平野眞監督が語る『ドビュッシーが弾けるまで』制作秘話 國村隼らと挑んだピアノ演出
――企画を最初に聞いたとき、どんな印象を受けましたか? 平野眞(以下、平野):クリスマスなのに、おじさんがいっぱい出ていいのかな、と思いました(笑)。プロデューサーの鈴木(康平)も「クリスマス感は出したい」と言ってたので、「まぁそうだな」と思いつつ、「でも、おじさんだしなぁ」と(笑)。実際、プロットを見てもまったくクリスマス感がなかったので、じゃあ頑張って作っていこう、というところですね。第一印象はそんな感じで、「若い人を入れた方がいいよ」とずっと言っていました。しかもプロデューサーと脚本家がどちらも若い新人なので、「どうしてこれを企画したんだろう」と思ったりもしましたね(笑)。 ――クリスマスイブに放送する作品として、挑戦的ではありますよね。 平野:クリスマスだし、ツリーの前で「君が好きだ。お前のことが忘れられない!」みたいなことをやりたいじゃないですか。でも、そんなことはまったくなかったですね(笑)。内容的な話をすると、やっぱり年齢の高い役者さんは奥行きがあるので、ほんのちょっとの指示で変わるし、お芝居をお願いするのが面白いんですよ。國村(隼)さんとご一緒するのは初めてだったんですが、僕はやる前に何でも言っちゃう人なので、「すみません、気を悪くしないで」とお願いしつつ、ズケズケと思っていることを言いました。
――実際、國村さんの反応はいかがでしたか? 平野:「うん、わかった。やってみる」と必ず返してくれるんです。「今の感じどうですか?」「僕はこっちのほうがいいと思いますよ」と、2人でしょっちゅう話し合いながらできたので、すごく有意義な時間でしたね。さらには片平なぎささんも、大ベテランの俳優さん。そういう俳優たちと相対するのは、やっぱり面白いですよね。 ――脚本は、第36回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した新人の石田真裕子さんが担当されています。印象はいかがでしたか?
――脚本を作り始めて、途中でキャスティングが決まったと。 平野:今回はそうでしたね。でも、本を作りながら「これは誰だろう」「こっちは誰だろう」と、プロデューサーと僕と脚本家の3人で、いつもリモートでやり取りしていました。石田さんはお子さんがいるので、ちょうどいい時間に集まって何度も打ち合わせをして。物語に対する思いもそれぞれ少しずつ違うので、そこを話し合うのがすごく面白かったですね。自分としては、台本ができた時点でもう“勝ち”なので、あとはそれを表現するだけ。とはいえ、今回は台本をみんなで作ったので、やっぱり思い入れは強いです。 ――石田さんの“ここが脚本家として優れている”と感じたところはどこでしょうか。 平野:お願いしたことを具現化するときに、すごく力を発揮されるんだなと思いました。思う存分自由にやるよりも、「これはお金がかかるから、ここまでしかできません。だからその中で考えて」と伝えたときに、ものすごい力を発揮する。それはすごいなと思いましたね。お願いした倍くらいのものが返って来るので、「ああ、いいセリフになったな」と思うこともたくさんありました。やっぱり賞を受賞しているだけあるんですよ。ヤンシナを取るって、本当にすごいことですから。