河村勇輝のNBA挑戦、“壁”はどこにある?…Gリーグで輝いても出場機会が限られる理由を海外メディアが分析
海外メディア『BasketNews』は、パフォーマンスとそれによる注目度とは裏腹に出場機会に恵まれない河村を特集し、その理由を分析。その最大の要因として、「守備で狙われやすい現代バスケの構造」に言及している。 現代のNBAは、ピック&ロールやスイッチでミスマッチを作り、サイズ差やスキルギャップを徹底的に突く仕組みとなっている。小柄なガードがコートにいるだけで、相手はそこを起点に攻撃を組み立てやすく、河村のように視野と創造性でオフェンスを高次元で指揮できる選手でも、守備側で弱点になれば起用は難しくなる。 河村の身長は、NBA・Gリーグの公式登録で170センチ。これは今シーズンのNBAで最も低く、2位タイのダラス・マーベリックスのライアン・ネムハードよりも10センチ低い。一例として、リーグを代表するポイントガードのケイド・カニングハムは198センチ、チームメートのジョシュ・ギディーは201センチあり、NBAを席巻するガードは大型化の一途を辿っている。『BasketNews』は、現在のNBAのポイントガードの多くが190センチ以上であると指摘。控えガードであっても、プレーメイキングと同等にサイズと守備の万能性が評価される傾向にあるとしている。
また、ブルズのロスター環境も、追い風になっているとは言い難い。先発ガードのギディーの次点には、元ドラフト8位指名で実績豊富なコリン・セクストン、ポートランド・トレイルブレイザーズの元エースガードであるアンファニー・サイモンズ、グレッグ・ポポヴィッチに教えを請うたトレ・ジョーンズ、名門ケンタッキー大学出身の若手ロブ・ディリングハムが控えており、層の厚さはリーグでも指折り。さらに、アヨ・ドスンム、ジェイデン・アイビーなど、バックコートもタレントが豊富であり、河村がコートに立つためには、こうした才能たちに割って入る必要があるのだ。 しかし、ノユス・スタンケヴィチュス記者の河村に対する評価は高い。同記者は、日本の小兵を「ドライブで守備を収縮させ、ギャップに通すパスで味方の得点を量産するタイプの司令塔」と紹介。また、Gリーグでは最も生産性の高い1人であり、エリートレベルのフロアジェネラル(=コート上の指揮官)とも述べており、スキルセットもNBA級だと賛辞を送っている。 だが、これは河村に生き残る道がないという意味ではない。オフェンス時のゲームコントロールスキルは、現在のブルズのロスターでもトップを争うレベルにある。肝心なのはデフェンス面のさらなるステップアップで、持ち前のフットワークとハンドチェックにプラスして、ボールスクリーンの対処やポジショニングにさらなる磨きがかかり、プラスマイナスでも“身長差を補える”という実績が作れれば、コーチ陣の説得材料になるだろう。 河村は、そうした小さな成長と工夫を積み重ねており、アレックス・カルーソやゲイリー・ペイトン二世らが取り入れているオールコートディフェンスは、エースキラーの意味合いがあると同時に、ハーフコートで不利になる時間を最小限に縮める工夫でもある。また、守備の課題は個人ではなくチームで解決するものであり、スクリーンの無効化を試みるアイスディフェンスや、スクリーン前に事前スイッチを取り入れる余地もあるだろう。さらに、河村にはテンポメーカーという差別化された役割もあるため、オフェンスで試合の流れを変えるようなアクションも存在価値の証明となるだろう。 河村の存在は、大型化した現代バスケにおいて、小さな選手がどのように役割を見つけていくかという“バスケットボール進化論”のテーマでもある。 Gリーグで“数字の証明”を終えつつある今、次に問われるのは、その支配力がNBAの守備的ハンデを相殺し得るか。河村の次なる挑戦はすでに始まっているのだ。 文=Meiji
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