. 41番『ジュピター』 | おすすめ名盤レビュー【CD,MP3,スコア,楽譜】
41番『ジュピター』 | おすすめ名盤レビュー【CD,MP3,スコア,楽譜】
41番『ジュピター』 | おすすめ名盤レビュー【CD,MP3,スコア,楽譜】

モーツァルト 交響曲第41番『ジュピター』

第2楽章も遅めです。ヴィブラートを抑えた弦の響きに透明感があります。この楽章も味わい深いです。 モーツァルトは時代を超えた作曲家で、この第41番『ジュピター』に限らず、感情表現が非常に上手いのです。 ブリュッヘンはその辺りを最大限生かしています。第3楽章は普通のテンポです。ヴァントやノリントンで聴こえた半音階の独特のメロディも生きています。 急に短調になる部分でもかなり感情を入れていて 、聴いていて大満足です。

第4楽章は速いテンポでバロックティンパニが心地良く響きます。バロックオケはヴィブラートが少ないこともあり、透明感が高くてフーガなどの対位法の色々な声部が絡み合っても良く分離して聴きとれます。ブリュッヘンは第4楽章にもかなり感情の要素を持ち込んでいます。感情的になるべきところで感情表現をしてくれるので、痒い所に手が届く、という感じで、かなり満足度が高いです。 音楽的に壮大で、感情的にも転調や対位法の動きに合わせて繊細に表現 をしています。壮大な対位法のところはきちんと聴こえる様にテンポを落としたりもしています。本当に密度が高く、丁寧な『ジュピター』です。

アーノンクール=ウィーン・コンツェルトス・ムジクス 古楽器でもスケールの大きな『ジュピター』

指揮 ニコラウス・アーノンクール 演奏 ウィーン・コンツェルトス・ムジクス

アーノンクールと手兵ウィーン・コンツェルトス・ムジクスの録音です。アーノンクールはこれまでロイヤル・コンセルトヘボウとの名盤がありました。透明感があってかなりの名盤でしたが、昔の演奏で最近では大分違ってきていることは分かっていました。実際聴いてみると同じ指揮者とは思えないほど 進化していて円熟味があり、アーノンクールの『ジュピター』の最終形 と思います。

第1楽章は、冒頭の主題はダイナミックに演奏されていますが、少し濁りがあるでしょうか。テンポは少し遅めで、スケールが大きいです。バロックティンパニの強打でさらにスケールが増していきます。弦楽器が少し濁り気味ですが、これだけの強奏だと仕方ないかも知れません。 古楽器オケでこれだけスケールの大きな『ジュピター』は初めて聴きました。 自然とテンポアップしそうになりますが、アーノンクールは遅いテンポを維持していきます。

第2楽章は少し速めです。 音質が良いので古楽器の木管の音が心地よい です。他の演奏とは全然違うアーティキュレーションも良い方向に出ています。第3楽章は一般的なテンポですね。アクセントが強く、管楽器と打楽器が目立ちます。弦楽器が弱めですが、当時の編成を再現したのですかね。その分、管楽器が良く聴こえます。

第4楽章は少し速い位のテンポです。 フーガは素晴らしく、後半の複雑な対位法や転調は非常に楽しめます 。弦は小さめですが、アクセントをつけると結構聴こえますね。

ベーム=ベルリン・フィル ベルリン・フィルをしっかり鳴らした壮大な名盤

指揮 カール・ベーム 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ベームとベルリン・フィルの録音です。1962年と少し古めですが、しっかりした音質です。ベルリン・フィルとの録音は、ベームらしい構築的な演奏で、当時の重厚さのあるベルリン・フィルをしっかり鳴らした名盤です。古楽器オケやピリオド奏法が出てくる前の時代で、 大編成のオケを躊躇(ちゅうちょ)なく鳴らしています 。晩年のウィーン・フィルとの録音は温和な雰囲気がありますが、ベルリン・フィルとの演奏はベームらしさが良く出た名盤です。

ベーム=ウィーン・フィル (1976年) 構築的な基礎を持った上で、温和で聴きやすいモーツァルト

指揮 カール・ベーム 演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ベームとウィーン・フィルの『ジュピター』モーツァルトのモダン楽器の演奏の一つの頂点 です。中高生のころはベームのモーツァルトやブラームスを聴いて「これが本物」と考えていました。その後、古楽器オケやピリオド奏法で目から鱗が落ちました。しかし、ベームの演奏は古楽器奏法が無い時代の一つの完成形と言えます。

第1楽章は意外と速いテンポです。 有名な主題が上手くしっかり演奏 されます。ソナタ形式がしっかり聴こえます。ウィーン・フィルは柔らかく弾いている所も多いですが、基本的に大編成でスケール感があります。

第2楽章も聴きやすいですが、意外に硬派で構築的な演奏ですね。第3楽章遅めのメヌエットです。そしてフォルテになると響きに厚みがあります。ヴァントやノリントンであった、独特のしなやかさとは似ているようで違いますね。

第4楽章遅めでスケールが大きい です。ウィーン・フィルは重厚な響きで、しっかり主題が聴こえます。 最後の交響曲の最後の楽章を壮大に演奏 しています。

最近の演奏に慣れている方は「意外と重厚だな」と思うかも知れませんが、一つの演奏様式を極めた名盤で、この演奏ならではのしっかりした構築感が感じられ、モーツァルトの最後の交響曲に相応しい壮大さがある名盤です。

ノリントン=シュトゥットガルト放送響 表現豊富になってきたピリオド奏法、小気味良い演奏が良い

ノリントン得意のモーツァルトです。最近ではモダン楽器のピリオド奏法も随分発展してきて、軽快なサウンドはドイツのオーケストラであることを忘れてしまうくらいです。

第1楽章は、比較的インテンポで演奏しています。ジュピター辺りまで来ると、ピリオド奏法といってもかなり大曲という感じです。ソナタ形式の堂々とした音楽を、軽すぎもせず、ロマンティックにもならずに少しシャープさを加えて演奏しています。第2楽章のテンポは速めです。ノリントンはハイドンではアンダンテをもっと速いテンポで演奏しているので、聴きなれてしまえば普通に聴こえます。これまでのロマンティックさが多すぎた演奏とは一線を画していて、少しクールに聴こえるかも知れませんが、実際は古典派としてはかなり感情が入った演奏です。

第3楽章はすっきりした演奏です。ただ、独特の半音階進行のせいもあって、古典派としてはレガートがかかったような柔らかさがあります。第4楽章はピリオド奏法で普通に演奏していますが、その分だけスコアに書いてあることが忠実に聴こえてきます。やはりフーガの壮大さはピリオド奏法だと良く聴こえますし、むしろ感情表現が少なめな分、曲の本質が見えてきます。

ヴァント=北ドイツ放送交響楽団 考え抜かれた演奏に、円熟して深みが増した名演!

ヴァントは以前は緻密で厳しい音楽を作る指揮者だったのですが、1990年代に入って大きく変わってきます。スコアを読みこんで緻密な音楽を作る所は変わりませんが、少し余裕を持たせてそこに感情を入れるようになってきたのです。円熟してきて大器晩成と言われていますが、音楽のベースはケルン放送交響楽団の指揮者をやっていた時代から変わらず、完成度が十分増したところに円熟味がでてきたのです。

ノリントン=カメラータ・アカデミア・ザルツブルグ 溌剌としたピリオド演奏!

指揮 ロジャー・ノリントン 演奏 カメラータ・アカデミア・ザルツブルグ

ヘレヴェッヘ=シャンゼリゼ管弦楽団

指揮 フィリップ・ヘレヴェッヘ 演奏 シャンゼリゼ管弦楽団

ツェンダー=ザールブリュッケン放送響

指揮 ハンス・ツェンダー 演奏 ザールブリュッケン放送交響楽団

ツェンダーという指揮者の録音で、1980年録音でありながら、速いテンポでシャープな演奏です。たまたま勘で衝動買いしたCDなので、良く知らない指揮者なのですが、またに聴く名前だった気もします。輸入盤のみだったと思います。ベームの数年後にはこんな演奏も録音されていた訳ですね。もちろん、古楽器系の演奏家はずっと前から活動して模索している訳ですけど。

第1楽章は非常にリズミカルで鋭いリズムが目立ちます。pの所がもっと落とせれば対比が綺麗に行くと思うのですが、そこはドイツの重厚なオケですから、仕方ないですね。でも、『ジュピター』という愛称があっても、機転が利いた音楽であることがよく分かり、非常に楽しめます。第2楽章はさすがに遅めのテンポで演奏しています。ノリントンのように速くはありません。でも感情的な盛り上がりは良く表現されていています。聴いていて満足できる演奏です。

第3楽章は速めのテンポですが、やはりメヌエットとしてはリズムがきつい感じで、古楽器オケとの違いを感じます。急に短調が出てくる部分は感情を入れてやってほしいのですが、この演奏は思い切りやり過ぎですね。ちょっときつい音になっています。第4楽章はフーガの主題の出だしをかなりシャープに強調しています。分かりやすいですけど、ちょっときつい音ですね。でも、この演奏で対位法の所が面白くなければ、なぜこんなにシャープにやっているのか分かりません。ブラ1に引用されている部分もよく分かりました。展開部もかなり面白く聴けます。録音が良いとは言えない気がしますが、いろいろな声部が聴こえるので、目論見は上手く行っているんでしょうね。

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アーノンクール=ヨーロッパ室内管弦楽団

指揮 ニコラウス・アーノンクール 演奏 ヨーロッパ室内管弦楽団

1991年 (ステレオ/カラー/NTSC/Region All)

壮年期のアーノンクールの指揮ぶりを堪能できるDVDです。アーノンクール独特の間の取り方も既に健在です。ヨーロッパ室内管弦楽団は小編成ですが、モーツァルトには丁度良い編成です。もちろんモダン楽器でピリオド奏法です。

アーノンクールはCDで音だけ聴いても個性的ですが、 指揮ぶりを観るとその音が出てくるプロセスが良く分かります 。小編成のヨーロッパ室内管弦楽団の線の細い響きから、実にスケールの大きさを感じさせるサウンドを引き出しています。

ヨーロッパ室内管弦楽団は当たり前のようにピリオド奏法で演奏していて、奇をてらった感じはしないです。むしろ、アーノンクールはハイドンのようにプロポーションの整った演奏を繰り広げていて、時に激しく、時に静かに、一つ一つの音に意味を持たせるような繊細さも併せ持っています。激しい時には古楽器オケのような響きで、今の軽快すぎるピリオド奏法ともまた違いますね。

第4楽章も速すぎもせず、遅すぎもしないテンポ設定で、フーガによる壮大さを構築していきます。充実感が素晴らしく、とても見ごたえのある名盤です。モーツァルトの多くの交響曲とシューベルトの交響曲第4番『悲劇的』がカップリングされていますが、アーノンクールが得意とするレパートリーばかりです。

ベーム=ウィーン・フィル

指揮 カール・ベーム 演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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“モーツァルト 交響曲第41番『ジュピター』” への2件のフィードバック

HRT より:

> ブリュッヘンはアーノンクールよりも上の世代で、古楽器オケを始めた世代です。 いろいろと参考にさせていただいてます。 ブリュッヘンについての上の表記ですが…これは逆ですね。 アーノンクールの方が5歳ほど年上で、古楽スタイルの指揮者になったのも古楽オケを作ったのもずっと先です。 きっと何か記憶違いをされたのでしょう。 古楽演奏のパイオニアは、オケや合奏に関して言えばアーノンクールとレオンハルトだと思います。

失礼しました。ブリュッヘンが1934年生まれで、アーノンクールは1929年なので、アーノンクールが先なんですね。勘違いしていましたので修正します。

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