ると本捏ねミキシング時間は長くなる?短くなる? 中種法と 直捏法 ストレート法 、粉の風味が際立つのはどっち?

当サイト及びYoutubeチャンネル「パン作りの教科書 / ナオキパンchannel」を運営。 パン作りのコツや製パン理論を科学的な観点からわかりやすく解説し、パン作り上達の楽しさを広めることに加え、正確な製パン情報の普及に努める。 ベーカリーや食パン専門店など数々のパン店立ち上げや現場責任者の経験有。 自律神経失調症によりパン業界を一時離脱した際に、自身の知識と経験が誰かの役に立つことを願い、2022年5月から本格的に情報発信活動を開始(現在は寛解しゆる~く復帰)。 パンシェルジュ一級。

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