内視鏡の特殊光観察(IEE)について FUJIFILM編
FICE(flexible spectral imaging color enhancement, FUJI intelligent color enhancement)
FICEの原理FICE (flexible spectral imaging color enhancement, FUJI intelligent color enhancement, 【通称】 ファイス )は、日本語では「分光画像処理機能」や「FUJINON画像処理/診断支援機能」などと表されます。
FICEは内視鏡で得られた 白色光画像 (RBG画像)をFUCE画像処理エンジンにより 5nmごとの分光画像 に一度分解され 、この 分光画像から任意の波長成分の画像を” 3つ “選択して、RGB信号へ再構築する デジタル画像強調技術 です。
白色光画像を各波長(5nmごと)にバラした画像に分離して、この中から3枚を選択して強調画像の構築をする
組み合わせは実に 2700万種類 のFICE画像が作成可能です。
FICE処理原理:「Видеосистема Fujifilm EPX-4450HD」を日本語改変https://medmss.com/gibkaya-endoskopiya/videosistemy-istochniki-sveta/videosistema-fujifilm-epx-4450hd/
FICE画像例下図は 食道胃接合部の観察ですが、FICEにすることで炎症所見や血管が際立って観察される のが確認されます。
FICEでは、 血管やpit patternを強調、遠景像を明るくするといった特徴があります。 ただし、 毛細血管の描出能力という点では、FICEはNBIに比べて劣るとされています 。
食道胃接合部のFICE処理:FUJIFILM HPより抜粋https://www.fujifilm.co.jp/press/nrj1378.htmlFICE画像:Validation of Fujinon intelligent chromoendoscopy with high definition endoscopes in colonoscopyParra-Blanco A et al. World J Gastroenterol 2009; 15(42): 5266-5273
BLI(blue LASER imaging, blue light imaging)
BLIの略称についてBLI は” blue LASER imaging “または” blue light imaging “の略ですが、微妙な使い分けがあります。
FUJIFILMの光源には” レーザー(LASER) タイプ”と” LEDタイプ “がありますが、LASERREO(レザリオ)やいわゆる7000システムと呼ばれるLASERREO 7000の レーザー光のBLIが”blue LASER imaging” であり、6000システムやELUXEO(エルクセオ)7000のL ED光でのBLIでは”blue light imaging” となっています。
BLIの原理 BLIで利用される光成分- 410[nm] (410±10[nm]): 短波長狭帯域光成分 → 微細血管や粘膜表面構造の凹凸、深部血管などの高コントラスト描写を得るための光成分
- 450[nm] (450±10[nm]): 白色光成分 → 蛍光体を励起して、白色光証明として利用する光成分(要は明るくするための光)
BLIは短波長狭帯域光成分を増やすことで、 ヘモグロビンによる コントラストを高める ことができ、 微細血管の強調 をするための観察モード です。
NBIが 紫(415nm) と 緑(540nm) の2色の狭帯域光が使用されているので、血管構造の強調という観点からは原理は似ているのが分かりますね。
BLIの原理:FUJIFILM提供資料より抜粋編集 BLI画像例上が胃で、下が大腸ですが、共に BLIの方が血管構造が強調されているのが分かる と思います。
胃のBLI比較:FUJIFILM提供資料より抜粋編集 大腸のBLI比較:FUJIFILM提供資料より抜粋編集BLI bright
BLIとの比較BLI bright についてですが、”bright(明るい)”ということですから、通常の BLIよりも明るい ということです。
BLI brigttの光成分:FUJIFILM提供資料より抜粋編集 BLI bright画像例遠景だとBLI brightの方が通常BLIよりも明るいのが分かる と思います。
BLI bright、通常BLI、NBIの比較:Kazuhiro Kaneko et al, Effect of novel bright image enhanced endoscopy using blue laser imaging (BLI). Endoscopy International Open, 24 Oct 2014, 2(4):E212-9
LCI(linked color imaging)
LCIとは最後に LCI (linked color imaging)について解説です。
LCIを適切な日本語で表現することは困難なのですが、” 色彩/色調強調 “を施す観察モードです。
具体的には、 赤色やオレンジ色とそれ以外の色が分離するように画像処理が行われ 、 赤色領域はより赤く、白いっぽい領域はより白くなるように描写されます 。
簡単に言いますと、 “ 炎症 “している部分を赤色やオレンジ色に強調する観察モードです 。
LCIの原理LCIで使用される光は、実はBLIと同じ2色の光、410[nm]と450[nm]の光が使用されている のですが、 LCIでは白色光成分の450[nm]が強く設定されており 、励起される蛍光体による光を増強することで、明るい視野を確保しているのです。
つまりは 正常粘膜を白色やピンク色 に、 炎症部分を赤に 強調する わけです。
LCIの光成分:FUJIFILM提供資料より抜粋編集 LCIの色彩/色相処理:FUJIFILM提供資料より抜粋編集 LCI画像例 早期胃癌のWLIとLCI画像比較:FUJIFILM提供資料より抜粋「八木信明先生, ELUXEO 7000システムの使用経験」内視鏡画像に見慣れていないと分かりにくいかもしれませんが、 胃と大腸ともにLCIではWLIより腫瘍部分が赤色・・・どちらかと言えばオレンジ調に強調されており 、 BLIでは血管構造が強調されている のが確認できるかと思います。
胃のWLI, LCI, BLI画像比較:FUJIFILM提供資料より抜粋 大腸のWLI, LCI, BLI画像比較:FUJIFILM提供資料より抜粋WLIとLCIおよびBLIとの比較文献
BLI brightの早期胃癌発見率向上について「Blue laser imaging-bright improves the real-time detection rate of early gastric cancer: a randomized controlled study」, Osamu Dohi MD, PhD et. al, Gastrointestinal Endoscopy, CLINICAL ENDOSCOPY, VOLUME 89, ISSUE 1, p47-57, JANUARY 2019
- WLI先行群(WLI→BLI bright観察) ・・・ 298名
- BLI bright先行群(BLI bright→WLI観察) ・・・ 298名
結果は BLI bright先行群の方がWLI先行群より胃癌発見率が高く、見落とし率が有意に低かった という結果になりました。
胃癌発見率でいうと93.1% vs 50%(P=0.001)という差があったのです。
- WLI先行群 胃癌24病変中12病変がWLIで発見された→発見率:4.0%, 発見割合:50%, 見落とし率50%
- BLI bright先行群 胃癌29病変中27病変がBLI brightで発見された→発見率:9.1%, 発見割合: 93.1% , 見落とし率 6.9%
「レーザー光源を用いた画像強調内視鏡による早期胃癌診断」土肥 統, 八木 信明, 内藤 裕二, 伊藤 義人, 日本消化器内視鏡学会雑誌Vol. 61(7), Jul. 2019
BLI vs NBI元々提唱されている”NBIを用いた早期胃癌の診断アルゴリズムであるVessel plus surface classification system(VSCS)がBLIおよびBLI-brightで応用可能かどうかをNBIと比較検討した”と記載されているとうですが、BLI vs NBIを比較検討されたものです。
早期胃癌ESD症例104病変を対象として、同一病変にBLI併用拡大観察(M-BLI)、BLI-bright併用拡大観察(M-BLI-bright)、NBI拡大観察(M-NBI)を実施し、VSCSにおけるdemarcation line(DL)、microvascular pattern(MVP)、microsurface pattern(MSP)を評価されています。
- DL ・・・ M-BLI 96.1%, M-BLI-bright 98.1%, M-NBI 98.1%
- irregular MVP ・・・ M-BLI 95.1%, M-BLI-bright 95.1%, M-NBI 96.2%
- irregular MSP ・・・ M-BLI 97.1%, M-BLI-bright 90.4%, M-NBI 78.8%
結果は上記の通りなのですが、 BLIおよびBLI brightがNBIよりも” 粘膜微細構造の検出能が高い “ことが示されました (p<0.001)。
demarcation lineとirregular MVPの診断能としてはBLIとNBIは同程度ということになっています。
BLI vs WLI結果は下記の通りで、 感度、特異度、正診率それぞれ有意にM-BLIの診断能が高いという結果 となりました(p<0.001,p=0.021,p<0.001)。
WLI ・・・ 感度46.9%、特異度80.0%、正診率71.7%M-BLI with VSCS ・・・ 感度93.8%、特異度91.6%、正診率92.1%
BLI bright vs WBI LCIの有用性内視鏡における Helicobacter pylori(H. pylori) の感染状況を診断すること、今後の胃癌の発生リスクを評価することが重要となっており、胃癌リスクが高いと報告されている5項目が萎縮、腸上皮化生、皺襞腫大、鳥肌、びまん性発赤とされてます。
H. pylori感染の診断精度- LCI ・・・ 感度93.3%、特異度78.3%
- WLI ・・・ 感度81.7%、特異度66.7%
さいごに
内視鏡の特殊光観察(IEE)について OLYMPUS編 本記事では「内視鏡の特殊光観察」について説明したいと思います。 今回はOLYMPUSのNBI、TXiなどといった観察モードについてそれぞれ詳しく説明していきます。 特殊光観…
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- 内視鏡と生検・ピロリ菌検査について【上部消化管内視鏡検査③】
CEじゃーなる おすすめ書籍紹介
そのタイトル通り、内視鏡に関わるスタッフのための参考書です。 システムの話から手技の話、洗浄の内容まで網羅されています。 内視鏡技師のテキストといって差し支えないでしょう。 内視鏡デバイスの解説を写真と図表でわかりやすく解説されています。 本書は2017年発売のため、新しいデバイスやシステムは未掲載であるため、私もデバイス解説の記事を考えています。この本は内視鏡医のみならず、内視鏡室で業務をされるCEやNsにもオススメな1冊です。 JENT分類など様々な内容が詰まっています。 クイズ形式で実例提示もされており非常に理解しやすい内容となっております。
内視鏡業務では介助者として入りますが、どういう病変なのか、過形成?、adenoma?など理解してやるかどうかで楽しさが変わります。 「CEさん、目が肥えてるね」って言われるのはやっぱ嬉しい。また実力をつけ職場の中で認めてもらうには資格取得が一番効率がいいでしょう。「消化器内視鏡技師」習得には「過去問題集」を繰り返し解くことをお勧めしております。
第37回(2018年)~第42回(2023年)の6年分の問題解説、付録として第43回(2024年)の問題と解答が記載されています。この記事を書いた人
職歴 現大学病院勤務 取得資格 臨床工学技士(CE)、ITE 心血管インターベンション技師、ME1種検定試験