うさぎでもわかる解析 Part19 2変数マクローリン展開・テイラー展開
\( n = 3 \) のとき(3次の項までのテイラー展開)\[\beginf(x,y) & = f(0,0) + \frac \left( f_x(0,0) x + f_y(0,0) y \right) \\ & + \frac \left( f_(0,0) x^2 + \textcolor f_ (0,0) xy + f_(0,0) y^2 \right) \\ & + \frac \left( f_(0,0) x^3 + \textcolor f_ (0,0) x^2 y+ \textcolor f_ (0,0) x y^2 f_(0,0) y^3 \right) \\ & + \cdots\end \]
2次までの項のときの \( f_ \) にかかる係数が2になっていますね。
これは、\( f_ \) の場合と \( f_ \) の場合の2つを表しています。しかし、2変数のマクローリン展開ができる場合、 必ず \( f_ \), \( f_ \) の値は同じ です*2。なので、\( f_ \), \( f_ \) をあわせて \( 2 \ f_ \) となっているのです。
同様に3次の項のときの \( f_ \), \( f_ \) にかかる係数が3になっているのも、\( f_ \) の場合は \( f_ \), \( f_ \), \( f_ \) の3つ、\( f_ \) の場合は \( f_ \), \( f_ \), \( f_ \) の3つを考えているからなのです。
2変数マクローリン展開(n次の項まで) 例題1次の2変数関数\[f(x,y) = e^x \log (1+y)\]のマクローリン展開を2次の項まで求めなさい。
解答12次の項まで求めるために \( f(x,y) \) の2次偏導関数と \( (0,0) \) における偏微分係数を求める。\[\displaylinesf(0,0) = 0 \\f_x = e^x \log (1+y), \ \ \ \ \ f_x (0,0) = 0 \\f_y = \frac, \ \ \ \ \ f_y (0,0) = 1 \\f_ = e^x \log (1+y), \ \ \ \ \ f_ (0,0) = 0 \\f_ = \frac, \ \ \ \ \ f_ (0,0) = 1 \\f_ = - \frac , \ \ \ \ \ f_ (0,0) = -1>\]となるのであとは公式に代入するだけ。 \[\beginf(x,y) & = f(0,0) + \frac \left( f_x(0,0) x + f_y(0,0) y \right) \\ & + \frac \left( f_(0,0) x^2 + \textcolor f_ (0,0) xy + f_(0,0) y^2 \right)\\ & = y + \frac (2xy - y^2) \\ & = y + xy - \frac y^2\end \]となる。
2.2変数テイラー展開
2変数のマクローリン展開を 原点以外のときでも成り立つようにした のが2変数テイラー展開です。テイラー展開を考えることにより、原点 (0,0) 以外での様々な \( x,y \) の多項式による近似を考えることができるようになります。
2変数テイラー展開(3次の項まで)2変数関数 \( f(x,y) \) が点 \( (a,b) \) において \( n \) 回偏微分可能で連続とする。 このとき、
\( n = 1 \) のとき(1次の項までのテイラー展開)\[\beginf(x,y) = f(a,b) + \frac \left( f_x(a,b) (x-a) + f_y(a,b) (y-b) \right) + \cdots\end \]
\( n = 2 \) のとき(2次の項までのテイラー展開) \[\beginf(x,y) & = f(a,b) + \frac \left( f_x(a,b) (x-a) + f_y(a,b) (y-b) \right) \\ & + \frac \left( f_(a,b) (x-a)^2 + \textcolor f_ (a,b) (x-a)(y-b) + f_(a,b) (y-b)^2 \right) + \cdots\end \]
\( n = 3 \) のとき(3次の項までのテイラー展開) \[\beginf(x,y) & = f(a,b) + \frac \left( f_x(a,b) (x-a) + f_y(a,b) (y-b) \right) \\ & + \frac \left( f_(a,b) (x-a)^2 + \textcolor f_ (a,b) (x-a)(y-b) + f_(a,b) (y-b)^2 \right) \\ & + \frac \left( f_(a,b) (x-a)^3 + \textcolor f_ (a,b) (x-a)^2 (y-b)+ \textcolor f_ (a,b) (x-a) (y-b)^2 f_(a,b) (y-b)^3 \right) \\ & + \cdots\end \]
(マクローリン展開は原点 \( (a,b) = (0,0) \) におけるテイラー展開である。)
マクローリン展開の \( f(0,0) \), \( x,y \) がそれぞれ \( f(a,b) \), \( (x-a) \), \( (y-b) \) に変わっただけですね。
また、1次の項までの展開\[f(x,y) = f(a,b) + \frac \left( f_x(a,b) (x-a) + f_y(a,b) (y-b) \right)\]は、曲面 \( z = f(x,y) \) の点 \( (a,b, f(a,b) ) \) における接平面を表しています。
2変数マクローリン展開(n次の項まで) 例題2次の2変数関数\[f(x,y) = x^2 - 2xy + y^2\]の (1,1) におけるテイラー展開を2次の項まで求めることにより、\( (x-1) \), \( (y-1) \) の多項式で表しなさい。
解答22次の項まで求めるために \( f(x,y) \) の2次偏導関数と \( (1,1) \) における偏微分係数を求める。\[\displaylinesf(1,1) = 0 \\f_x = 2x - 2y , \ \ \ \ \ f_x (1,1) = 0 \\f_y = -2x + 2y , \ \ \ \ \ f_y (1,1) = 0 \\f_ = 2 , \ \ \ \ \ f_ (1,1) = 2 \\f_ = -2 , \ \ \ \ \ f_ (1,1) = -2 \\f_ = 2 , \ \ \ \ \ f_ (1,1) = 2>\]となるのであとは公式に代入するだけ。 \[\beginf(x,y) & = f(1,1) + \frac \left( f_x(1,1) (x-1) + f_y(1,1) (y-1) \right) \\ & + \frac \left( f_(1,1) (x-1)^2 + \textcolor f_ (1,1) (x-1)(y-1) + f_(1,1) (y-1)^2 \right)\\ & = (x-1)^2 - 2(x-1)(y-1) + (y-1)^2\end \]となる。
3.2変数マクローリン展開の計算の工夫
工夫1 xの関数, yの関数に分解してそれぞれマクローリン展開まずは、\( x \) の関数 \( f(x) \) と \( y \) の関数 \( g(y) \) に分解し、最後に2つを掛けることで求める方法を例題を踏まえながら説明したいと思います。
例題3例題1と同じ次の2変数関数\[f(x,y) = e^x \log (1+y)\]のマクローリン展開を求めたい。
(1) \( e^x \), \( \log(1+y) \) の2次までのマクローリン展開を求めなさい(2) (1) を用いて \( f(x,y) \) のマクローリン展開を求めなさい
解答31変数のマクローリン展開計算をするだけ。\[e^x = 1 + x + \frac x^2 \]\[\log (1+y) = y - \frac y^2\]
(2) \[\beginf(x,y) & = e^x \log (1+y)\\ & = \left( 1 + x + \frac x^2 \right) \left( y - \frac y^2 \right)\\ & = y + xy - \frac y^2\end \]と求められる。
工夫2 xとyの関数を1文字に置き換えるつぎに、2変数関数の変数 \( x,y \) を1つ文字に置き換える方法を説明します。この技は場合によってはかなり計算量が少なくなるので使えるなら積極的に使っていただければなと思います。
例題4次の2変数関数\[f(x,y) = \sin (x+y)\]のマクローリン展開を求めたい。
(1) \( g(t) = \sin t \) の3次までのマクローリン展開を求めなさい(2) (1) を用いて \( f(x,y) \) の3次までのマクローリン展開を求めなさい
解説4(1) \[\sin t = t - \frac t^3 + \cdots\]となる。
(2) \( x + y = t \) とする。すると、(1)より\[ \begin\sin (x+y) & = \sin t\\ & = t - \frac t^3 + \cdots\\ & = (x+y) - \frac (x+y)^3 + \cdots\end \]となる。
4.練習問題
練習1 練習2次の2変数関数\[f(x,y) = \cos (2x + y)\]の \( \left( \frac, \frac \right) \) におけるテイラー展開を2次までの項を求めなさい。
練習4次の2変数関数\[f(x,y) = e^ \sin xy\]について、つぎの問いに答えなさい。
(1) \( e^u \), \( \sin v \) のそれぞれの3次までのマクローリン展開を求めなさい。(2) 2変数関数 \( g(x,y) = e^ \), \( h(x,y) = \sin xy \) の3次までのマクローリン展開を求めなさい。(3) 2変数関数 \( f(x,y) \) の3次までのマクローリン展開を求めなさい。
5.練習問題の答え
解答1まずは2次までの偏導関数と \( (0,0) \) における偏微分係数を求めていく\[\displaylinesf(0,0) = 1 \\f_x = - \frac \ \ \ f_x (0,0) = -1 \\f_y = \frac \ \ \ f_y (0,0) = 1 \\f_ = \frac \ \ \ f_ (0,0) = 2 \\f_ = - \frac \ \ \ f_ (0,0) = -2 \\f_ = \frac \ \ \ f_ (0,0) = 2>\]となるのであとは公式に代入するだけ。 \[\beginf(x,y) & = f(0,0) + \frac \left( f_x(0,0) x + f_y(0,0) y \right) \\ & + \frac \left( f_(0,0) x^2 + \textcolor f_ (0,0) xy + f_(0,0) y^2 \right)\\ & = 1 - x + y + x^2 - 2xy + y^2\end \]となる。
\( x - y = t \) とする。ここで \( \frac \) の2次までのマクローリン展開を考えると、\[\frac = 1 - t + t^2\]となる。すると、\[ \begin\frac & = \frac\\ & = 1 - t + t^2\\ & = 1 - (x-y) + (x-y)^2\\ & = 1 - x + y + x^2 - 2xy + y^2\end \]となる。
解答22次までの項なので \( f(x,y) \) の2次偏導関数と \( \left( \frac, \frac \right) \) における偏微分係数を求める。\[\displaylinesf \left( \frac, \frac \right) = \cos \frac \pi = - \frac \\f_x = -2 \sin (2x+y) \ \ \ \ \ f_x \left( \frac, \frac \right) = -2 \sin \frac \pi = - \sqrt \\f_y = - \sin (2x+y) \ \ \ \ \ f_y \left( \frac, \frac \right) = - \sin \frac \pi = - \frac \\f_ = - 4 \cos (2x+y) \ \ \ \ \ f_ \left( \frac, \frac \right) = - 4 \cos \frac \pi = 2 \\f_ = - 2 \cos (2x+y) \ \ \ \ \ f_ \left( \frac, \frac \right) = -2 \cos \frac \pi = 1 \\f_ = - \cos (2x+y) \ \ \ \ \ f_ \left( \frac, \frac \right) = \cos \frac \pi = \frac>\]となるのであとは公式に代入するだけ。 \[\beginf(x,y) & = - \frac - \sqrt \left( x - \frac \right) - \frac \left( y - \frac \right) \\ & + \left( x - \frac \right)^2 + \left( x - \frac \right) \left( y - \frac \right) + \frac \left( y - \frac \right)\end \]となる。
解答4(1) \[e^u = 1 + u + \frac u^2 + \frac u^3 \]\[\sin v = v - \frac v^3\]となる。
(2) \( u = x + y \) とすると、\[\begine^ & = e^u\\ & = 1 + u + \frac u^2 + \frac u^3\\ & = 1 + (x+y) + \frac (x+y)^2 + \frac (x+y)^3\end \]と求められる。
また、\( v = xy \) とすると、\[\begin\sin xy & = \sin v\\ & = v - \frac v^3\\ & = xy - \frac x^3 y^3\end \]と求められる。
(3) \[\begine^ \sin xy & = \left( 1 + (x+y) + \frac (x+y)^2 + \frac (x+y)^3 \right) \left( xy - \frac x^3 y^3 \right)\\ & = xy + (x+y)xy\\ & = xy + x^2y +x y^2\end \]と求められる。
6.さいごに
2変数のマクローリン展開を求める際にはひたすら偏微分する脳筋スタイルではなく、\( t = x + y \) のように 置換してから 求めていくと簡単に求められることが多いです。なのでなるべく置換してから求めるのをおすすめします。(1変数の基本的なマクローリン展開の公式はできる限り覚えておきましょう)
*1 : 教科書などには \( C_n \) 級と書かれていることもあります。2変数関数 \( f(x,y) \) が \( C_n \) 級とは、 \( n \) 回偏微分可能 かつ \( n \) 次以下の導関数がすべて連続 であることを示しています。例えば \( C_2 \) 級なら、2回偏微分可能かつ2次以下の導関数がすべて連続であることを表します。
*2 : \( C_2 \) 級関数であれば必ず \( f_ = f_ \) が成り立つため
公開日: 2019年9月17日 更新日: 2021年12月27日 この記事を書いた人 コメント一覧 コメントはありません。 関連記事 うさぎでもわかる解析 補充編1-2 微分・積分、極限、マクローリン展開 うさぎでもわかる解析 Part27 2重積分の応用(体積・曲面積の求め方) うさぎでもわかる複素解析 Part4 複素関数のべき級数展開(マクローリン・テイラー展開) うさぎでもわかる計算機システム Part11 コンパイラの処理の流れ(字句解析と意味解析のしくみ) うさぎでもわかる解析 補充編1-1 双曲線関数のいろは うさぎでもわかる信号処理 第01羽 z変換のいろは うさぎでもわかるラスパイレス指数・パーシェ指数・フィッシャー指数 うさぎでもわかる線形代数 応用編第3羽 pノルム (Lpノルム) うさぎでもわかる解析 Part18 偏微分を用いた陰関数微分・陰関数定理 うさぎでもわかる解析 Part20 2変数関数の極値カテゴリー
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