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アマチュア衛星を活用した無線通信の楽しみ方:実践ガイド

アマチュア衛星とは、その名の通り、アマチュア無線家のために打ち上げられた人工衛星のことです。これらの衛星は、政府機関や商業的な衛星企業が運用するものとは異なり、個人的な趣味の団体や大学の研究室などが主体となって製作・運用しています 。アマチュア衛星の歴史は古く、宇宙開発の黎明期である1961年に打ち上げられたOSCAR-1(オスカー1号)がその始まりです 。以来、現在までに数多くのアマチュア衛星が打ち上げられてきました。「OSCAR」という名称は「Orbiting Satellite Carrying Amateur Radio(アマチュア無線を搭載した周回衛星)」の頭文字を取ったもので、アマチュア衛星の象徴的な名前として受け継がれています 。

これらの衛星は、搭載する中継器の種類や運用目的によって、FMリピータ衛星、リニアトランスポンダ衛星、デジタル通信衛星などに分類されます。軌道は、地球の比較的低い高度(数百kmから千数百km)を周回する低軌道衛星(LEO: Low Earth Orbit)が主で、これらの衛星は概ね90分から120分程度で地球を一周します 。

アマチュア衛星の世界は非常に多様性に富んでおり、長い歴史を持っています。OSCAR-1の打ち上げから半世紀以上が経過した現在でも、AMSAT(アムサット:Radio Amateur Satellite Corporation)やJAMSAT(ジャムサット:日本アマチュア衛星通信協会)といった国際的な組織から、各国の大学の研究プロジェクト(例えば、日本のNEXUS衛星プロジェクト )に至るまで、様々な団体が衛星の開発と運用に携わっています 。これにより、1970年代に打ち上げられたAO-7のような古い衛星が部分的にでも運用を続けている一方で 、最新技術を投入したCubeSat(キューブサット)と呼ばれる超小型衛星も次々と登場しています。これは、アマチュア衛星が固定的なリソースではなく、常に進化し続けるダイナミックなエコシステムであることを意味しており、ユーザーは多様なレベルでこの趣味に関わり続けることができます。

主な通信モードの概要

    FM (Frequency Modulation): 主に音声通信に用いられ、比較的簡単な設備で運用を開始できます。FMモードは音質が良く、周波数のズレにもある程度強いため、衛星通信の入門に適しているとされています 。現在市販されている多くのハンディ型トランシーバーでも対応可能です。

衛星通信に必要なアマチュア無線資格と利用可能な周波数帯 衛星通信特有の現象:ドップラー効果とその対策の重要性

方法1:FM衛星による手軽な音声交信

FM衛星(FMリピータ衛星)の仕組みと特徴 必要な機材
  • トランシーバー (Transceiver):FM衛星との交信には、144MHz帯と430MHz帯の送受信が可能で、かつ送受信周波数を別々に設定できるスプリット運用機能を持つFMトランシーバーが必要です。多くのFM衛星はアップリンクとダウンリンクで異なるバンド(例えば145MHz帯アップリンク/435MHz帯ダウンリンク、またはその逆)を使用するため、このクロスバンド運用への対応が鍵となります。ハンディ機でも十分に楽しむことができ、実際に多くの実績があります 。具体的な機種としては、アルインコ社のDJ-G7、ケンウッド社のTH-D74、八重洲無線社のFT1XDなどが挙げられますが 、これらと同等の機能を持つ他の機種でも問題ありません。ただし、一部のトランシーバーでは、片方のバンドで送信中にもう片方のバンドの受信がミュート(消音)されてしまう場合があるため注意が必要です。理想的には、送信中もダウンリンク信号を受信できる(フルデュープレックスに近い)機能を持つか、あるいは迅速に送受信を切り替えられる機種が望ましいです(例:DJ-F7はUHF送信中もVHF受信が可能とされています )。
  • アンテナ (Antenna):ハンディ機に標準で付属しているホイップアンテナでも、条件が良ければ衛星からの信号を受信することは可能です。しかし、より安定した交信を望むのであれば、ある程度の利得(ゲイン)を持つアンテナの使用が強く推奨されます 。例えば、第一電波工業社のSRH770S(全長約70cmのホイップアンテナ)などが実績のある選択肢として挙げられます 。 さらに本格的に楽しむためには、手持ちで扱える小型の八木アンテナ(例:2エレメントから5エレメント程度)が非常に有効です。八木アンテナは指向性があるため、衛星の方向に正確に向けることで、信号強度を格段に向上させることができます 。段ボールとアルミホイルでコーナーリフレクタアンテナを自作するなど、アンテナの自作に挑戦するのもアマチュア無線の楽しみの一つです 。
  • その他アクセサリー (Other Accessories):ハンディ機でFM衛星を運用する場合、スピーカーマイクはほぼ必須のアイテムと言えるでしょう。衛星を追尾しながらアンテナを最適な方向へ向け、同時に送信操作(PTT操作)を行うためには、本体から独立したマイクとスピーカーが非常に役立ちます 。ヘッドセットやイヤホンマイクも使用可能ですが、機種によっては大きな音を出すと音割れしやすいものもあるため、選択には注意が必要です。 運用準備と実践
  • 衛星の軌道予測と通過情報の確認: アマチュア衛星は地球の周りを常に移動しているため、「いつ、どの方角に、どのくらいの高さで見えるのか」を事前に把握することが不可欠です。これには、専用の軌道計算ソフトウェアやウェブサイト、スマートフォンアプリを利用します(詳細は後述の「7. 衛星運用のための情報収集」を参照)。
  • 周波数設定とドップラー効果の簡易補正: 使用するFM衛星のアップリンク周波数、ダウンリンク周波数、そして必要であればCTCSSトーンを無線機に正確に設定します。ドップラー効果により、衛星が接近してくる際はダウンリンク周波数が公称値よりも少し高めに、遠ざかる際は少し低めに聞こえます。FMモードの場合、この変化は比較的緩やかですが、受信機の周波数を公称の中心周波数から±5kHz~10kHz程度の範囲でゆっくりと変化させながら、最も強く明瞭に聞こえるポイントを探すのがコツです 。送信周波数は中心周波数に固定するか、受信周波数の変化に合わせて微調整することもあります。多くの無線機には複数のVFO(可変周波数発振器)やメモリーチャンネルがあるため、予想される周波数変化に合わせて事前にいくつかの周波数を登録しておくと、実際の運用時にスムーズに対応できます。
  • アンテナの向け方と交信のコツ: FM衛星の運用は、単に無線機を設定して待つだけではありません。衛星の見える方角(方位角・仰角)に合わせてアンテナを向け、パス中も衛星の動きを追ってアンテナの方向を調整し続ける、アクティブでダイナミックな作業です。ハンディ機の場合、本体ごとアンテナをゆっくりと上下左右に動かし、受信信号が最も強くなる方向を探します 。時にはアンテナを少し下向きにした方が良好な結果が得られることもあるなど 、偏波面の変化なども考慮しながら試行錯誤することが成功への近道です。 衛星が地平線から現れて再び沈むまでの可視時間(パス)は、通常10分から長くても15分程度と短いため 、手際の良い運用が求められます。 自分の送信電波が衛星に届いているか(つまり、自分の声が衛星を経由して地上に返ってくるか)を確認しながら呼び出しを行う「セルフスポット」が理想的ですが、ハンディ機1台での運用では、自分のダウンリンク信号を同時に聞くことは難しい場合が多いです 。その場合は、相手局からの応答を待つことになります。 特に週末など利用者が多い時間帯は混信も予想されるため、比較的空いている早朝や深夜を狙う、あるいは仰角が十分に高い(天頂近くを通過する)パスを選ぶなどの工夫も有効です 。 呼び出しは簡潔に、「CQサテライト、こちらは<ご自身のコールサイン>です」のように行います。国際宇宙ステーション(ISS)など、特定の衛星を呼び出す場合は「CQ ISS、こちらは…」とすることもあります。 国際アマチュア無線連合(IARU)が推奨する運用ガイドラインにもあるように、送信は短時間(例えば20秒以内)にとどめ、他の局が応答したり呼び出したりする機会を確保するために、送信と送信の間には適切な間隔を空けるなど、譲り合いの精神で運用することが大切です 。
主要なFM衛星リスト 衛星名 (愛称/型式名) コールサイン アップリンク周波数 (MHz) アップリンク CTCSS (Hz) ダウンリンク周波数 (MHz) 運用状況/備考 AO-91 (RadFxSat / Fox-1B) AO-91 435.250 67.0 145.960 バッテリー状態により、衛星が地球の影に入っている(日食)間のアクセスは推奨されない 。 SO-50 (SaudiSat-1C) SO-50 145.850 67.0 436.795 運用前に74.4HzのCTCSSトーンを2秒間送信して10分タイマーを起動する必要あり 。 ISS (国際宇宙ステーション) ARISS (NA1SS) 145.990 67.0 437.800 音声レピータの運用は不定期。ARISSのウェブサイトで運用状況を確認 。APRSデジピータは別途運用。 AO-123 (ASRTU-1) AO-123 145.850 67.0 435.400 運用中 。 CAS-3H (LilacSat-2) CAS-3H 144.350 なし 437.200 FMトランスポンダの運用は不定期。非運用時は同周波数でテレメトリビーコン送信 。 IO-86 (LAPAN-A2) IO-86 145.880 88.5 435.880 赤道傾斜角が小さいため、主に低緯度地域で利用可能。運用スケジュールはX (旧Twitter) で告知されることがある 。 PO-101 (Diwata-2) PO-101 437.500 141.3 145.900 運用終了が近い可能性あり。スケジュール運用。X (旧Twitter) で告知されることがある 。 SO-124 (HADES-R) SO-124 145.925 なし 436.885 運用中 。 SO-125 (HADES-ICM) SO-125 145.875 なし 436.666 運用中 。

方法2:リニアトランスポンダ衛星によるSSB/CW交信

リニアトランスポンダの仕組みと特徴

リニアトランスポンダは、FM衛星が単一のFMチャンネルを中継するのとは異なり、ある一定の周波数帯域幅(パスバンドと呼ばれます)内に入力された複数の信号全体を、そのままの形で別の周波数帯に変換して再送信する中継器です 。これにより、そのパスバンド内であれば、複数のアマチュア無線局が同時にSSB(単側波帯)やCW(電信)といったモードで交信することが可能になります 。まさに「n対nの通信」が実現できるわけです。

  • 次世代アマチュア衛星通信技術実証「NEXUS」
  • CubeSat「NEXUS」と衛星通信
必要な機材
  • トランシーバー (Transceiver): SSBモードおよびCWモードの送受信が可能なオールモードトランシーバーが必須です 。主にVHF帯(144MHz帯)とUHF帯(430MHz帯)に対応したものが一般的ですが、衛星によってはHF帯(例えば28MHz帯)をダウンリンクに使用するものもあります(例:RS-10、RS-12、RS-15など )。 最も重要な機能は、送受信周波数を独立して、かつ連続的に可変できるスプリットVFO機能です。ドップラー効果による周波数変化にリアルタイムで対応するため、メインダイヤルで受信周波数を、サブダイヤル(またはそれに類する機能)で送信周波数を同時に、かつスムーズに調整できる機種が非常に有利となります。
  • アンテナ (Antenna): 衛星からの信号は微弱であり、かつ地球の磁場の影響などで偏波面が回転する(ファラデー回転)ため、指向性のある高性能なアンテナが推奨されます。一般的には、八木アンテナ(クロス八木アンテナや円偏波八木アンテナが望ましい)が使用されます 。これにより、特定の方向からの信号を効率よく捉え、かつ偏波面の変化による受信レベルの低下を最小限に抑えることができます。 多くの場合、アップリンク用(例:144MHz帯)とダウンリンク用(例:430MHz帯)のアンテナがそれぞれ必要になりますが、デュアルバンド対応の八木アンテナも選択肢の一つです。 ローテーター (Rotator): 指向性の鋭い八木アンテナを使用する場合、衛星の動きに合わせてアンテナの方向を正確に追尾し続ける必要があります。そのため、方位角(AZimuth)と仰角(ELevation)の両方を調整できるAZ/ELローテーターの使用が強く推奨されます 。手動でのアンテナ追尾も不可能ではありませんが、特に衛星が高仰角で通過する際には非常に難易度が高くなります。 プリアンプ (Preamplifier): 受信信号が非常に微弱な場合、アンテナの直下に低雑音のプリアンプ(LNA: Low Noise Amplifier)を設置することで、受信感度を大幅に改善できることがあります 。 同軸ケーブルとコネクタ (Coaxial Cable and Connectors): 高周波信号の損失を最小限に抑えるため、低損失で高品質な同軸ケーブルを使用することが重要です。特にUHF帯(430MHz帯)以上では、一般的なM型コネクタよりも特性の良いN型コネクタの使用が望ましいとされています 。 このように、SSB/CWでの衛星通信には、FM衛星運用に比べて設備投資と設置スペース、そして運用ノウハウの面で、より高いハードルがあることを理解しておく必要があります。
運用準備と実践
  • より精密なドップラー効果の追尾と補正: SSBやCWといった狭帯域モードでは、FMモードよりもはるかに精密なドップラー効果の補正が求められます。ドップラーシフトはアップリンク周波数とダウンリンク周波数の両方に影響を及ぼし、その変化量は衛星の速度と周波数に比例します。例えば、HO-68衛星の435.790MHzのCWビーコンは、衛星出現時(AOS: Acquisition of Signal)には公称周波数より最大で約9kHz高く聞こえ始め、衛星が頭上を通過する頃に公称周波数に近づき、衛星消滅時(LOS: Loss of Signal)近くには約9kHz低くなるという報告があります 。この大きな周波数変化に対応できないと、全く交信になりません。 多くのリニアトランスポンダでは、アップリンク周波数とダウンリンク周波数の間に一定の関係(例えば合計が一定、あるいは差が一定)があるように設計されているため、理論上は片方の周波数を調整すればもう一方も追従するように計算できます。しかし実際には、両方の周波数をリアルタイムで微調整しながら、相手局の信号が最も明瞭に聞こえ、かつ自分の送信信号が相手に正しく届くように最適点を探し続ける必要があります。 衛星がこちらに接近してくる時は、ダウンリンク周波数が高くシフトするため、受信周波数を徐々に下げていく必要があります。同時に、衛星から見て正しい周波数で受信されるためには、アップリンク周波数を通常よりも低めに送信し、徐々に上げていく必要があります(インバーティング型トランスポンダの場合は逆の操作になることもあります)。この複雑な操作を支援するために、一部の軌道計算ソフトウェアには、ドップラーシフト量をリアルタイムで計算し、対応する無線機をCAT(Computer Aided Transceiver)システム経由で制御して周波数を自動補正する機能が搭載されているものもあります(例:FunTrackソフトウェアと八重洲無線FT-736の連携 )。
  • アンテナの正確な追尾: 指向性の鋭い八木アンテナを使用するため、衛星の位置に合わせてリアルタイムでアンテナの方向(方位角と仰角)を調整し続けることが、強力な信号を得るための絶対条件です。軌道計算ソフトウェアで表示される衛星の現在位置に、アンテナを正確に向け続ける必要があります。
  • SSB/CWモードでの交信テクニック: リニアトランスポンダのパスバンド内は、複数の局が同時に利用しているため、混み合っている場合があります。まずはパスバンド全体を聞き、空いている周波数を見つけてCQ(不特定多数の局への呼び出し)を出すか、他局のCQに応答します。 最も重要なのは、自分の送信信号が衛星を経由して適切に地上に返ってきているかを常にモニターすることです(セルフモニタリング)。自分の声やCW符号が、エコーのように少し遅れて聞こえてくるのが衛星通信の特徴であり 、この返ってきた信号を聞きながら、送信出力や周波数を微調整します。 CWで交信する場合、ドップラー効果によって受信信号のピッチ(音調)も変化することに注意が必要です。 衛星からの信号は弱い場合が多いため、SSBでは明瞭な発音を、CWでは正確なキーイングを心がけることが大切です。
主要なリニアトランスポンダ搭載衛星リスト 衛星名 (愛称/型式名) コールサイン アップリンク周波数帯 (MHz) ダウンリンク周波数帯 (MHz) CWビーコン周波数 (MHz) モード 運用状況/備考 FO-29 (ふじ3号/JAS-2) 8J1JCS 145.900 – 146.000 (SSB/CW) 435.800 – 435.900 (SSB/CW) 435.795 (公称) SSB/CW (Jモード, 反転型) 打ち上げから長期間経過しており、バッテリー状態などにより運用が不安定な場合や、スケジュール運用となる場合がある 1 。JARLのウェブサイトで運用予定を確認。 RS-44 RS-44 145.935 – 145.995 (SSB/CW) 435.670 – 435.610 (SSB/CW) 435.605 SSB/CW アクティブに運用されていることが多い 2 。FT8など他のデジタルモードとの混信を避けるため、推奨運用周波数が調整されることがある 3 。 AO-7 (AMSAT-OSCAR 7) AO-7 145.900 – 145.970 (Mode A, USB) / 432.125 – 432.175 (Mode B, LSB) 29.400 – 29.500 (Mode A, LSB) / 145.975 – 145.925 (Mode B, USB) 29.502 (Mode A, 停波中との情報あり), 145.972 (Mode B) SSB/CW 1974年打ち上げの長寿衛星。太陽電池の状況により、日照時のみ運用可能(Mode A/Bが交互または不定期に動作)。非常に不安定な状態が報告されている 4 。

注: 上記の情報は2025年6月時点のものを参考にしています。衛星の運用状況、周波数、ビーコン等は変更される可能性があります。必ずAMSATのウェブサイト (www.amsat.org/status/) やJAMSAT、JARLの情報を確認してください。

方法3:APRSを利用した衛星経由のデータ通信

APRSとは?衛星APRSの楽しみ方

APRS(Automatic Packet Reporting System)は、アマチュア無線のパケット通信技術を応用して、位置情報、気象情報、短いテキストメッセージなどをリアルタイムで交換するためのシステムです 。地上波のAPRSでは、ローカルなデジピータ(デジタルリピータ)やインターネットゲートウェイ(IGate)を介して情報が伝達されます。

国際宇宙ステーション(ISS)からのAPRS信号受信とデジピート利用

国際宇宙ステーション(ISS)には、アマチュア無線用のAPRSデジピータが搭載されており、世界共通の周波数である145.825MHz(FMモード、パケットデータレート1200bps AFSK)で運用されています 。アマチュア無線家であれば、特別な許可なしにこのISSのデジピータを利用して、自分のAPRSパケット(位置情報ビーコンやメッセージ)を中継させたり、世界中の他のアマチュア無線局が発信したパケットを受信したりすることができます。

ISSは高度約400kmの低軌道を周回しており、比較的強力な信号で送信してくるため、後述するような簡易な設備でも十分に信号を受信し、デジピートを利用することが可能です。ただし、ISSのAPRSデジピータの運用状況は、宇宙飛行士の船外活動(EVA)の予定や他の実験スケジュールなどにより、不定期に一時停止されることがあるため、ARISS(Amateur Radio on the International Space Station)のウェブサイトなどで事前に情報を確認することが推奨されます 。

必要な機材とソフトウェア
  • APRS対応無線機 (APRS-Capable Radios): 最も手軽に衛星APRSを始める方法は、APRSモデム(TNC: Terminal Node Controller)とGPS受信機を内蔵したハンディ機やモービル機を使用することです。これらの無線機は、単体でGPSから取得した位置情報をAPRSパケットとして自動的に送信したり、受信したAPRSパケットの情報を表示したりすることができます。代表的な機種としては、ケンウッド社のTH-D74 やTH-D75 、八重洲無線社のFT1XD 、FT5D 、FTM-400D などがあります。
  • TNCまたはサウンドカードインターフェース (TNC or Sound Card Interface): もしAPRS機能を内蔵していない既存のVHF/UHFトランシーバーを使用する場合は、外付けのTNC、またはパーソナルコンピュータのサウンドカードと専用ソフトウェアを利用したソフトウェアTNCが必要になります。ソフトウェアTNCは、サウンドカードを介して無線機のマイク入力・スピーカー出力とPCを接続し、PC上でパケット信号の変復調処理を行うものです 。
設定と運用のポイント
  • 無線機の設定: APRS対応無線機を使用する場合、まず自局のコールサインとSSID(通常、移動局の場合は-9など)を正確に設定します 。次に、APRSの運用周波数を設定します。ISSの場合は145.825MHzです。
  • GPS機能の有効化: 無線機内蔵または外付けのGPS受信機を有効にし、自局の正確な位置情報が取得できるようにします 。
ISS APRS運用情報 機能 周波数 (MHz) モード デジピータコールサイン (例) 備考 APRSデジピータ 145.825 FMパケット (AFSK 1200bps, AX.25) ARISS, RS0ISS, WIDE1-1 アップリンク・ダウンリンク共用 。運用は不定期な場合あり。

その他の楽しみ方

デジトーカの受信

これを受信するためには、特別なデコード装置は不要で、多くの場合、430MHz帯のFMモードが受信できる一般的な受信機やトランシーバー(ハンディ機でも可)と、簡単なアンテナ(例えば3~5エレメント程度の小型八木アンテナや、ホイップアンテナでも条件が良ければ)があれば楽しむことができました 。もちろん、衛星が可視範囲にある時間に、ドップラー効果による周波数変化(FO-29のデジトーカ周波数435.91MHzでは±8kHz程度 )を考慮して受信周波数を正確に合わせる必要がありました。運用スケジュールはJARLなどから告知されていました。

大学や研究機関の衛星からのビーコン受信

衛星運用のための情報収集

軌道予測ツール

アマチュア衛星がいつ、どの方角(方位角・仰角)に見えるのかを予測するためには、軌道予測ツールが必須です。これらのツールは、衛星の軌道要素(TLE: Two-Line Elements と呼ばれる形式のデータ)を元に、指定した観測地点からの衛星の見え方を計算してくれます。

    ソフトウェア (Software): パーソナルコンピュータ上で動作する専用ソフトウェアは、詳細な軌道計算機能に加え、リアルタイムでの衛星追尾表示、ローテーター制御機能、ドップラー周波数自動補正機能などを備えているものがあります。
      代表的な例として、FunTrack (Fun Laboratory JR2PHC)があります。このソフトウェアは、詳細な軌道表示だけでなく、対応するインターフェース(例:Fun-232)を介してアンテナローテーターを自動制御したり、対応無線機(例:YAESU FT-736)の周波数をドップラー効果に合わせて自動調整したりする高度な機能を備えています 。

    衛星の最新運用状況の確認方法

      AMSATの衛星運用状況ページ (AMSAT Satellite Status Page): 最も信頼性が高く、包括的な情報源の一つが、AMSAT \が提供している衛星運用状況ページです(URL: https://www.amsat.org/status/)。このページには、世界中のアマチュア無線家からのリアルタイムな運用報告が集約されており、各衛星が現在どのような状態で運用されているか(例:トランスポンダがアクティブか、ビーコンのみか、信号なしなど)を一覧で確認できます 。

    安全な運用とマナーについて

    関連リンク

    • エキサイティングなアマチュア衛星通信(JARL)
    • JAMSAT公式サイト
    • AMSAT公式サイト
    • NEXUS(JAXA)
    • FMリピータ衛星に挑戦(JAMSAT)
    • Fun laboratory JR2PHC
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    こんにちは!オンエアーズの編集長mayasaです。 小学生の時にアマチュア無線の電話級を取得、高校1年で2アマ(当時はモールスの聞き取りがありました!)大人になってから1アマを取得しました!大学では電子工学を学び、電子回路の制作などを行っていました。 日頃からアマチュア無線の普及啓蒙活動に取り組んでいます。 子どもから大人まで多くの人にアマチュア無線の資格取得のための講習会を開催しています。 【関連資格】 第一級アマチュア無線技士 第一級陸上特殊無線技士

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