. Elvis Costello 『Imperial Bedroom』: 俺の好きなアルバムたち
Elvis Costello 『Imperial Bedroom』: 俺の好きなアルバムたち
Elvis Costello 『Imperial Bedroom』: 俺の好きなアルバムたち

コステロさん、ビートルズっぽくやってみる。 - Elvis Costello 『Imperial Bedroom』

で、その第1期をさらに要約してみると、『Armed Forces』までが、初期衝動に突き動かされたパワーポップ・テイストのパブ・ロック、続く『Get Happy』では、モータウンからビートルズから、過去に影響を受けたR&Bへのリスペクトをあらわにし、『Trust』でニューウェイブ色を一掃して中堅アーティストの仲間入り、その後は直球ストレートのコンテンポラリー路線を目指すのかと思ったら、何をとち狂ったか単身アメリカへ乗り込んで、問題作『Almost Blue』でのカントリー回帰、そして吹っ切れた末の『Imperial Bedroom』、といった流れになる。

こうして書いてみると支離滅裂だけど、コステロ自身の中では、多分筋は通ってるんだろうな。

なにゆえ今さらここに来て、40年近く前のアルバムをフィーチャーしたツアーを行なったのか。Bruce SpringsteenもStevie WonderもSteely Danも井上陽水も、過去の名作の再現ライブを行なっているけど、選ばれているのはいずれも好セールスを記録したアルバムばかりである。

正直、『Imperial Bedroom』は彼の代表作ではない。セールス基準で行けば、選ばれるのは『Spike』あたりだろうし。

会心の出来とは言いがたいけど、でも大コケしたほどの失敗作でもない。一般的に名作の基準となっている、ローリング・ストーン誌の「500 Greatest Albums of All Time」では166位にランクインしており、評論家筋からの再評価はされているのだけど、でもファンの間では何となくスルーされがちである。

当時はあまり高い評価は得られなかったけど、年月を経てクオリティの高さが再評価されたということなのだろう。考えてみれば、彼の数あるディスコグラフィーの中では、最もライブ感の薄いアルバムである。 なので、返して言えば、ライブ向けにアレンジするには、最もやり甲斐があるのも、このアルバムである。他のアルバムで再現ライブをやろうとしても、通常営業のセットになってしまうため、あまり面白くない。

いっそ極端に、オーケストラを率いてシンフォニー・アレンジにしちゃうの手だけれど、まぁしないわな。「Watching the Detectives」のストリングス・ヴァージョンなんて、どこからも需要なさそうだし。

楽曲にフィットしたサウンドを得るため、後のポップ・スター路線やクラシックへの接近、ヒップホップの大胆な導入も、そういう考えで言えば、筋が通っている。すべては楽曲ありきなのだ。

同じくニューウェイブで括られていたPoliceは『Ghost in the Machine』で大々的にシンセを導入し、Joe Jacksonはジャズやラテンなど、違うジャンルの音楽性に活路を求め、『Night & Day』でひとつの到達点を迎えた。パンク第一世代のClashやJamも、直情的なロックンロールには収まりきれない雑多な音楽性を志向していた。

ほぼ同時多発的に、真摯にクリエイティブな音を志向するアーティストにとって、「ロックはダセェ」という価値観が芽生えていたのだ。

せっかくなので、『Imperial Bedroom』を主軸に置いた、去年のツアー音源を入手して聴いてみた。一部はYouTube にも映像がアップされているけど、スマホでの撮影がほとんどのため、遠いアングルなのは仕方ないにしても、大抵音も割れててあまり良くない。しかも1曲単位の細切れ動画しかないので、全貌が掴みづらい。

なので、どうしてもフルセットの音源が聴きたかったため、大声では言いづらいルートから入手した。あんまり推奨はできないけど、ブート関連で検索すれば、簡単に見つけることはできる。興味がある方はご勝手に。

再現ツアーと銘打ってはいても、1曲目から通しで演奏するのではなく、ランダムに組み合わせて時々代表曲を挟む、といった構成になっている。基本、ライブではあまり演奏されて来なかった楽曲が多いので、コアなファンからすれば、レア曲揃いでウケがいいんだろうけど、ビギナーにはちょっと着いて行きづらい流れかな。なので「Accident Will Happen」など、知名度の高い曲も時々織り交ぜている。

このアルバムを製作するにあたり、コステロはこれまでのギターによる作曲から、初めてピアノにコンバートしている。そのせいもあって、これまでの8ビート主体のロックとは趣きが違っている。

エメリックとのコラボで培った、ギター・ポップにこだわらないサウンド・メイキングは、後の『Spike』や『All This Useless Beauty』でも活かされることになる。逆に言えば、ここで得たスキルは、すぐ成果には繋がらなかった。当時のコステロやアトラクションズらでは、このサウンドに応じた表現力・演奏スキルが至らなかったせいもあるだろうし。

じゃあ、コレをもっとわかりやすく、キャッチーな方向性でやってみたら、どうなるだろうか?トップ40ナンバーと並べても遜色ない、売れ線のサウンドにしてみたら。 そんな感じで色気が出てしまったのが、その後のポップ・スター時代ということになる。本人的には気合いを入れてやったはずだし、俺世代としては、むしろこっちの方が好みだったんだけど。 posted with amazlet at 18.11.29 Elvis Costello Rhino / Wea (2002-11-19)売り上げランキング: 333,606 1. Beyond Belief 2. Tears Before Bedtime 3. Shabby Doll

『White Album』期のJohn Lennonがマジメにレコーディングしたら、こんな感じに仕上げただろうロッカバラード。コステロが絶賛したように、ここでのBruce Thomasのベース・プレイ、ブレイクを効果的に使って緊張感をうまく演出している。

4. The Long Honeymoon ランバダを思わせるアコーディオン・ソロから始まるポップ・バラード。キーとテンポを下げると『Spike』に入れても違和感がなさそう。すでにこの時代から、ロック以外の可能性を模索していたのかしら。 5. Man Out of Time

Dylanっぽい歌い方でスタートする、コステロ史上最も凝りに凝ったサウンド。自分なりの解釈による「俺的A Day in the Life」なのだろうけど、UK最高58位とあまり受け入れられなかったことは、コステロの野心を挫いたことだろう。ラウドなロック・サウンドを冒頭とエンディングに使い、大半を中期ビートルズ的ソフト・サウンドという展開は、当時としては冒険だったのだろう。

6. Almost Blue

なんでこの曲がこのアルバムに入ってるのか、いまだによくわからん。そう思ってるのは、俺だけじゃないはず。前のアルバムのタイトル・チューンが収録されている。ここまではギリギリわかる。でも、本来ならメインとなるべき「Imperial Bedroom」という曲があるにもかかわらず、こちらはアルバム未収録となっている。どうなってんだこりゃ、と思って「Imperial Bedroom」を聴いてみたら、なんか腑抜けしたワルツでピント来ない曲だった。これじゃ「Almost Blue」の方が出来はいいよな。でもなんでこの曲が…(以下無限ループ)。

7. . And in Every Home

エメリックのプロデュース・ワークが強く反映された、コステロ版「Magical Mystery Tour」。先に書いた「Imperial Bedroom」をボトムアップして本気で取り組んだら、こんな感じに仕上がる。そう考えると、「Imperial Bedroom」が叩き台となった、と考えればよいのかな。

8. The Loved Ones 昨年のツアーでもオープニングで演奏されており、ノリの良さとオーディエンスのつかみはOK的な楽曲。 9. Human Hands 10. Kid About It 11. Little Savage デモ・ヴァージョンは、やたらオルタナ的なラフなセッション風。うまくまとめづらかったのかね。 12. Boy with a Problem 13. Pidgin English

2タイプの曲を強引につなげた「Man Out of Time」と比べて、素直にコステロとエメリックとの意図が合致したのが、これ。ポップ性と疾走感とが同居して相乗効果を生み出している。間奏のアコギ・ソロが何気にいい味出している。

去年のライブ・ヴァージョンはImpostersよりのアレンジになっているので、これは逆にスタジオ・ヴァージョンの方が的を射ている印象。 14. You Little Fool デモは簡素なアレンジで、初期ビートルズっぽい。このままバンド単体でレコーディングしたら、いつものコステロで終わっちゃったんだろうな。 15. Town Cryer ここで方向性をつかんだはずだったのに、当時のマーケットの反応は薄かった。ポップなセンチメンタリズムを獲得したコステロはその後、マスに寄り添ったアーティスト戦略を図ることになる。 posted with amazlet at 18.11.29 エルヴィス・コステロ ザ・インポスターズ ユニバーサル ミュージック (2018-10-12)売り上げランキング: 1,930 posted with amazlet at 18.11.29 Universal Music LLC (2007-06-04)売り上げランキング: 95,352 「#Rock」カテゴリの最新記事 「Elvis Costello」カテゴリの最新記事
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  • カテゴリ: #RockElvis Costello
  • by ifeeelgood

コメント

コメント一覧 (1)
    • 1. QP
    • 2021年01月20日 02:42
    • コステロ初心者向けには聴きやすく私は好きでした。 " Almost Blue”には激しく同意ですw
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