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『火垂るの墓』は実話?原作者・野坂昭如が語った衝撃の真実とは

映画の節子は4歳の設定になっていますが、実際の野坂の妹・恵子は1歳6ヶ月でした。この年齢ではまだ言葉もしゃべれないので、コミュニケーションをとることはできません。 栄養不良のため眠らなくなり、夜泣きするようになった恵子。ついに近所から苦情が来るようになり、泣き叫ぶ恵子を連れて外へ出た彼は、たまらず妹を殴ったといいます。最初はお尻を叩いていましたが、それでも泣くので、拳で頭を殴ると泣き止んだそうです。 おそらく脳震盪を起こしていたと思われますが、当時は子どもはすぐに脳震盪を起こすと知らなかったため、それからは夜は妹を寝つかせるためにすぐに殴るようになったとか。

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【違い⑤】防空壕では生活していなかった

【違い⑥】妹は疎開先の福井で亡くなっていた

戦火が広がり西宮にいられなくなった兄妹は、福井県の春江にたどり着きます。実話ではこの福井への疎開が大きな転換点の1つとなっています。 縁もゆかりも無い土地にやってきた兄妹は誰にも助けを求めることができず、恵子の体調はどんどん悪化していきました。あるとき野坂が銭湯から帰ってくると、恵子はすでに息絶えていたそうです。 映画の節子は清太に看取られて亡くなりましたが、実際の恵子は誰にも看取られることなく、ひっそりと息を引き取ったのです。

【違い⑦】14歳の少年が育てきれなかった事実

映画では、節子の死は戦争の混乱による避けられなかった悲劇として描かれています。 しかし実際には、野坂が14歳という若さで1歳児の世話をしなければいけなかった環境と、そのなかで充分に食糧や医療を確保できず結局妹を死なせてしまったことが、彼に大きな罪悪感を覚えさせていました。 野坂は生涯にわたって、妹を放置してしまった時間や必要な看護を施せなかった事実を、罪として背負って生きていました。そうした切実な思いが『火垂るの墓』の根底には流れているのです。

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妹のことよりも2つ年上の少女への恋に夢中だった

兵庫県の西宮にある、親戚の家に滞在していた当時、野坂さんはその家の娘に夢中だったそうです。その家の三女の京子さんで、野坂山より2つ年上でした。 幼い妹のことよりも年上の女の子に興味がある、14才の中学生らしい淡い恋をしていたのですね。 また、食糧は不足していましたが、小説や映画の中にあるようなひどい扱いは受けておらず、家を出て防空壕で生活していたというような事実はないとのことです。

『火垂るの墓』は亡くなった妹への後悔と願望が込められている

野坂昭如は、複雑な家庭環境で育ちました。 彼は1930年に鎌倉で誕生。このとき両親は別居しており、母は彼を産んだわずか2ヶ月後にこの世を去り、生後半年で神戸の家に養子に出されます。野坂は11歳のときに偶然戸籍謄本を見て、自分が養子だと知りました。その後、やはり養子の妹が2人やってきます。 1945年の神戸大空襲の後、野坂は妹の恵子とともに西宮の親戚のもとに身を寄せた後、福井へ疎開。そのころの体験が『火垂るの墓』のもとになっています。 映画では最後まで妹思いの兄が描かれていますが、実際には妹の分の食糧まで自分で食べてしまったりしていたそうです。『婦人公論』1967年3月号に寄せたエッセイでは、「食欲の前では、すべての愛も、やさしさも色を失った」と綴っています。 恵子への贖罪と鎮魂の祈りを込めて、『火垂るの墓』を執筆したという野坂。のちに娘を授かった彼は、どうしても儚く死んでしまった妹たちのことを考えずにはいられないと語っています。

宮崎駿が語る『火垂るの墓』の矛盾

映画では、清太と節子の父は海軍大佐として戦争に行っています。海軍大佐といえばエリート中のエリートなので、もともと莫大な資産があったはずです。清太と節子も実家から貯金を持ち出していますが、実際にはそうそう使い切れる金額ではなかったと思われます。 宮崎駿はこれについて、清太と節子の父が戦死した場合でも「軍は遺族に対する補助がしっかりしていたから、(2人の貧乏暮らしや餓死することは)ありえない話だ」と、矛盾を指摘しています。

高畑勲が『火垂るの墓』に込めた思い

高畑勲は本作について、「反戦アニメなどでは全くない、そのようなメッセージは一切含まれていない」とくり返し語っていました。 『火垂るの墓』は、幼い清太と節子が周囲の助けを得ず、閉じた家族を作る物語です。これは高畑によれば「当時は非常に抑圧的な、社会生活の中でも最低最悪の『全体主義』が是とされていた時代」と語り、清太は全体主義を拒否して節子と「純粋な家族」を築こうとしたとしています。 また「本作では兄妹が2人だけの閉じた家庭生活を築くことに成功するものの、周囲の人々との共生を拒絶して社会生活に失敗していく姿は、現代を生きる人々にも通じるものである」とも語っています。

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