. COWBOY CARTER』の衝撃 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
COWBOY CARTER』の衝撃 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
COWBOY CARTER』の衝撃 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)

リアノン・ギデンズが語る、黒人にとってのバンジョーと本当のアメリカ音楽史、『COWBOY CARTER』の衝撃

カントリーの象徴的な楽器でもあるバンジョーは、もともと奴隷たちがアメリカに持ち込んだもので、そのルーツはカリブ海~アフリカにある。つまり、白人の音楽もしくは保守派の音楽というイメージを持たれてきたカントリーは、元を辿れば黒人由来の要素が多く含まれていたというわけだ。「TEXAS HOLD 'EM」における印象的なバンジョーは、その見過ごされてきた歴史に光を当てる、『COWBOY CARTER』の精神を高らかに謳い上げるものでもあった。

南部ノースキャロライナ州育ちのリアノンは、キャロライナ・チョコレート・ドロップス(2006年結成)の一員として頭角を表わし、2015年にソロデビュー。イタリア出身のマルチ奏者、フランチェスコ・トゥリッシとコラボした2021年のアルバム『They’re Calling Me Home』で自身2度目のグラミー賞を獲得し、これまで通算11度のノミネート歴を誇る彼女は、現代アメリカン・ルーツ・ミュージックにおける最重要人物と言っても過言ではない。

そんなリアノンの音楽活動は、「TEXAS HOLD 'EM」に込められたメッセージそのものとも言えるだろう。バンジョーはどんな歴史を辿ってきた楽器なのか。なぜ「白人の音楽」としてのイメージを纏ってしまうことになったのか。彼女はその問いに向き合いながら、アフリカ系アメリカ人が辿ってきた歴史を掘り下げてきた。彼女の言葉を借りれば、バンジョーの歴史を知ることは植民地主義からの解放であり、アメリカという国の本当の歴史を明らかにすることでもある。

黒人にとって「自分たちのための楽器」

―バンジョーを弾くようになったきっかけは?

―いつ頃、楽器を手にしたのですか?

リアノンはキャロライナ・チョコレート・ドロップスの盟友、ジャスティン・ロビンソンとのコラボ・アルバム『What Did the Blackbird Say to the Crow』を4月18日リリース予定。先行シングル「Hook and Line」のMVは生前にジョー・トンプソンが住んでいた自宅で撮影

―先ほどスクエアダンスに言及していましたが、スクエアダンスもしくはコントラダンスは過去の文化ではなく、コミュニティの中でずっと行われているものということでしょうか?

―バンジョー演奏の技術を身に着けるだけでなく、その楽器の歴史にもフォーカスするプレイヤーは必ずしも多くないと思います。なぜ、バンジョーの歴史を起源まで遡ろうと思ったのでしょうか?

―調べようと思い立った時、そういった情報には割と簡単にアクセスできたんですか?

リアノン:バンジョーに関する学術書はすでにたくさんあったから。40年前だったらもっと難しかっただろうけど、私が調べ始めた20年前なら、ディナ・エプスタインの『Sinful Tunes and Spirituals』や、『Banjo Roots and Branches』、『Jigs, Reels and Hoedowns』、『The History of Appalachian Dance』、クリスティーナ・ギャディの『Well of Souls』などが出版されていたし、黒人ストリング・バンドの録音を集めたコンピレーションも出ていた。手に入るものを読み漁り、情報を吸収し、自分のものにした。

著者のクリスティーナ・ギャディが『Well of Souls』について語った動画。17世紀まで遡り、バンジョーの起源とアフリカ系の人々に与えた影響を検証している

―バンジョーという楽器、もしくはバンジョーを使った音楽が持っていた「アフリカ性」もしくは「カリブ海性」ってどんなものですか?

Translated by Kyoko Maruyama

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