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砂山 北原白秋・中山晋平 大正の寄居浜

管弦楽が壮麗、かつかろやかでミヤビな曲想。やさしい歌唱、ハーモニーが叙情的に表情を豊かに変えるます。パートに分かれて追いかける2コーラス目。好きなアレンジです。ポツネンとしたわびさびを感じさせる、余韻の短い乾いた音色の打楽器はなんでしょう。和楽器(邦楽器)の「鼓」でしょうか? ストリングスのトレモロのボウイングが、体はその場にとどまり心が動く様子、情景に溶け込む主人公を想像させます。フルートの音色もわびさびある邦楽器のような趣に感じます。右側に定位した撥弦楽器はお箏でしょうか? アコギのようなかろやかさも感じます。

「鼓」が気になって探した動画。世界一抜けの良いサウンドは「鼓」であると思えるほど「コレキタ」感ある音色。

曲についての概要

北原白秋の作詞。彼が中山晋平に作曲を依頼し、1922年(大正11年)、月刊誌『小学女生』9月号で詩と曲が初めて発表されたようです。

エピソード

歌詞

“海は荒海 向こうは佐渡よ すずめ啼け啼け もう日は暮れた みんな呼べ呼べ お星さま出たぞ”(『砂山』より、作詞:北原白秋)

“暮れりゃ砂山 汐鳴りばかり すずめちりぢり また風荒れる みんなちりぢり もう誰も見えぬ”(『砂山』より、作詞:北原白秋)

寄居浜に吹き荒れる強い風に、すずめらがちりぢりになる様子を想像します。1番の歌詞で荒海ともいっていますし、風も波も強く、猛々しく厳しい海を想像します。それら風や波がごうごうびゅうびゅうざあざあ、絶え間なくさざめく音が“しおなり”なのでしょうね。

“かえろかえろよ 茱萸原わけて すずめさよなら さよならあした 海よさよなら さよならあした”(『砂山』より、作詞:北原白秋)

中山晋平

参考リンク

後記あれこれ

ちなみに、同じ詞に山田耕筰も曲をつけており、メロディがちがいます。そちらはより短調の陰影が濃い作風に感じます。美空ひばりがそれを歌唱している音源があり、編曲が非常に洒落ていてハイセンス。歌唱・表現の高みは言わずもがな。その中でひばりは「茱萸原」を「gumihara」と発音しています。ですが、山田耕筰作曲のものでも「gumiwara」と発音している歌手の音源も確認できます。

重く厳かな曲想を柔和で優美な響きの歌唱、ハーモニーで表現。ボニージャックスによる山田耕筰版の『砂山』。1分超の前奏が超弩級。深海に沈められた気分になるほどの沈痛鈍重な曲調はまるで水圧そのもの。

『砂山』を収録した『倍賞千恵子 抒情歌 ベスト』

美空ひばりの『砂山』(山田耕筰)が聴ける『カバーソング コレクション 〜ひばり叙情歌をうたう』。ひばりの歌の抑揚、情感の起伏の表現が見事。怪盗ルパン一味が貴重な博物品や宝物に忍び寄るシーンで鳴っていそうな編曲が妙です。エンディングでハーモニーが同主長調へ(ピカルディ終止)。

『ボニージャックスによる 日本の抒情歌選集 70曲』(2021)。中山晋平版と山田耕筰版の両方を収録。

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