【ファイル再生の基礎知識】「アルバムの曲順がおかしい」という問題について
とはいえ、別に心配しなくてもいい。 よほどとんでもないリッピングソフトをよほどとんでもない設定で使っていない限り、まず間違いなくリッピングの際に正確なトラックナンバーが付加される。これはWAVでリッピングしようがFLACでリッピングしようが変わらない。 リッピングではなくダウンロードした音源にだって、いくらなんでもトラックナンバーくらいは付加されている。え、入ってない? いや、まさか、さすがにそんなことは……
つまり、CDのリッピングだろうが配信音源だろうが、タグにおいて正しい曲順が保証されている。
ネットワークオーディオにおいて、「曲順が狂っている」という現象を実際に目にするのはコントロールアプリの画面だが、コントロールアプリは単にサーバーが寄越す情報を表示しているに過ぎない。曲順がおかしい原因はコントロールアプリにはない。 勘違いしてはいけない。 で、ナビゲーションツリーを含むサーバーの機能を担うのはサーバーソフトである。 「○○というNASを買ったら上手くいった・いかなかった」というのは正確ではない。重要なのはそのNASの中で動いているサーバーソフトである。
必ずしも必要ではないとはいえ、現実的にネットワークオーディオを始めるユーザーの多くはNASを導入しているように思う。 そして黎明期から今に到るまでネットワークオーディオを支えるQNAPは言うに及ばず、Buffalo製品をはじめとする多くのNAS、今を時めくDELAのサーバーも、中身はずばりTwonky Server。 望むと望まざるとにかかわらず、さらにその存在を意識するかしないかにもかかわらず、ネットワークオーディオの門戸を叩く多くのユーザーが最初に出会うサーバーソフトはTwonky Serverなのではなかろうか。
調べる手段がないので厳密なところはわからないが、「ネットワークオーディオに使用しているNAS」の中身のサーバーソフトを調べれば、Twonky Serverが相当な割合を占めている気がする。感覚的には7~8割くらい。かつての私のように事情を知らないユーザーからすれば、Twonky Serverというものの意味すら把握しないまま「ネットワークオーディオのサーバー=Twonky Server」という認識になりかねない。Twonky Serverそのものに何らかの問題があれば、それは容易にネットワークオーディオ全体のイメージに波及してしまう。
検証に入る。 要はTwonky Serverがどんな挙動を示すか、である。
これらの音源をTwonky Serverで配信する。 ちなみにコントロールアプリは例によってLUMIN Appを使う。
で、WAVの二種。 相変わらずTwonky ServerではWAVのタグがまったく機能しないため、「不明」の中にまとめて突っ込まれている。 そして中身を見れば、この時点で答えの一端が見えているのだが……あえてスルー。
Twonky ServerにおいてWAVのタグはまったく機能しない。 そのため、タグベースのナビゲーションツリーにおいて、WAVの曲名は純粋にファイル名が参照される。 そしてトラックナンバーが機能しない以上、アルバム内の曲は「A→B→C→……」、あるいは「1→11→12→13→14→2→3→……」というように、純粋に文字・数字順で並ぶしかなくなる。なお、「1→2→……→9→10→11→……」とはならない。 よって、「ファイル名の先頭にトラックナンバーが付記されていない」、あるいは「アルバムの曲数が10曲以上、かつファイル名の先頭に付記されるトラックナンバーが1から始まっている」という場合、曲順が崩壊する。
一方で、Twonky Serverではフォルダ掘りをする際、可能な限り曲名はタグを参照するようになっている。 FLACはタグが機能するので、曲名はタグが参照される。 しかし、トラックナンバーは表示するだけで機能はさせない。 結果的に、アルバム内の曲は「A→B→C→……」で並び、曲順が崩壊する。
このクs……謎仕様はいったいどういうことだ。
それは問題ではない。 問題は、曲名はタグを参照するくせしてトラックナンバーを機能させないということだ。 その結果、独り歩きした曲名がアルファベット順に並び、本来の曲順が崩壊する。
このチェックは「フォルダ掘りの場合、問答無用で曲名はファイル名を参照する」という設定で、要はFLACでもWAVと同じような挙動をさせる、ということ。
どれだけタグを完璧に管理してもそれを機能させるのがソフトである以上、どのように曲順が扱われるかも結局はソフト次第ということになる。 なお、ここでいう「ソフト」とは、再生ソフトやサーバーソフトだけでなく、DAPやファイル再生機能を持つ単体オーディオ機器の内的なソフトウェアも含んでいる。
何が原因で曲順が狂うのか。
Twonky Serverを使う場合、謎仕様に伴い以下の原因が加わる。 ファイル名の先頭にトラックナンバーが付記されていない。 アルバムの曲数が10曲以上、かつファイル名の先頭に付記されるトラックナンバーが「1」から始まっている。
タグやファイル名に問題がなければ、最終的にはソフトの仕様に行き着く。
そして、Twonky Server以外にも頓珍漢な挙動をするソフトがないとは限らない。
解決策は。
まず、タグの管理を完璧にする。 そうすれば、まともなソフトであればWAVでもFLACでも正しい曲順は保たれる。 FLACを使い、タグベースのナビゲーションツリーを活用する限り、曲順の問題は基本的に生じ得ない。
そして、WAV・FLACともにファイル名の先頭に「01」「02」……と0から始まる二桁のトラックナンバーを付記する。 こうすることで、Twonky Serverでも、(辛うじて)曲順が保持されるようになる。 FLACを使い、さらにフォルダ掘りもしたいという場合は設定を変更すればいい。 NASの中身がTwonky Serverで、他のサーバーソフトを走らせる余地がなく、なおかつ「WAVを使わないと死んじゃう病」にかかっていても、これで何とかなる。
もっとも、リッピングの際のファイル命名規則でトラックナンバーも付記するようにしておけば、これもさして心配することはない。 配信音源の場合はファイル名にも注意が必要。 タグベースとフォルダ/ファイル名ベース、両面からライブラリを磨き上げよう。
……やっぱり、「FLACを使ってまじめにタグベースで音源の管理運用をしていれば、曲順なんて問題は出ない」。