. Arduino Dueを使ったオシロスコープの試作(5) - しなぷすのハード製作記
Arduino Dueを使ったオシロスコープの試作(5) - しなぷすのハード製作記
Arduino Dueを使ったオシロスコープの試作(5) - しなぷすのハード製作記

Arduino Dueを使ったオシロスコープの試作(5)

また、デジタルオシロスコープは、電圧を測定する時に、測定した電圧値を、ある「小さな基準電圧」の整数倍に近似して測定します。その「小さな基準電圧」を通常1LSB(LSBはLeast Significant Bitの略)と表わします。言い換えれば、デジタルオシロスコープが電圧を測定する場合は、全ての測定電圧を、 n LSB( n は整数)と近似してしまう訳です。電圧を測定する際に、実際の電圧に最も近くて n LSBの形で表現できる電圧に近似する処理(つまり小数点以下の四捨五入処理)を行うとすると、電圧の近似誤差の絶対値は最大で0.5LSBになります。この様に、測定電圧を「小さな基準電圧」の整数倍で近似してしまう事を量子化 と呼びます。

参考:昔の技術者は、単発波形を観測するために、アナログオシロスコープの画面を銀塩写真 に撮影して観測したそうです。銀塩写真は現像やプリントといった、時間と手間とお金がかかる処理を経ないと目で見える形にはならないため、非常に気の長い作業だったみたいです。今では、単発波形もデジタルオシロスコープのsingleモードで、非常に簡単に観測が行えるようになりました。ちなみに、筆者には銀塩写真が必要な測定をした経験がありません。この記事で紹介するオシロスコープには、現在singleモードがないのですが、 Arduino Dueの スケッチ を書き換えると簡単に実現できるため、将来的にはsingleモードの機能を追加する予定です。

7-2. チャネル数

電子回路、特にアナログ回路の動作を理解する上で、2つの同じ周波数の信号の振幅 比や位相 差を比較する事は、かなり重要な要素になります。逆に言うと、この比較ができない事には、電子回路の基礎的かつ重要な部分を理解する事はできません。

参考:デジタル回路の場合は、基本的な回路を扱う場合でも、例えば8チャネルや16チャネルなどの多くの信号を同時観測する必要が生じる場合があります。その様な多チャネルの同時観測は通常、オシロスコープではできませんので、 ロジックアナライザ の使用をお勧めします。ロジックアナライザでは電圧をLかHに区別するだけの機能しか持っていませんが、その分、チャネル数が多く、またメモリ長も長く取れる事が多いです。ただし、2チャネルのオシロスコープでも、分周 回路など、動作を確認できるデジタル回路は色々ありますので、最初はその範囲で勉強するのもいいでしょう。

7-3. サンプリング周波数(サンプリングレート)

サンプリング周波数の単位はHz(ヘルツ)またはsps(Samples Per Secondの略)です。Hzもspsも同じ単位なのですが、Hzを使うと、普通の交流の周波数と混同してしまう恐れのある時は、spsを使います。

サンプリング周波数について考える場合に、是非知っておくべきなのはナイキスト により予想され、シャノン により証明された、サンプリング定理 と呼ばれる理論です。

ただし、信号に含まれる周波数の上限の2倍以上のサンプリング周波数で十分だというのは、サンプリング関数(sinc関数 )による補間処理(測定していない時間帯の電圧を計算により再現する処理)を行った場合の話です。中級機以上のオシロスコープにはサンプリング関数による補間処理の機能が付いています(それでも デフォルト ではOFFになっている事が多い)が、初級機では単純な直線補間(測定点を直線で結ぶ補間)を行います。直線補間の場合は、信号に含まれている周波数の上限の10倍以上のサンプリング周波数が必要な事が、経験上知られています。

7-4. 等価時間サンプリング ↑ 画像をクリックすると拡大 図11、等価時間サンプリングの原理図 7-5. 周波数帯域

このアナログ回路は LPF の様に振舞いますが、このLPFの カットオフ周波数 (通常は通過域平坦部を基準にして、利得が-3dBになった周波数)をオシロスコープの周波数帯域と呼びます。

7-6. 量子化ビット数と有効ビット数

例えば安価なオシロスコープに使われているA/D変換器なら、8ビットのA/D変換器を使用している場合が多いのですが、この場合は、電圧を2 8 =256段階で表現します。

それが高級機種になると、例えば12ビットといった、より多いビット数で電圧を測定します。12ビットの場合、2 12 =4096段階で電圧を表現します。

8. オシロスコープ専用機の性能と価格も調べてみよう

9. まとめと展望

簡単なプリアンプ基板とキーパッド基板を試作し、それらと既製のLCD シールド をArduino Dueに追加するとで、ある程度実用的なデジタルオシロスコープを作る事ができました。

高性能なArduino Dueとで使い慣れた開発環境( Arduino IDE )を使う事により、かなりの短時間で実用的な回路を開発できる事が確認でき、Arduinoというプラットフォームのポテンシャルの高さを確認できたと思います。

このページで使われている用語の解説

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