セル生産方式
①製品在庫の削減 セル生産の場合、少人数でライン構築が可能になるので複数のラインを同時に動かすことが可能になります。そのため、同時に数種類の製品を完成させることができるようになるのです。また、セル生産を行っていくと製造リードタイムが短くなるので、顧客要望に応じた生産が可能になり、必要以上に在庫を持ち貯めしなくても対応できるようになってきます。つまり、常時在庫補充が可能になるため、在庫を持つ必要性自体がなくなってくるのです。
②仕掛り在庫の削減 セル生産の場合、仕事の自己完結性が上がるため、作業工程ごとに仕掛りを持つ必要性がなくなります、一般的に仕掛り在庫は各工程間、作業者間の処理能力の差により発生するものですがセル生産の場合、各工程が完全に連結しているため工程間の仕掛りはほとんど発生しません。
リードタイム 短縮セル生産を行った場合に、まず大きく短縮できるのは製造リードタイムです。 セル生産を行っていくと各作業工程が連結していくため、必然的にリードタイムは短くなってきます。
営業部門や業務部門がセル生産の考え方によって、改善を進めていくと事務処理時間が短くなるので、情報処理リードタイムは短くなってきます。また調達部門が改善活動を行っていくと調達リードタイムが短縮してきます。 実はリードタイム短縮活動の中で最も難しいのは、この調達リードタイムの短縮で、ここを短くしていくためにはサプライヤーの協力が不可欠になります。
そして営業部門、出荷部門の改善によって物流リードタイムが短くなってきます。このように製造リードタイムの短縮だけならば製造部門だけでできますが、全社的なトータルリードタイムの短縮を行っていく場合には、全社的な協力が不可欠になります。
作業不良が低減!セル生産を行うことによって作業者のモチベーションが向上してくると、作業に 対する注意力も向上してくるので、人に起因する不良が減少してくるのです。
ただし、当然のことながら、不良の低減は作業者のモチベーションの向上だけに頼 らず、ポカヨケの設置や標準の設定、工法の変更など仕組み面からのアプローチも忘れてはなりません。
生産性の向上!セル生産を行うと生産性は大きく向上しますが、それはムダ作業削減(運搬・物流のムダ、手待ちのムダなど)や生産の変動に対する適応力、作業者のモラル向上などを起因としています。一般的にセル生産システムを導入した場合、30~50%の生産性の向上が見込めますが、場合によっては100%以上の生産性向上が図れる場合もあります。
コンベア生産においては、その生産性はラインスピードに影響され、作業者のモチベーションにはさほど影響を受けませんが、セル生産は人間的要素が色濃く出るために、生産性の向上に関しては作業者のモチベーションと密接な関係があります。つまり、作業者のモチベーションが高い場合においては、コンベア生産に比較して、かなり高い生産性を発揮する反面、モチベーションが低いとコンベア生産よりも生産性が下がってしまう特徴があります。
セル生産を導入したほとんどの企業は実際に生産性が向上します。その理由は、セル生産においては各人の能力と同等の結果が出ますが、コンベア生産においてはライン中の最も能力の低い人に全員が合わせざるを得ないためなのです。
設備投資コストがかからない!セル生産のメリットのひとつとして設備投資がほとんどかからないという点です。
セル生産の場合、自動機をラインの中に入れるにしてもその前提はLCA化(ローコストオートメーション)であり、作業者の智恵と工夫をその起源として、徹底 的に安いコストで作成した設備を使用することになります。
セル生産において必要なのは作業テーブルと治工具、部品を入れる棚程度であり、最も簡素化された生産システムということができます。
生産量の変動に対応できる!!セル生産では『種類&生産量の変動』に対応することが可能です。
①種類の変動:従来のコンベア生産では品種の切り替え時に相当な工数を必要としていました。特にフリーフローラインなどはパレットの入れ替えを行ったり、ライン幅の変更、検査機の調整など数時間単位の段取替えが必要となっていました。
②生産量の変動:従来のコンベアラインでは生産量が多かろうが少なかろうが、ラインを稼働させるために必要な人員は決まっていますので、一人でも欠けたらラインを動かすことはできません。そのため少量の生産でもメインラインを動かさざるを得ず、大きな囗スを発生させていたわけです。
しかし、セル生産では基本的に各セルが独立していますので、生産量に応じた数だけのセルを稼働させ、必要の無いセルは停止させておけば良いのです。また巡回方式のセルを採用している場合には、セルの中で作業する人員数を増減させることにより、時間当たりの生産数を増減させることができます。
セル生産方式の欠点①作業者個人の技量差が大きく出る セル生産の場合、作業者の熟練度、多能化度、モチベーションの程度によってその作業速度は大きく変化します。現実的に作業のスピードが毎回変化してしまうと生産統制が取れなくなるので、セル生産においてはそのスピード制御(セル制御)をかけていく必要があります。
②責任意識が時としてストレスとなる セル生産の場合、作業の受け持ち範囲が広くなるため、各作業者に対する責任は大きくなってきます。そして人によってはその責任意識がプレッシャーとなり、 ストレスとなる場合があります。そのため、不良などが発生した場合、その責任を個人に押し付けるのではなく、仕組みの悪さ(ポカヨケなどの未設置)としてとらえることが大切です。
③より幅広い多能工が求められる セル生産は自己完結性の高い生産方式であるため、今まで以上に作業者の多能工化を要求することになります。必然的に作業習熟にかなりの時間を要することになるので、セル化にあたっては、作業訓練、教育に十分な時間をかける必要があります。また、効率的な教育を行うためには作業標準書、基準書などが不可欠ですし、短時間で効果を上げるための各種ツールが必要となります。
多能工化の教育よってセルに配員してから仕事を憶えさせるようなOJT中心の教育も場合によっては必要です。
又、新人に作業を教える時は必ず分かり易い手順書を見ながら行います。
最近では教育専用のセルを作るところも増えています。本来のセルと同等のセル で新人の教育を中心に行うセルのことです。
〈単能工〉単一の作業もしくは簡単な作業しかできないレベルの作業者。
〈多能工〉多工程の作業および複数の商品の作業を行えるレベルの作業者
〈全能工〉複数の商品の初工程から最終工程までを 一人でできる作業者
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