Canon EOS-1D Cをゲット! 前編 〜本格化する DSMCの世界
そんな同社のRED ONEやEPICが、世界初のDSMCカメラに当たるとされている。しかし、シネ機能はともかくとして、スチル機能の方は未だファームウェア上も未実装な部分が多く、また、フル装備15キロもあるRED ONEはもちろん、EPICやその下位機種のScarlet Xですらも本体2.2キロ、実用装備重量5キロ弱と、大抵の人が持ち歩いてファインダーを構えるには重すぎる。今後のファームアップでスチル機能が揃ったとしても、スチルカメラとしてどこまで使えるのかは未知数である。重量や運用方法からしても中判カメラが対抗だという意識があるのかも知れないが、中判にしてはセンサーも圧倒的に小さく(なにしろS35だから、ライカ判フルサイズを縦にした横幅しかない)画素数も少ないため、当然だが現状では画質的には中判にはまったく対抗し得ない。
DSMC系カメラの中でもかつて注目されたのが、スチルカメラメーカーCanonが2008年のPhotokinaに出展したEOS 5D Mark II(5D2)だ。このカメラは単なるスチルカメラとして発売されたのだが、おまけ機能として通信社向けに簡易なビデオ機能を装備しており、欧州の写真家兼ビデオグラファーたちに注目され、瞬間的に話題をさらった。本来5D2のビデオ機能はおまけであったところから、コストのかかる別設計のビデオ回路を積むことなく、安直にスチルセンサーデータをそのままCFカードに垂れ流して収録する形となっていた。これは、5D2では毎秒30枚の連続した写真を撮影している状態(その後ファームアップで24Pに対応)となり、結果的に、この5D2のおまけ機能こそが、DSMCの理想に近いカメラであったのだ(こういう一眼レフ系のHD動画カメラをHDSLRと呼ぶ)。
しかし、5D2は残念ながらスチルカメラとしての運用しか考えられておらず、強烈なモアレや動体歪み、フルサイズセンサー特有のボケ過ぎの背景など、シネカメラとしては多くの問題を抱えていた。こうした問題を解決するためにCanonはCinema EOSシリーズを立ち上げ、Cinema EOS C300等を発売した。これは極めて優れたカメラ群ではあったがスチル写真を撮ることのできない完全なシネマ専用機であり、残念ながらマルチロール機DSMCの理想からは離れてしまっていた。素晴らしい機能に賞賛の声が上がる一方、5D2の後継DSMC機を期待していたクリエイターたちからは落胆の声が聞こえたのはやむを得ないことであっただろう。その後5D MarkⅢも発売されたが、これも動画機能は5D2と大差なく、あくまでもスチルカメラとしての発売であった。
また、筆者はその形状とスチル向けのフォトRAW収録という性質からBlackmagic Cinema Cameraにも同様のDSMC機としての機能を期待したのであるが、やはり2.5Kという収録サイズの小ささと、フルサイズ比2.4倍という画角倍率ではせっかくのRAW収録ながらもスチル機能は諦めざるを得ず、シネ用途としてもフォトRAW特有のその収録データの凄まじい重さとあいまって、結局、実は今は全く使っていない。上手く撮れれば超絶美麗な映像が得られる優れたカメラではあるのだが、初期ロット特有の数多くの問題を埋めるためのファームアップも大変ペースが遅く、何よりも発売ペースが全く順調ではない。色々ともったいないカメラだ。さて、そんな中登場したのが、Canon Cinema EOS-1D Cだ。
早速Canon Cinema EOS-1D Cをレビューしてみたい。…つづく