ショスタコーヴィチ 交響曲第15番
不協和音はきちんと演奏していると思いますが、あまり気持ち悪さはありません。 余計な表現がないので、スコアに書かれた音符がそのまま伝わってくる感じ です。余計なルバートもなく、曲によっては物足りない演奏になりそうですが、ショスタコーヴィチ交響曲第15番では、この方が面白く聴けます。また演奏から曲に対する共感が感じられ、わざとらしい表現は一切ありませんが、ショスタコーヴィチの言いたいことをストレートに一番良く伝えている演奏と感じます。また、 聴きどころのツボを全て押さえている のも凄いです。
現在、全集も廃盤で、高値売りになっているようですが、何万もするような出品は買わずに、MP3を買うことをお薦めします。リンクにも新品はありませんが、できるだけ適正価格の中古品があるページを選んでいます。CDなら全集を買う価値のある演奏です。
コンドラシン=ドレスデン・シュターツカペレ 演奏スタイルは同じだが、録音が良く色彩感がある指揮 キリル・コンドラシン 演奏 ドレスデン・シュターツカペレ
ゲルギエフ=マリインスキー劇場管弦楽団 ロシア的でリズミカル、スタンダードな名盤指揮 ヴァレリー・ゲルギエフ 演奏 マリインスキー劇場管弦楽団
ゲルギエフとマリインスキー劇場管弦楽団の録音です。 録音の音質は良く残響が適度 にあり、マリインスキー劇場管のロシア的な響きを良く捉えています。10年以上前ですが、管理人はこのコンビのコンサートに出かけ、このCDを買ってサインを貰ってきました。
第1楽章はテンポがムラヴィンスキーやコンドラシンに比べると少し遅めですが、 ゲルギエフらしくリズミカルでストレートに盛り上がります 。録音の良さが功を奏して、管楽器やパーカッションの響きを大切にしていて色彩感があります。不協和音もシャープさがあり、さほど不気味さは無く、 弦やパーカッションの鋭いリズムが心地よい です。
第2楽章は 金管のコラールの響きが程よく 、ムラヴィンスキーやコンドラシンらのロシアの先輩たちから引き継いだも要素も多いですが、爆演にならず落ち着きと丁寧さがあります。チェロの響きと管楽器の和音により、徐々に 奥ゆかしくも甘美さのある世界 が作られていきます。トロンボーンの葬送の主題もいい味を出しています。後半、 突然盛り上がる所は、かなり思い切りやっていて 、金管は咆哮し、弦も分厚い響きで非常にダイナミックです。第3楽章は速めのテンポでキビキビとしています。 粗さは少なく結構細かい所まで気を配っており 、トロンボーンのグリッサンドの繊細さ、上手さなど、クオリティの高さがあります。
第4楽章は冒頭のコラールは力強さを感じますが、その後は繊細です。各パートの響きが絡み合い、盛り上がっていきます。そして、静かにかつ確実にパッサカリアに入っていきます。それほど不気味な感じがしないのは、リズムとシャープさがあって、音楽が確実に前に向かっているからでしょうか。そして徐々に楽器が増え、 ストレートで迫力のある頂点 を迎えます。もう少し和声を響かせた方が世界観がでるかな、とも思いますが、ゲルギエフは意外と奥ゆかしい所がある気がします。 ラストのパーカッションは色彩的である種の美しさ がありますね。
音質も含めて考えると、ゲルギエフとマリインスキー劇場管の録音はロシア的で十分満足のいく演奏です。新しいスタンダードとなる名盤、と言っていいと思います。
ハイティンク=ロイヤル・コンセルトヘボウ管 半端ではない深み、円熟しきったハイティンクの芳醇な音楽指揮 ベルナルド・ハイティンク 演奏 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
ハイティンクとロイヤル・コンセルトヘボウの録音です。ライヴ録音で、響きの良いコンセルトヘボウでの録音です。 ハイティンクの円熟が感じられる超名演 です。
ハイティンクはショスタコーヴィチの全集を若いころに作っていますから、曲に対する理解度は深いです。ただ西側の指揮者なので、ロシアのオケのように思い切りスネヤやドラムを入れてきたりはしません。すると、この曲の不気味な所が目立ちやすいですが、円熟したハイティンクはそうはせず、 豊かな音響とまるで天上の響きのような深くて神秘的な響きを引き出しています 。西側の指揮者としては、パーカッションをキッチリ鳴らして、リズムを強調しています。
ムラヴィンスキー=レニングラード・フィル コンドラシンに近いが、ムラヴィンスキーの表現も聴ける名盤指揮 エフゲニー・ムラヴィンスキー 演奏 レニングラード・フィルハーモニー
ムラヴィンスキーは、コンドラシンほどストレートではありませんが、贅肉をそぎ落とした鋭い演奏で、曲の本質に切り込んでいきます。
ムラヴィンスキーは意外と個性的な表現を入れてきますし、テンポの変化もあります。第15番は初演指揮者ではないですし、ショスタコーヴィチ本人とディスカッションするタイミングも無かったでしょうから、ムラヴィンスキーの表現だと思います。他の曲は自らが初演した曲しか録音を残していないと思います。
インバル=ウィーン交響楽団 まじめに演奏するとこういう響きになる指揮 エリアフ・インバル 演奏 ウィーン交響楽団
1990年ごろ、全集はロシア勢が多かったのですが、その中でマーラーを的確な解釈で演奏できるインバルが何故かショスタコーヴィチとは縁が遠そうなウィーン交響楽団と作った全集です。
この全集は演奏、解釈のクオリティという意味で、ロシア勢の全集と全く違った物となっています。しかし、確かにインバルはスコアをしっかり読み込んで解析し、 12音技法や不協和音などもきっちり再現してみせています 。そしてロシア勢にありがちな、パーカッションを派手に鳴らすようなことはしていません。
逆に言うと、ショスタコーヴィチが仕込んだ不安や狂気が120%再現されているうえに、ショスタコファンが期待しているダイナミックな金管やパーカッションは無いのです。まるでメシアンの『世の終わりの四重奏曲』でも聴いている気分です。ロシア勢の演奏が、ダイナミックさというオブラードに包まれたものだとすると、それらを取り去って真摯に演奏すると、強烈な不安感のある演奏になるのですね。
とはいえ、ショスタコーヴィチ好きなら、やはり一度は聴いておくべき演奏です。 新しい発見のある演奏であることは間違いありません。
インバル=東京都交響楽団指揮 エリアフ・インバル 演奏 東京都交響楽団
インバルと東京都交響楽団の録音です。音質は非常によく、細かい所まで良く録音されています。インバルと都響のショスタコーヴィチは本当に名演です。都響は引き締まった響きで、 インバルはウィーン響との録音よりもストレート です。細部まで妥協することはありません。
第1楽章は中庸くらいのテンポですが、とてもリズミカルでシャープさがあり、楽しんで聴くことが出来ます。弦のテヌート気味の弾き方など工夫も見られますが、 都響は結構ロシアのオケのようにマッシヴ(筋肉質)な響き を持っています。管楽器やヴァイオリンのソロはとてもハイレヴェルです。終盤に向かって盛り上がり、絶妙なアンサンブルで楽しめます。
第2楽章は憂鬱なコラールで始まります。 チェロのソロは深みのある感情表現 で、技巧的にもレヴェルの高い演奏を聴かせてくれます。高音質で透明な空間にチェロのクオリティの高い演奏が響き渡ります。トロンボーンの葬送音楽もいい味を出しています。 ロングトーンで盛り上がりますが、音質が良く透明感が高く 、なかなか聴けない響きです。そして都響は力強く盛り上がります。金管もパワフルでトゥッティの響きも質が高いです。
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ザンデルリンク=ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団指揮 クルト・ザンデルリング 演奏 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
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