. S・バック『大津波』: 阪急・阪神沿線文学散歩
S・バック『大津波』: 阪急・阪神沿線文学散歩
S・バック『大津波』: 阪急・阪神沿線文学散歩

阪急・阪神沿線文学散歩

ノーベル賞作家のパール・S・バックは、生後3ヶ月で宣教師の両親と中国にわたり18歳でアメリカの大学に入学するまで、ずっと中国で暮らしました。「大地」はピューリッツア賞を受賞した有名な作品ですが、「The Big Wave」という児童文学賞を受賞した作品を1947年に出版しているのです。 この本は東日本大震災で再び注目され、You Tubeでも紹介されています。私も1947年にこのような本がアメリカで出版されていたのだと、驚きと感激をもって読みました。

彼女は日本で津波を経験していたのです。 <挿絵は日本の国と人々の精神を表現すべきものです。日本は美しい国です。そんな国だからこそ、挿絵も美しくなければなりません。そんな絵をどこに見つけられるでしょうか。そうです。偉大な日本人の画家たちが描いた絵の中にあるはずです。> 結局1947年に発行された原書では、北斎と広重の版画が挿絵として入っていたそうです。残念ながら蔵書数を誇る都立図書館でさえ原書はなく、表紙以外その絵を見ることはできませんでした。1988年に株式会社トレヴィルから大津波と訳され、初版が発行されました。

翻訳は4名の女性があたられ、訳者あとがきには <私たちが、このThe Big Waveを翻訳して紹介したいと思ったのも、彼女の日本人を見つめる眼が限りなく優しくかつ鋭いものであったからです。> と書かれており、本文を読んでいると、本当に彼女の優しさを感じることができました。 <The Big Waveには、西洋のものとは質を異にした日本人の自然観、生活観、死生観、人間愛などが、巧みに描かれています。> しかし現在の日本には、パール・S・バックが滞在した時代の、美しい日本や日本人の精神は残されているのでしょうか。

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