KR250は前後(タンデム)に気筒を繋ぐカワサキしか発想しない特異な2スト・レプリカ!【このバイクに注目】
しかしGPマシンと違って前後連結ではエンジンが前後に長く、ライバルの2スト250レプリカの鋭く軽快な運動性の妨げになる。 そこで開発陣はタンデムツインのエンジン前後長を縮める狙いも兼ね、シリンダー面を33°前傾して真ん中にあるクラッチのハウジング・ギヤでふたつの気筒を連結するレイアウトを採用。 GPマシンでは360°位相でお互いが逆回転する同爆設定で、強い脈動パルスで路面を掴むように蹴るコーナーからの立ち上がり加速最優先のマシンだった。 しかし性能本意のレプリカといえど、市販車の快適さは担保しないわけにはゆかず、ギヤ連結したクランク位相は180°で1次振動は物理的に打ち消される原理。 キャブレターは15°傾斜してマウント、当時の最新フラットバルブをさらに15°傾斜させているため、吸気のダウンドラフト化も得る独自の構成とした。 さらにロータリーバルブ吸気の円盤ホルダーには、メインの吸気ポート両側に高回転時のみ開くリードバルブを介したポートを設けたR.R.I.S.と、シンプルな2ストロークにあってメカニカルな構成部分の多さが目立つ、独創のエンジンとなっていた。 パフォーマンスは、ボア×ストロークが56mm×50.6mmの249cc、45ps/10,000rpm、3.7kgm/8,000rpmで、アルミ3ピースフレームなど乾燥重量133kgの超軽量と、ホイールベース1,360mmのコンパクトさ、そして何より異彩を放つほどのスリムさを誇った。
KR250はデビュー時から足回りもビッグマシン並みの贅沢な装備で、フロントフォークのノーズダイブを押えるAVDS減衰機構から、リヤサスはエンジン形状やフレームレイアウトの関係でエンジン下へベルクランクのリンクを介したユニトラックを採用、サスペンションの調整を外部からダイアルでリモートできる豪華仕様としていた。 またカウルの前部両側にボルト・マウントされているカバーは、ハンドルをクリップオンのレーシングマシン仕様とする場合に備えた仕様。ほぼ外すライダーはいなかったが、他メーカーでは考えもつかないカワサキらしいフィロソフィといえる。 かくして2ストロークマシンとしては、メカニズムも凝った独創性に満ちたマシンだったが、実際のレースシーンで見られなかったこともあり人気はいまひとつ。 その後にレースへ参戦するプロジェクトとして、並列ツインのKR-1や逆VツインのワークスマシンX-09開発へと進化、独創のタンデムツインは短命に終わってしまった。
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