内視鏡CEが教える「ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術」の基礎知識
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:endoscopic submucosal dissection)とは
内視鏡的粘膜下層剥離術 ( ESD :endoscopic submucosal dissection)は、 消化管内視鏡を用いて、胃や大腸などの消化管の早期ガンや良性腫瘍(腺腫)などの病変を切除する治療法 です。
通常、 内視鏡的粘膜切除術 ( EMR :endoscopic mucosal resection)では 切除困難な病変サイズ であったり、 病変の部位的にEMRが困難な病変 に対して選択される治療法がESDです。
ESDの様子(左:胃ESD, 右:大腸ESD)ESDの対象部位と特殊なESD
- LECS(laparoscopy and endoscopy cooperative surgery):腹腔鏡・内視鏡合同手術 【通称: レックス 】
- NEWS(non-exposed endoscopic wall-inversion surgery):非穿孔式内視鏡的壁内反切除術
- EFTR(endoscopic full thickness resection, ESD-F):内視鏡的全層切除術
- POET(per-oral endoscopic tumor resection):経口内視鏡的腫瘍核出術 【通称: ポエット 】
- POEM(per-oral Endoscopic Myotomy):経口内視鏡的筋層切開術 【通称: ポエム 】
- Ta-POEM(transanal-POEM):経肛門的内視鏡的筋層切開術→ その他に、Z-POEM, G-POEM, D-POEMと派生
- PAEM(peranal endoscopic myectomy)→ 実質的にTa-POEMのことだが、外科色が強い 【通称: パエム 】
- ARMS(anti-reflux mucosectomy):内視鏡的逆流防止粘膜切除術 【通称: アームズ 】ARMA(anti-reflux mucosal ablation):逆流防止粘膜焼灼術 【通称: アルマ, アーマ 】
CLEAN-NET, Inverted LECS , Closed LECS , etc・・・。
ESDの適応病変
先述しましたが、 ESDはEMRで切除困難な病変に対して実施される治療 です。
上部消化管では、基本的にはどんなサイズでもESDとなります。 “どんなサイズでも”というのは、 3mmだろうが50mmだろうが基本的にはESDをする ということです。
なお、一部の胃の病変や十二指腸の15mm程度までの病変であれば underwater EMR ( UEMR )を、場合によれば十二指腸の腺腫は CSP をしますので、必ずしも上部はESDとは限りません。
下部消化管・・・つまりは 大腸では、基本的には 20mm以上 の病変がESDの対象 となります。大腸でも病変がヒダ上にあるなど、病変の部位によってはEMRではなく、ESDが選択されることがあります。
内視鏡領域での略語解説コールド・スネアー・ポリペクトミー(cold snare polypectomy)の略称原則、10mm以下の大腸ポリープの場合に適応となる治療法で侵襲が少ないです
アンダーウォーター・EMR(UEMR:underwater endoscopicmucosal resection)の略称管腔内に水を満たした状態でポリープを切除する方法です
ESDのメリット/デメリット —EMRと外科手術との比較—
ESD、EMR、外科手術との比較- 臓器の温存:病変部分のみを切除するため、 臓器を温存 することが可能
- 一括切除:大きな病変や特殊な形の病変でも 一括で切除可能
- 負担軽減:外科手術に比べて、患者さんの 身体的・精神的な負担が少ない
- 入院期間の短縮:外科手術と比較して、治療後の 入院期間が短縮 される傾向にある
- QOLの維持: 患者のQOLを維持 しながら、 根治を目指せる治療法 として注目されている
- 高度な技術が必要:内視鏡医に 熟練したスキル が求められる
- 穿孔や出血などの偶発症リスク:出血や穿孔などの 合併症 が起こる可能性がある
- すべての病変に対応できるわけではない:全ての早期ガンが対象となるわけではない
- 再発の可能性:すべての病変を完全に切除できるとは限らず、再発する可能性ある
- 治療費が高額になる場合がある:EMRに比べて、治療費が高額になる場合がある
ESDの手技の流れ
- マーキング ・・・ 病変の位置が把握できるように、病変の周囲に焼灼してマーキングする
- 局注 ・・・ 病変と筋層の距離を取るために、局注液を粘膜下層へ注入する(病変を浮かす)
- 粘膜全周切開 ・・・ マーキングより外側の粘膜を全周切開する
- 粘膜下層剥離 ・・・ 全周切開した範囲で粘膜下層を剥離していく
- 病変切除 ・・・ 病変切除が完了したら、病変を回収する
- 止血&縫縮 ・・・ 潰瘍底の血管を焼灼して止血したり、クリップなどで潰瘍底を縫縮する
ESDは内視鏡CEの醍醐味!!
それは、 「ESDの介助」 だと思います。
何せ、デバイス操作スキルを求められるのは当然ながら、適切なタイミングでのデバイス操作、適切な局注量の把握、次の展開読み・・・とただデバイス操作をするだけではないのです。
特に大事にしたいのは、 術者の考えていることと同じように考えられる能力 ・・・私は”感覚の共有”と呼んでいますが、まさに言葉を交わさずとも・・・という阿吽の呼吸でESDをするのは楽しいのです。
さいごに
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- 内視鏡業務の心得 ―臨床工学技士(CE)の役割と介助のコツ―
CEじゃーなる おすすめ書籍紹介
そのタイトル通り、内視鏡に関わるスタッフのための参考書です。 システムの話から手技の話、洗浄の内容まで網羅されています。 内視鏡技師のテキストといって差し支えないでしょう。 内視鏡デバイスの解説を写真と図表でわかりやすく解説されています。 本書は2017年発売のため、新しいデバイスやシステムは未掲載であるため、私もデバイス解説の記事を考えています。この本は内視鏡医のみならず、内視鏡室で業務をされるCEやNsにもオススメな1冊です。 JENT分類など様々な内容が詰まっています。 クイズ形式で実例提示もされており非常に理解しやすい内容となっております。
内視鏡業務では介助者として入りますが、どういう病変なのか、過形成?、adenoma?など理解してやるかどうかで楽しさが変わります。 「CEさん、目が肥えてるね」って言われるのはやっぱ嬉しい。また実力をつけ職場の中で認めてもらうには資格取得が一番効率がいいでしょう。「消化器内視鏡技師」習得には「過去問題集」を繰り返し解くことをお勧めしております。
第37回(2018年)~第42回(2023年)の6年分の問題解説、付録として第43回(2024年)の問題と解答が記載されています。この記事を書いた人
職歴 現大学病院勤務 取得資格 臨床工学技士(CE)、ITE 心血管インターベンション技師、ME1種検定試験