【1980年代の16インチの真実】謳い文句はWGPマシン譲りの鋭いリーン。しかし、真の理由は軽快さを求めた小径化ではなかった
レプリカブームの呪縛だった「GPマシンと同じ!」 300km/hが近づき、前輪へ意識が向いたGPマシン
そんな折に、GPマシンにセンセーショナルな真新しいテクノロジーが実装された。16インチと小径化された前輪だ。 トップスピードがいよいよ300km/hの領域へ達しようとしていたのもあり、いかに強力なストッピングパワーを発揮できるかは益々重要になってきた。 それには強力な制動力にタイヤがスリップしないよう、トレッドの接地面をワイド化するのは当然の流れ。 さらにワイドになっていく後輪に比べ、扱いやすさ優先でナロウなままの前輪に、もっとグリップ力を与えられないか、といったチャレンジがタイヤメーカーと共に開発されたのだ。
その小径化された前輪16インチ、確かにホイールサイズが当時の標準18インチを見慣れた目には目立って小さく見える。 王者ケニー・ロバーツのダートレースで鍛えた高速のまま大きく旋回していくのに対抗して、クイックに小さく曲がって鋭くダッシュするといった戦略イメージも加わって、新しい走りは16インチ!とその斬新さがファンの間を駆け巡った。 モンスターマシン(500ccGPマシンは性能的にビッグマシン扱い)でクイックに曲がるために、リーンの動きに邪魔な前輪のジャイロ(地球ゴマのような慣性モーメント)を抑える効果で16インチが採用された、一般的にはそう信じられていたのだ。
実際には同じタイヤ外径でワイド化すると、必然でホイールが小径化していた
しかし実は前輪16インチ、リーンの鋭さや軽快性を狙ったものではなかった。 狙いはふたつ、ハードブレーキングで路面をガッチリ掴むためにトレッド幅をワイドに、そしてもうひとつはより深いバンク角で路面との接地面が増えるよう、ショルダーと呼ばれるトレッドの縁をさらに延長することだった。 説明イラストをご覧になればおわかりのように、同じ外径のタイヤでトレッドを幅広く、そして旋回グリップを高めるためショルダー部分を延長すると、サイドウォール部分からホイールに嵌めるビード部分は、たとえば同じ18インチのホイール内径よりかなり内側になってしまい、当時だと内径16インチに収まる仕様となったのだ。
前輪にそこまでのボリュームは要らない……その結果の17インチ
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