. Vol.111 TOTO - HYDRA | 僕の体の半分は音楽で出来ている
Vol.111 TOTO - HYDRA | 僕の体の半分は音楽で出来ている
Vol.111 TOTO - HYDRA | 僕の体の半分は音楽で出来ている

僕を形作った洋楽アルバムたち Vol.111 TOTO - HYDRA

アルバムタイトルは HYDRA (ハイドラ)。 ギリシャ神話に出てくる9つの首を持つ怪物で、日本語ではヒュドラ、ヒュドラーもしくはヒドラと表記されます。 そしてアルバムジャケット描かれてるのはギタリストのSteve Lukather(スティーヴ・ルカサー)では?と思われますが、剣をもってうなだれています。 彼がその怪物を退治に行く、もしくは行った後疲れてうなだれてるのかわかりませんが、そのような ストーリーを描写したジャケット になっています。

では、今日は1979年リリースのTOTOの2ndアルバム、HYDRA(ハイドラ)をご紹介します。

HYDRA(ハイドラ)の楽曲紹介

オープニングを飾るのは、アルバムタイトル曲、HYDRA(ハイドラ)。

この曲をどう評価するかで、このアルバムの評価が決まる といっても過言ではないかもしれません。 いきなり7分半の大作となっています。 少し プログレ色が強くなっています ので、前作で見せたキャッチーなものを期待して聴き始める人にはちょっと期待はずれに感じられるかもしれないです。

変拍子や楽器のパートが多いとか、展開が複雑とかプログレ色が強いとはいえ、 本物のプログレと呼ばれるものよりははるかに馴染みやすい ものになっています。 いきなり好きになれるキャッチーなものと比べると、受け入れるのに少し時間を要するかもしれませんが、ちゃんと聴くと TOTOらしさが随所に織り込まれていて 、大作ではありますがたっぷりと楽しめる楽曲に仕上がっていることに気づけると思います。

イントロは、 重厚でドラマの始まりを感じさせる 、印象深いものとなっています。 そして、TOTOらしい本編がはじまります。

ドラムスのJeff Porcaro(ジェフ・ポーカロ)の 独特のリズムワーク は健在です。 ベースのDavid Hungate(デヴィッド・ハンゲイト)と共にリズム隊が楽曲をどっしり支え、 時に軽快に時に重厚に 楽曲の要を演じています。 キーボードのDavid Paich(デヴィッド・ペイチ)とSteve Porcaro(スティーヴ・ポーカロ)は共に、TOTOらしい 軽快かつ美しい旋律 を奏でています。 ギタリストのSteve Lukather(スティーヴ・ルカサー)も軽快なバッキングから、流麗なソロまで プロらしいプレイを披露 しています。 そして、Bobby Kimball(ボビー・キンボール)は 自慢のハイトーン をコーラスにおいて美しく鳴らしています。

この曲はメンバー全員が作詞作曲に参加していて、まさに 渾身のオープニング になっています。 この曲ではリードヴォーカルはペイチが担当していて、その温かい声もTOTOらしさにしっかり貢献しています。

ドラマティックに展開していく中で、楽器プレイもしっかりフィーチャーされてます。 ルカサーの ギターミュートプレイとユニゾンするキーボードプレイ はとても印象的ですね。 また特に、ルカサーのソロプレイが、各所でたっぷり聴けるのもとてもいいです。 曲の 後半で弾きまくる彼のプレイにも要注目 です。 前年にはVAN HALEN(ヴァン・ヘイレン)のエディは既にデビューしていて、 ギターヒーローが注目される時代 になっていましたが、それに合わせてかルカサーのギタープレイも、 アルバム全体で結構たっぷり楽しめる のがいいですね。 さらにTOTOの魅力の一つである コーラスワークも中盤にはたっぷり用意 されています。

このようにTOTOの魅力がいっぱい詰まったアルバム1曲目になっています。 ただ、キャッチーではなく、 良さに気づくには少し聞き込む必要がある のが、唯一の難点と言えるかもしれません。 曲の長さをあまり感じさせない、良く出来た楽曲だと思います。

2曲目はST. GEORGE AND THE DRAGON(St.ジョージ&ザ・ドラゴン)。

これはTOTOらしい、 心地よいポップソング です。 やはりイントロのあのピアノの音は、非常に気持ちいいですね。

そしてこの曲では、キンボールがリードヴォーカルをとっています。 彼のハイトーンもやはりTOTOらしくて好きですね。 雰囲気がホール&オーツを思い出させるという意見も聞こえます。 確かにそんな感じありますね。 この曲は とてもキャッチーな作り になっています。 前曲との対比が余計にこの曲の良さを引き出していると思えます。

ポップスではありますが、その中で聴ける ルカサーのギターが結構ハードなものとなっている のが個人的にはいいですね。 ソロもメロディアスに職人らしく奏でています。 アウトロのソロではとても熱いプレイが聴けます。

このまま終わってもいいのですが、ラストは頭打ちのリズムに変わり、 大きな盛り上がりを演出 するところもイケてますね。

3曲目は、99

この数字をみるとどうしてもNENA(ネーナ)の「ロックバルーンは99」を思い出してしまうわけですが、当然なんの関係もありません。

この曲はGeorge Lucas(ジョージ・ルーカス)のデビュー映画、THX 1138 へのトリビュートとして書かれた楽曲です。 この曲はAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)にジャンルわけしても良いでしょう。 とても 悲しげで切なくなるラヴソング になっています。

イントロのマイナー調のピアノが、 いきなり名曲の予感 を与えるものとなっています。 この曲ではルカサーがリードヴォーカルを担当しています。 物悲しいメロディを優しく歌い上げています。

これだけだとただのいいバラードのようですが、やはり、 この曲でもメンバーはプレイで光るものを見せて くれます。 曲全体で、ハンゲイトのベースは跳ねたリズムをプレイしていて、バラードなのに少し軽快な感じを与えています。 また、ラストでは、 軽いベースソロさえ披露 していますね。

またキーボード陣も曲全体を印象付けるピアノプレイだけでなく、 キーボードソロでもさりげなくテクをアピール しています。 またルカサーはヴォーカルだけでなく、ギターソロプレイでも魅了してくれます。 曲後半でのプレイは アダルティな素敵なギターソロ を聴かせてくれています。

この曲は2ndシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで 第26位 、同誌Adult Contemporaryチャートで 第19位 を記録しています。

このアルバムからは唯一のヒットとなりましたが、だいぶ後のインタビューで、この曲でリードヴォーカルを取っているルカサーは、 人気のあるこの曲をお気に入りとは程遠く、むしろ大嫌いな楽曲と語っている ようです。 世間の評価とアーティストの評価は、たまにこんな乖離が見られますね。 でも、 本人がそう言っても、いい曲はいい曲 です。

A面ラストの4曲目は、LORRAINE(ロレイン)。

少し暗くはじまりますが、途中から軽快なTOTOサウンドに早変わりします。 この曲は A面の最初の3曲がよさ過ぎて、ちょっとそのあおりを食らって評価が低くなっている ようですが、決して悪くないです。 むしろ、変わらずのTOTOらしさがあるので、結構いいですよ。

後半は 得意の変拍子 もあり、その裏のベースラインもなかなか素敵なことになっています。 楽器それぞれが、適度な主張をしているところが、TOTOのよさではないでしょうか。 ペイチのヴォーカルも、相変わらず温かくていいですね。

B面1曲目は、ALL US BOYS(オール・アス・ボーイズ)。

ここで、 爽快なロックンロール の登場です。 ここではペイチが勢いのあるヴォーカルを披露しています。 これはTOTOらしくないと言えば語弊があるかもしれませんが、 キャッチーでストレートな楽曲 ですね。

ルカサーの ギターがたっぷりとかっこよくフィーチャー されていて、結構ハード目のロックですね。 かなり弾きまくってます。 この曲は A面1曲目とは真逆の方向性 になっています。 何度か聴いてそのよさがわかるA1と、一度聴いただけで良いと思えるB1。 この対比もアルバムの バラエティ感に貢献 していてとてもよいと思います。

2曲目は、MAMA(ママ)。

少し アダルティな雰囲気 の楽曲です。 キンボールのハイトーンヴォーカルが際立っていますね。

この曲の ハイライトは間奏部分のプレイの応酬 でしょう。 ジャジーな雰囲気 の中で、ベースラインが跳ね、 ピアノもお洒落な音色を奏で、 ギターも大人のかっこよいメロディを披露しています。 特にルカサーは、さすがにスタジオミュージシャンだっただけあって、引き出しが多いですね。

3曲目は、WHITE SISTER(ホワイト・シスター )。

この曲は ドライヴ感たっぷりのロックナンバー ですね。 これだけストレートなのはここまであまりなかったですね。 やはり、彼らはただのミュージシャンの集まりではなく、 ロックバンドだ、という主張 があるかのようです。 ここでもキンボールがしっかりハードロックも歌いこなしてますね。

各プレイヤーがいい仕事をしてるのは言うまでもありませんが、やはりこの曲の 最大のハイライトはルカサーのソロプレイ ということになるでしょう。 間奏とアウトロ、どちらも 非常に熱い名演奏 を披露しています。 このアルバムでの、ルカサーのプレイの最高潮だと思えますね。 ラストはその熱さゆえ、ジェフのドラムも荒くれてエンディングへ。

なかなか 爽快なロックンロール になっています。

アルバムラストの4曲目は、A SECRET LOVE(シークレット・ラヴ)。

この曲のリードヴォーカルはキンボール。 ピアノとシンセの美しい伴奏 に乗せて歌い上げ、静かにアルバムは幕を下ろします。

まとめとおすすめポイント

1979年リリースのTOTOの2ndアルバム、HYDRA(ハイドラ)はビルボード誌アルバムチャートで 第37位 、アメリカで 50万枚 、世界でも 200万枚 のヒットにとどまってしまいました。

前作の大成功から比べると、やはり セールスは半分に落ち込み、ちょっとした失敗作とみなされる アルバムとなっています。 大きな理由の一つは、 シングルヒットがあまり出なかった 、ということかもしれません。 唯一ヒットした99も、第26位にとどまっています。

その原因について、AllMusic誌は、99はもっと 上位に上がるポテンシャルを持っていた が、多くのリスナーがルーカスのTHX 1138をあまり知らないうえ、歌詞の内容が 救いようもなく難解 だったからではないか、と推測しています。 トップ10に入るくらいのヒット曲があれば、もっとアルバムは売れたのでは 、という読みですね。

なぜ売れなかったか、原因は定かではありませんが、 売れなかったから悪いアルバムかというとそうではありません 。 確かにアルバム1曲目の大作は、さらっと好きになれるような楽曲ではありませんでしたが、 聞き込めばやはりTOTO節 であり、良い曲だとわかります。

そこを乗り越えれば、アルバムはバラエティに富んだ、 TOTOらしい楽曲で満ちている と僕は思います。

特に 日本のリスナーにも、このアルバムは人気が高く、隠れた名盤として愛聴 しておられる方々をネット上でも多く見られます。

何と言っても、 彼らの演奏テクニックは素晴らしく 、そこに注目するだけでも おなかいっぱい楽しめるクオリティ をこのアルバムは有していると思いますね。 また、今回は全曲でペイチが作曲に関わっていますが、やはりいい曲を彼は作っています。 前のアルバムの楽曲ほどのキャッチーさは幾らか減少しているかもしれませんが、それでも、 優れた曲が多く含まれて います。

このアルバムを出すに当たって、 メンバーは、これが真のデビューアルバム、と述べていた らしいです。 その真意はよくわかりませんが、1stアルバムでは、とにかく売れるものをまずは作って自己紹介的に作ったのかもしれません。 そして実際アルバムは大ヒットとなりました。 で、今回は、売れ線を狙うより、 自分たちのやりたいことをアルバムに収めたのではないか と思ったりします。 そういう意味で、ほんとのデビューアルバムというのは考えすぎでしょうか。

結果、前ほどは売れはしませんでしたが、 彼らがバンドとしてどんなことをやりたいか、ということは明確に提示 できたのではないでしょうか。 そして、 それを高く評価して愛聴盤とみなすファンがいる ということは、それはある意味成功だったのかもしれません。

僕の中で、TOTOは 5枚目のアルバム、ISOLATION(アイソレーション)から入ったものだから、 それが最高傑作 といまだに思っていますが、遡って聴いた初期のアルバムたちの中でも、やはり このアルバムは、なかなか好きなアルバム ではあります。

凄腕ミュージシャンの、やりたいことをやった「 真のデビューアルバム 」であるハイドラは、やはり洋楽ファンは 聴くべきアルバムの一つ だと思います。

チャート、セールス資料

アーティスト:TOTO

2ndアルバム、HYDRA(ハイドラ)

ビルボード誌アルバムチャート 第37位 アメリカで 50万枚 世界で 200万枚 のセールス

1stシングル ST. GEORGE AND THE DRAGON(St.ジョージ&ザ・ドラゴン)ビルボード誌シングルチャート 圏外

2ndシングル 99 シングルチャート 第26位 、同誌Adult Contemporaryチャート 第19位

3rdシングル ALL US BOYS(オール・アス・ボーイズ) シングルチャート 圏外

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