. Edo River」 | 今日もあの街で名曲が 第4回 - 音楽ナタリー コラム
Edo River」 | 今日もあの街で名曲が 第4回 - 音楽ナタリー コラム
Edo River」 | 今日もあの街で名曲が 第4回 - 音楽ナタリー コラム

カーネーション直枝政広が江戸川土手で語る「Edo River」

これまで「武蔵野市」「世田谷代田」「茗荷谷」と、東京の街を舞台に話を聞いてきたこの連載だが、今回はそんな東京を遠巻きに眺めた楽曲をテーマに扱う。「東京から少しはなれたところにすみはじめて」──そんなフレーズでおなじみの カーネーションの楽曲「Edo River」だ。30年前にリリースされたこの代表曲は、いかにして完成したのだろうか。ミュージックビデオの撮影場所であるという三郷と流山の間に位置する江戸川土手へ赴き、 直枝政広(Vo, G)にその制作の裏側や、彼が身を置き続ける郊外への独特な眼差しについて話を聞いた。

取材・ 文 / 石井佑来 撮影 / 細谷謙介

川を渡るだけでこんなに世界が変わるんだ

「Edo River」MVの撮影を行った江戸川土手に佇む直枝政広。 [高画質で見る]

カーネーション「いつかここで会いましょう」MUSIC VIDEO

「Edo River」というキーワードが浮かんできたのは1990年代の初め頃。当時、ムーンライダーズの鈴木博文さんがやってるメトロトロン・レコードから「国際アバンギャルド会議」(「International Avant Garde Conference vol.3」)というオムニバスアルバムがリリースされて。その作品のために、直枝政太郎名義で現代音楽風のノイジーな曲を作ったんですよ。いろんな音楽性をぶちこんだ、マイルス・デイヴィスとかサン・ラを感じさせるインストゥルメンタルだったんだけど、それが自分にとってのランドスケープとしてすごく心地よくて。その曲を作っているタイミングで、たまたま目にしたのが「Edo River」と書いてある看板でした。もともと江戸川を見たら心が洗われるような感覚が不思議とあったし、これは自分にとってのキーワードだなと。それで、まずその曲に「Edo River」というタイトルを付けたんです。

そこから「気持ちよさ」みたいなものを念頭に置いて曲を作れないかな、という思いが出てきて。当時、ギターバンドとしての決まった形がちょっと嫌になっていたんですよ。ギターを弾くこと自体にあまり興味がなくなって、それよりもトラックメイキングに関心を持っていた。ヒップホップの12inchシングルの裏面に入っているインストをずっと聴いて、「こういう音を作りたい」と思っていたんです。Talkin' Loud周辺の動きも面白かったし、それ以外のアメリカのものも含め、90年代初頭は、ありとあらゆる12inchを買い漁っていて。そういう興味の流れがある中で、ある日譲り受けたのがRolandのS-50というサンプリングシンセ。それを使ってレコードからリズムを取り込んでループを作り、グルーヴに任せて曲を制作するようになりました。その中で呼吸をするように出てきた2コード、それが「Edo River」の元ですね。だから本当に何気なくできた曲なんですよ。メロディも何もなく、日常のスケッチをただラップするように歌っているだけですし。

Edo River / carnation

無意識に歌われた“自分との別れ”

そうそう。例えば「たまにはさかさまに世界をみてみよう」という歌詞は、自分の中の思い込みをなくして気持ちよさに身を委ねよう、という意味で。「そうすることで、これまでの生活がリセットされる」という予感があったんだと思います。「ゴメン ゴメン ゴメン ゴメン」という歌詞については、昔からよく「どういう意味なんですか?」と聞かれるけど、これも今までの自分との別れを意味していたのかな。語呂のよさだけで歌っていた部分もあるけど、やっぱり無意識下にあるものが曲になることはありますからね。生活の基盤を変えていく時期の“呼吸”が、知らず知らずのうちに言葉になっていたんだと思います。

本人曰く「おそらくこのあたり」という、「Edo River」MVのロケ地。川の向こう側の建物がMVに映り込んでいる。 [高画質で見る]

カッコいいものだけがすべてじゃない

──2017年リリースのアルバム「Suburban Baroque」にはストレートに「郊外」を意味する言葉が冠されていますし、「Edo River」に限らずカーネーションの音楽は“東京から少しはなれたところ”に住み続けてきた直枝さんの目線が重要な要素になっているように思えます。

──その結果できたのが「Edo River」であり「Suburban Baroque」であると。

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読者の反応

私にとって人生に大きな楔を打ち込まれたような「Edo River」をめぐるインタビュー。まだバブルの空気が濃厚に残っていた時代に、このモードはもう終わるんだよってはっきり宣言してくれた、その後の時代精神を象徴する大名曲です。フィッシュマンズに触れるより前の話。 https://t.co/WXzuBSjSTB

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