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木造で挑む世界最大スーパーセーリングヨット

スーパーセーリングヨットの建造は、2017年頃にピークを迎え、”Sailing Yacht A” や ”Maltese Falcon” などが次々とローンチされました。これらのスーパーセーリングヨット建造の背景には、化石燃料の使用による環境問題と、それに伴う船舶に対しての規制や罰則の強化により、新たな船舶の推進動力源の開発競争に対する投資活動が裏側に見え隠れするわけです。そこで注目されたのが再生可能エネルギーである風の利用、つまり大型商船に適用できる新たなセーリングリグとセーリングの専門知識や技術を要さずセイルコントロールができる自動化システムの開発でした。”Maltese Falcon” は、その課題に対して、1人のスキッパーで88m(256ft)のスーパーヨットが操船可能なセーリングシステム “Dyna-Rig” を実用化し、既に販売が開始されています。しかし、このような新たなセーリングシステム開発競争とは一線を画した別の視点での「グリーン」スーパーセーリングヨットとして建造が進んでいるヨットがあります。

それが「木造で挑む世界最大のスーパーセーリングヨット」”Dream Symphony” です。 今回は、未だローンチされていないヨットではあるのですが、ご紹介しておきたいと思います。

  • 「グリーン」スーパーセーリングヨット “Dream Symphony”
  • ヨットを造る前に造船所を建設する
  • ドリームシンフォニーの仕様
  • バイオマス資源を利用した木造スーパーヨット
  • 最後に… ローンチは2023~2024年の予定

「グリーン」スーパーセーリングヨット “Dream Symphony”

ドリームシンフォニー”Dream Symphony”の建造計画が決定したのは2011年のことで、当時世界最大と言われた”EOS”の93m(304.1ft)を上回る141m(463ft)で、世界最大となる予定でした。しかし、2015年に”Sailing yacht A” が143m(473ft)で先に進水したことで、その出ばなをくじかれたような形になってしまいました。 しかし、ドリームシンフォニーには、純粋なセーリングスーパーヨットとして計画されており、更に船の造船過程での環境負荷を低減する対応策(グリーン認証)として、構造材を金属やFRPなどを使用するところを「木」で大型船を造るという、未だかつて誰も成し遂げたことがない史上最大の木造帆船プロジェクトになっています。

ヨットを造る前に造船所を建設する

デザイナー兼起業家のヴァレリー・ステパネンコ”Valeriy Stepanenko”は、ラミネートウッドを主な材料とした、エキゾチックで美しい大型豪華帆船を建造することをコンセプトとした、ドリームシップビクトリー”Dream Ship Victory Limited”を設立し、スーパーヨット造船の場所としてトルコを選びました。トルコは伝統的なスタイルの帆船を建造してきた伝統のある地域で、この歴史的な造船地区にいる職人を利用するために、トルコのボズブルン”Bozburun”にドックヤード”Dockyard”と呼ばれる造船所を設立し、ここでスーパーヨットの建造を行うことになったわけです。

ドリームシンフォニーの仕様

ドリームシンフォニーは、全長141メートル、全幅18m、ドラフト8m、マストトップまでの高さは70m、総トン数5220t、セイルエリアは5080㎡、4マスト・ステイスル・スクーナーです。 最大速度は、機走で19.5ノット、セーリングでは27~30ノットを想定しているそうです。 メインエンジンは、2機の電動モーターで、4台のディーゼルメインジェネレーター(5000kw)の他に、ハウス用のジェネレーターが2台(1000kw)、緊急用に更に1台(500kw)搭載されるとあります。

バイオマス資源を利用した木造スーパーヨット

最後に… ローンチは2023~2024年の予定

ドリームシンフォニーのローンチ予定は、当初2016年の予定でした。しかし、2020年現在でも、その姿を現していません。遅れの理由は、木造で史上最大という挑戦が意外に苦戦しているのではないかと考えられています。また、このプロジェクトの計画が始まってから、スーパーヨットの技術は大きく変化しています。現段階で紹介されているものは、計画確定段階でのものなだけでに10年近く経過しています。おそらく実際にローンチされる段階では、全長が”Sailing yacht A” よりも長くなり、名実共にセイルを持つヨットの中で世界最大にしてくる可能性は非常に大きいのではないかと思います。たった2メートルしか違わないのですから、バウスプリットを追加したり、後方のスイミングステージを延長するなどは容易にできそうだからです。

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