. 14でストップ 「受け身になった」敗戦を経て「隙のない東福岡で必ず帰ってきます」【藤元聡一監督インタビュー】 | 【月刊バレーボール】
14でストップ 「受け身になった」敗戦を経て「隙のない東福岡で必ず帰ってきます」【藤元聡一監督インタビュー】 | 【月刊バレーボール】
14でストップ 「受け身になった」敗戦を経て「隙のない東福岡で必ず帰ってきます」【藤元聡一監督インタビュー】 | 【月刊バレーボール】

Без кейворда

――敗戦から2日が経ちました

非常に受け入れ難い現実ですが、今回は「とにかく受け身になってしまった」ことにつきると思います。今年のチームは 2 年生が中心で、県内の戦いでは受け身になりがちだということを、インターハイ県予選のときから感じていました。ただ、インターハイと国スポという 2 つの全国大会を経験したことで、それは克服できているだろう、と。それ(劣勢)をはね返す、流れに身を任さない練習もしてきましたが、いざ試合が始まると 2 年生たちは想像以上に受け身のまま。現状ある力の 30% 、 40% くらいしか出せませんでした。

相手に先に走られると、きちっとするべきことや、これまでの練習やゲームで身につけた流れるような連係ができなくなる。だいたい 3 セットぐらいすれば地に足がつきますが、今回は「これは(ふだんの力に)戻るまで 5 セットまでかかるかな」と肌で感じていました。「これはいかん、きちんとしなきゃ」という雰囲気が完全に出ていました。全国の舞台を 2 度踏んでも、まだこうなるのか、と試合中に痛感したのが正直なところです。

――変則だったこれまでと違い、ミドルブロッカーを対角に組むフォーメーションで臨みました

――第1セットから守りのミスが目立ち、なかなか地に足がついていないようでした

そうですね。これは性格の部分も非常に大きくて。 2 年生には、穏やかで優しい子が多く、これまで東福岡には必ずいた影響力のある、人の力に長けた選手がまだ現れていませんでした。

例えば、去年のチームなら照屋(舜〔立命館大 1 年〕)や首藤(柚希(東亜大 1 年)。彼らのように、仲間やチームの雰囲気を常に気にかけ、声かけ一つで「よし、いくぞ!」と勇気を与えるような選手がうちには必ず 1 人、 2 人はいました。今回は去年からコートに立っている比嘉(晃跳)がその役割をしていましたが、両ミドルブロッカー(吉塚栄大と矢島航晴)や岩野、今年はリベロもそれをしなければいけません。しかし、実際のところ歯車が一つ狂ったり受け身に回ると、仲間を気にかけられなくなりました。

柳北(悠李〔広島 TH 〕)の代、葭原逢太(東海大 2 年)の代だったり、過去には下級生がスタメンの 7 分の 6 を占める、苦しい台所事情で予選を切り抜けた代もありましたが、今年の下級生はよく言えば優しい。新人戦から考えても、あの試合は今のチームになっていちばん弱かった、ワーストバウトではないかと思います。

――第1セットは23-25で落としましたが、第2セットは17-22から7連続得点で試合を振り出しに。立て直す兆しはありました

あれで落ち着くかなと思いましたが、なかなか乗れなくて。ポイントゲッターで、呼吸をするように合っていた吉塚の速攻が合いませんでした。国スポでいちばんの武器になっていた B (クイック)はほとんど打っていないんじゃないかな。(助走で)突っ込みすぎてしまったり、セッターが合わせようと思ってトスを浮かせたり。「どうした?」というようなことが続いて。 2 、 3 本合わないくらいだったら問題はありませんでしたが、それが 4 本、 5 本と続くと、「合わさないかん」となってしまう。

――後がなくなった第4セット。スタメン唯一の3年生、糸瀬翔馬選手が得点を重ねました。19-24から4連続得点をあげましたが…

――ただ、最終セットの糸瀬選手の気迫は、まさに3年生の意地というプレーでした

もともと「よくも悪くも」荒々しいパンチ力が武器の一つの選手ですが、この代になり、インターハイ、国スポとそれなりに経験を積んで、ようやくその「悪くも」の部分がとれて安定し、エースらしくなってきていたところだったので…。でも、やっぱり気負ったんでしょうね。「俺がやらなきゃ」という気持ちから空回りした感じもありました。 1 セットでおそらく 3 、 4 本ミスしていたので、そんな姿も久しぶりに見ました。いつもの糸瀬だったら通るようなボールがきれいに(ブロックに)引っかけられることが多かったです。

初めての経験を

必ず力に変えて

――試合を終えて、特にコートに立っていた2、3年生にはどんな話をしたのでしょうか?

3 年生には「覆水盆に返らず」ということを。コート外の行動や練習の切り盛りだったり、例年に比べてかなりレベルが劣っていたので。コートに立つ、立たないということではなく、 2 年生が変な背負い方をしないでいいような 3 年生の振る舞いができたのか、ということを話しました。ほとんどの者は大学でバレーをするので、本気でするということは何なのかをあらためて考えてほしいです。

ただ、 3 年生たちにはかける言葉をまだ全然用意していませんでした。いつもは春高の決勝の前日、東京のホテルですべての準備をし終わった夜中に、「こんなことがあったな」と考えて伝えることなので。今年はあまりにも唐突だったので、 3 年生のことを思った言葉は、ちょっと時間をくれと言いました。

言葉は悪いですが、 3 年生というのは日本一になって初めて後輩に生きざまを見せられると思います。あとは残念ながら死にざまですよね。これまでほとんどの 3 年生たちは、例え死にざまであっても、関わった人間すべてが涙が止まらないような「かっこええ死にざま」を後輩たちに最後、見せてくれました。毎年、東京体育館で最後、生きざまなり死にざまなりを後輩に託すなかで、それが立派な代もあるし、最後が心残りという代もある。そういった意味では、いちばん無念の代でしょう。勝たせてやれなかったのはめちゃくちゃつらいです。

2年生には、これだけ経験しても間違った背負い方をすると 30 %ぐらいの力しか出せないまま終わるということを。「時間差(攻撃)を何本したんや」、「 B クイックを何本打ったんや」と。「全国の猛者との練習試合で披露してきた武器を何個出したんや」と。ただオーソドックスに攻め、終始受けてしまった。そういったところを話しました。

――指導者としてはこの経験はどうつながっていきそうですか?

――葭原選手以外のスタメンは2年生で臨んだ2023年度は、インターハイ県予選決勝の敗戦からはい上がって春高へ。そしてその悔しさを知るメンバーが中心となり、昨年度は2度の全国準優勝を果たしました。来年度はどんな1年にしたいですか?

ここから 1 年 2 ヵ月後に、「あれがあったから日本一になった」となるのか、「あれから東福岡が崩れていった」となるのか。(春高決勝が行われる) 425 日後までのその一歩一歩を、毎日どちらに踏み出し、歩んで行くのか。長い冬が始まりますね。

春高県予選敗退から 3 日後、藤元監督の携帯電話が鳴った。電話の主は、これまで練習試合でしのぎを削ってきた市立尼崎高(兵庫)の藤原和典監督だった。春高を 3 週間後に控えたタイミングでの、新チームへの練習試合の依頼。それは、ライバルからのエールを意味していた。

「正直、涙が出ました。バスで 7 時間もかけてインターハイ準優勝チームが…。春高前に新チームを相手にしに来てくれてほんとうに申し訳ない。あらためて、これまで以上に強い東福岡であり続け、恩返しをしないといけないと思いました」(藤元監督)

月刊バレーボール 2025 年 1 月号( 12 月 15 日発売)は春高特集。誌面では、 3 年生エース糸瀬選手の思いに迫っています

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