電池漫談(4)リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP、LiFeバッテリー)の今後の動向
世界的なEV需要の高まりや希少金属の地金相場の上昇により、改めて見直しされてきているリン酸鉄リチウムイオン電池について、電池業界に10年以上従事する筆者(うっかり八兵衛)がまとめてみました。 リン酸鉄リチウムイオン電池の歴史は意外にも新しく、日本ではSONYが商品化したことで良く知られています。また、ELLY POWER社の積層缶タイプのリチウムイオン電池でも2010年から製造されており、住友大阪セメント社のリン酸鉄リチウムが使われているようです。
リン酸鉄リチウムとは そもそもリン酸鉄リチウムというのは、リチウムイオン電池の正極活物質のことを指しています。化学式は、LiPFeO 4 で、構成元素はリチウム、リン、鉄と酸素で安価で入手しやすいものばかりです。
リン酸鉄リチウムイオン電池の基本特性 リン酸鉄リチウムイオン電池とその特性について下記の表にまとめました。
従来のリン酸鉄リチウムイオン電池先端開発されているリン酸鉄リチウムイオン電池備考平均電圧3.2V3.2V三元系(3.6~3.7V)より低い仕様電圧範囲2.5V~3.6V程度2.5V~3.7V程度?三元系は2.7V~4.2(4.4V)サイクル寿命3,000~5,000サイクル 初期容量の80%以上3,000~5000サイクル 初期容量の80%以上三元系よりサイクル寿命良い500~2,000サイクル 初期容量の80%以上エネルギー密度140~170Wh/kg200~210Wh/kg三元系は200~310Wh/kg低温特性充電・放電ともに性能低い不明設計による。高エネルギー密度ほど低温特性は低い価格非常に安い(希少金属を含まない)非常に安い(希少金属を含まない)2021年と比べて15~20%の値上げに踏み切る。用途電動工具、家庭用蓄電池、ESS、ポータブル電源、電気自動車電気自動車電気自動車、ESS、ポータブル電源、モバイルバッテリー、電動アシスト自転車、小型モバイル機器安全性セルの安全性は非常に優れている 高エネルギー密度ほど安全性に懸念がある。 リン酸鉄リチウムイオン電池の基本特性などリン酸鉄リチウムイオン電池の魅力とは 1.まずは何といっても低コストであること。 正極活物質に希少金属を使っておらず、地金相場の影響が少ないのが大きいですね。水酸化リチウムと炭酸リチウムの価格変動分の影響のみでしょうか。
EV用バッテリーにリン酸鉄リチウムイオン電池を採用見込みのある自動車会社(太字がLFP供給) ・テスラ社(Panasonic、LG、CATL) ・フォルクスワーゲン社(LG、Samsung、CATL) ・フォード(BYD、SKイノベーション)